2年に1度の米欧対抗チーム戦「ライダーカップ」が終わってはやくも1ヶ月。米チームが大会直後に不穏な空気を漂わせていた一方で、勝利した欧州チームメンバーは今でも連絡を取り合うほどの仲。それにしても一体なぜ欧州選手はこれほど結束が強いのか!?

ライダーカップ・欧州チームは過去最高の仲間意識

9月末にフランスで行われた今年のライダーカップ。欧州チームの圧勝で幕を閉じたが、この勝因は技術力の差ではなく、チームワーク力の違い、仲間と一つのゴールに向かって一緒に戦う意識の違いだったのかもしれない。

ライダーカップ後、休養をとる選手も多く、先週中国・上海で開催されたHSBCチャンピオンズが大会後初試合という選手もちらほら。特に欧州チームは、勝利の余韻を今でも楽しんでいる雰囲気があり、チームメイト同士顔を合わせるとフランスでの勝利後の互いの近況を語り合い、再会を喜んでいるシーンが多く見られた。

このような雰囲気は惨敗を喫した米国チームの選手同士にはない。互いに会ってもことば少なに会話するか、シラっとしたものである。ライダーカップとは、1カ月経った今も、勝っても負けても出場選手たちの中でこのように心に引きずる大会なのだ。

ブルックス・ケプカとダスティン・ジョンソンが口論したとか、パトリック・リードが前回大会ではタッグを組んでいたジョーダン・スピースが自分を今回は指名しなかったとして悪口を叩くなどの話も聞こえてくるほど、不協和音が響いていた米国チームだが、一方欧州チームは大会が終わってもより一層友情を育んでいるようである。

「今でも毎日SNSでチームメンバーとやり取りしているんだよ。写真を送り合ったり、メッセージを送ったり、ね。今までのライダーカップの中でも今年のメンバーは最高だった。仲がすごくいいんだ!」

とライダーカップに過去3回出場しているポール・ケイシーが、携帯の画面を見せてくれながら教えてくれた。これは彼に仲間との関係を聞いたから答えてくれたわけではなく、自分からチームメンバーの仲の良さをアピールしたかったから話してくれたこと。何度もライダーカップに出場し、勝利を経験してきた彼がここまで言うならよほどのことだ。

画像: チームメンバーについて笑顔で語ってくれたポール・ケイシー(写真は2018年のHSBCチャンピオンズ)

チームメンバーについて笑顔で語ってくれたポール・ケイシー(写真は2018年のHSBCチャンピオンズ)

現地で取材をしていても、世界ランクなどを見ると米国チームメンバーの方が実力的には上にも関わらず、欧州チームが勝利できたのは、間違いなく彼らのチームワークの良さや仲間同士の信頼関係、仲の良さが勝因だったと思った。欧州チームには選手同士、あるいは家族同士がまるで家族か親戚のように付き合う親密さがある。

以前ある欧州ツアーのライダーカップ出場選手に「なぜライダーカップでは欧州チームがこんなに強いのか?」と聞いたことがあったが、彼は「毎週、同じメンバーで違う国を転戦し、飛行機やホテルもほとんど同じだから、自然と親密になるし、家族同士も仲良くなる。だから、僕たちはライダーカップで2年おきに試合が行われても、チーム内の雰囲気はとてもいいし、仲間意識が高いんだ」と答えてくれた。

開催場所がホームかアウェイかということで、観客の応援は格段に違ってくるから、そういう意味でもフランスで開催された今年は欧州チームにとって有利だったことは間違いないし、欧州ツアーのフランスオープン開催コースで行われたこともあり、地の利を生かした勝利とも言える。しかし、根本的に、この「仲間意識の高さ」「チームワークの良さ」が欧米の勝敗を分けた大きな要因だったと言えるだろう。

2年後の米国開催のライダーカップに向けて、米国チームは再び前回のように優勝のためのタスクフォース(特別部隊)を編成し、論理的に勝利を導く方法を探求するかもしれないが、その前に失敗を人のせいにしたり、チームメイトをリスペクトしないような発言をすることは避け、チームワークを高めることが必須である。

TEXT&PHOTO/Eiko Oizumi

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