今シーズンから日本ツアーに復帰した石川遼。国内開幕戦の東建ホームメイドカップで2位に入るスタートを切り、復活が期待されたがいまだ勝利はない。現在新たに取り組んでいるというスウィングを、ゴルフスウィングコンサルタントの吉田洋一郎が取材した。

ゾーンのインパクトを目指して

6シーズンぶりの日本ツアー本格参戦となった今季、石川遼はいまだ優勝をすることができていません。シーズン途中には体調不良がありながらも、賞金ランク23位で来季のシード権は確実といえる状況ではあります。しかし渡米前の活躍と比較し「物足りなさ」を感じてしまうファンも多いのではないでしょうか。「全体的にうまくいかない」「シーズン前に戻したい」など本人の発するコメントからも、現状へのフラストレーションを感じます。

そんな石川は安定したボールを打つためにゾーンインパクトのフォームに取り組んでいます。PGAツアーに挑戦をしていた昨年1月頃、石川は球筋を安定させる目的で持ち球をフェードにするスウィングの大改造を行いました。フェースローテーションを抑えて体の動きでボールをコントロールすることでボールをコントロールしようとしたのです。

しかしシーズン中の改造ということもあり動きを定着させることはできず、プレッシャーのかかる肝心な場面でのミスが目立つようになりました。その後、球筋をドローに戻してつかまったボールを打つことに重点を置いた取り組みをしています。

「今はインパクトでボールを点でとらえないで、スウィング軌道の中でボールをとらえるように意識をしています」

ブリヂストンオープンの練習日、石川はロングアイアンでドライバーのように高くティアップしたボールを打つ練習をしていました。これはボールを点でとらえるアジャストの動きではなく、インサイドアウト軌道のインパクトゾーンを長く作っていくための練習です。

画像: ロングアイアンでティアップしたボールを打つ石川遼(写真は2018年のブリヂストンオープン 撮影/岩村一男)

ロングアイアンでティアップしたボールを打つ石川遼(写真は2018年のブリヂストンオープン 撮影/岩村一男)

「アッパー軌道のイメージでボールを打ちたいんです。フォローでインサイドにクラブを引いてしまい球がつかまらないことが多いので、ダウンからフォローの軌道をインサイドアウト気味にするためにそのイメージを持っています」

フォローでクラブがインサイドに入ることでスライスの回転が入り、ボールがつかまらないことを気にしているようです。

軌道を変えるには肩の動きがポイント

このヘッド軌道を変えるために、石川はこのアッパー軌道イメージに加えて肩の動きが重要になってくると考えています。フォローで右肩が下がることで前後軸を中心とした動きとなるため、アウトサイドにヘッドが抜けやすくなります。首を軸に右肩と左肩がシーソーのように動くイメージです。

画像: フォローで右肩を下げることを意識しているという(写真は2018年のマイナビABCチャンピオンシップ 撮影/西本政明)

フォローで右肩を下げることを意識しているという(写真は2018年のマイナビABCチャンピオンシップ 撮影/西本政明)

この肩を上下させる動きは手元でクラブをコントロールせず、左右の体重移動も意識する必要がないため方向性の安定しやすくなります。石川は以前、体重を右から左に大きく揺さぶるように動かしており、現在でもプレッシャーのかかる場面などではその傾向が出やすくなりますが、この動きを行う事でプッシュアウトなどのミスの度合いが軽減できると思います。

現在の肩の縦回転と相性がいいのは地面を押すように踏み下から上に力を使う下半身の動きです。切り返しとともに左足をグッと下(地面)方向に踏み込んで左サイドを伸ばします。そうすると地面からの反動の力(地面反力)によって左肩が上がって右肩が下がる状態になり、高速でヘッドが下りてくるのです。

地面を押して力を生み出す縦の反力と、肩の上下動でインパクトゾーンを作る動きはとても相性がよく、上手く体にしみこませることができれば飛距離を落とさずに方向性を手に入れることができます。

練習場で試行錯誤をしている姿からは、悩みや苦しみのようなものを感じました。しかしそれでも周りのプロと比較をすると、腕と体のシンクロやスウィング一連の滑らかさは抜きん出ており石川の持つポテンシャルの高さを感じずにはいられませんでした。

アメリカに渡り改造に着手したスウィングは、まだ固まることはありません。方向性を明確にしてじっくりと取り組むこと。それが長いトンネルから出るための条件になるでしょう。

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