国内女子ツアーもいよいよ終盤戦。現在獲得賞金が1億円を越えているのはアン・ソンジュ、シン・ジエ、鈴木愛の3人だ。この中でパーオン率が7割を越えているのはシン・ジエのみ。ゴルフスウィングコンサルタントの吉田洋一郎がその高い安定感の理由を解説する。

再現性の高いインパクトを追及

11月1日現在、女子ツアーの賞金ランキング2位につけているシン・ジエ。海外メジャーでも優勝経験のある彼女の強みは再現性の高いスウィングです。一つの目安にすぎませんがパーオン率はツアーで唯一74%越え。

ドライバーショットをしっかりとフェアウェイに置き、そこから正確なショットでグリーンをとらえる。そんなシン・ジエのプレースタイルを支えているのは、体と腕の同調性が高いスウィングです。

画像: パーオン率は74.0981%と1位(写真は2018年日本女子プロゴルフ選手権 撮影/姉崎正)

パーオン率は74.0981%と1位(写真は2018年日本女子プロゴルフ選手権 撮影/姉崎正)

注目すべきは、両ひじと胸の間にできる空間です。シン・ジエはこの空間がスウィング中に変わることがありません。「クラブが体の正面にある」という表現をされますが、その状態を常に維持できているのです。

ちなみに腕と体の関係性というと「両肩と手元を結ぶ三角形」を思い浮かべる人がいますがそうではありません。どのショットでも腰よりも手元が高い位置にくれば右ひじは曲がり三角形は崩れるので、両ひじを張って形を崩さないようにする動きに意味はありません。

画像: クラブが体の正面にある状態を常に維持できているのがわかる(写真は2018年のヤマハレディス プロアマ 撮影/有原裕晶)

クラブが体の正面にある状態を常に維持できているのがわかる(写真は2018年のヤマハレディス プロアマ 撮影/有原裕晶)

腕を振ったりスウィングの弧を大きくして飛距離を求めるスウィング理論もありますが、体と腕の関係性が崩れるため方向性はインパクト時のタイミング次第となり再現性は低くなりがちです。正確性を重視するのであれば、体と腕が同調するということはとても重要な要素なのです。

この体と腕の同調が高いスウィングは、あのデビッド・レッドベターがツアーコーチとして活動を始めた頃から理論の根幹にしている部分でもあります。シン・ジエをはじめ韓国や中国の選手のスウィングに多く見られる特徴でもありますが、それはレッドベターや彼の元で理論を学んだコーチたちが、アジアを中心にティーチングを広めていったことと関係があるのかもしれません。

源流は30年前のアメリカにあり?

この体と腕のシンクロの高さをレッドベターより前から強く推奨していたコーチがいます。80年代にPGAツアーを中心にツアーコーチとして活躍したジミー・バラードです。バラードはスウィングにおいてすべての動きがコネクト(連動)することが重要で、特に体と腕の関係性は変わらずに動かなくてはいけないと言っています。

「各パーツを正しく動かすのではなくて、すべてが連動している状態を作らなければいけない。毎回同じように振るには、腕やクラブが自然と動かされる状態を作ることが大事なんだ」(バラード)

画像: 1970年代から80年代にかけてマスターズ2勝を含むメジャー5勝を挙げた名手・バレステロスの強烈なインパクト。見事にクラブが体の正面にある

1970年代から80年代にかけてマスターズ2勝を含むメジャー5勝を挙げた名手・バレステロスの強烈なインパクト。見事にクラブが体の正面にある

バラードはこの連動性を重視した「コネクションスウィング」をツアーに広め、10年間で11人ものメジャーチャンピオンを生み出しました。2度のマスターズ制覇を成し遂げたセべ・バレステロスや、同じくグリーンジャケットを獲得したサンディ・ライルはバラードの教え子です。

クラブもボールも今とは性能が違う時代に、現代にも通用するスウィング理論の根幹を広めたバラード。現在発売中の『choice』にて、その理論の詳細が紹介されていますので、気になった方はチェックしてみてください。

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