2018年シーズン米女子ツアーを席巻したのはモリヤ&アリヤのジュタヌガーン姉妹だ。とくに23歳の妹のアリヤは賞金女王、年間女王(レースto CMEグローブ)、プレーヤー・オブ・ザ・イヤー(
最優秀選手賞)、ベアトロフィー(年間最少平均ストローク)など主要各賞を総なめに。だが成績だけではない彼女たちの人間力がじつは凄かった。

3億超を稼ぎ出した妹は、なにより姉の勝利を喜んだ

シーズン3勝を挙げベスト10入り17回。獲得賞金は2位のミンジー・リーにおよそ120万ドル(1億3500万円)の差をつけ274万3949ドル(約3億1500万円)を稼ぎ出した妹アリヤ。これは国内男子ツアーの賞金王・今平周吾(1億3911万円)の軽く2倍を超えている。

14年に創設されたアニカメジャーアワード(シーズンの5大メジャー大会でもっとも成績の良かった選手に贈られる賞)を含め、賞金女王、年間女王、プレーヤー・オブ・ザ・イヤー、ベアトロフィーの5冠に輝いたのはツアー史上初の快挙。

画像: 姉のモリヤ・ジュタヌガーン(左 撮影 姉崎正)と妹のアリヤ・ジュタヌガーン(右 撮影/岡沢裕行)

姉のモリヤ・ジュタヌガーン(左 撮影 姉崎正)と妹のアリヤ・ジュタヌガーン(右 撮影/岡沢裕行)

2度目の全米女子オープンタイトルを獲得するなど印象に残るシーンはたくさんあったが「2018年でもっともうれしかったことは?」とインタビューで訊かれたアリヤは「姉が優勝したこと」と即答しメディアの嘆息を誘った。

姉モリヤがこれまで何度も優勝争いをしながら勝てず悔しい思いをしてきたのを一番近くで見てきたのがアリヤ。だからヒューゲルJTBCロサンゼルスオープンで姉がインビー・パークら実力者を下し念願の初優勝を飾った瞬間、人前もはばからず妹の方が泣き崩れた。

その姉も獲得賞金は100万ドル超えを記録しランク14位。世界ランクはアリヤが1位でモリヤが19位。姉妹・兄弟ゴルファーは世界に数あれどタイ出身のジュタヌガーン姉妹の存在は飛び抜けている。

そして姉妹は昨年母国でファウンデーション(基金)を設立している。貧困に苦しむ子供とその家族を助けることが目的で11月の終わりに里帰りした2人はある家族のために家を建てるプロジェクトに参加した。

「誰もがきちんとした場所で暮らせる世界」の実現を目指し世界70カ国以上で住まいの問題に取り組むNGOハビタット・フォー・ヒューマニティ(ホームページから引用)と提携。資金面を姉妹が担うプロジェクトが着々と進行しており、2人も現場でヘルメットを被って壁作りを手伝うなどの作業を行った。

入居予定の家族は17歳と15歳の娘がいる4人家族。母は足のケガで働けず一家の収入は月に5千バーツというから日本円にして1万6000円ほど。倉庫の一室に住む一家に「人間らしい生活ができる環境」を整えたいとジュタヌガーン姉妹が立ち上がったのだ。

自らのファウンデーションを持つゴルファーは多いがジュニアゴルファー育成などが主な目的。だがジュタヌガーン姉妹は母国の人々を助けようと日々チャリティ活動に勤しんでいる。

強いだけじゃない。人間力に長けた彼女たちに少しは関心を寄せてもらいたい。

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