ピンに当たって弾かれるというは長年の経験からの思い込み

ピンは挿しておいたほうがボールは入りやすいのかそれともピンが邪魔をして入らなくなるのか。

答え:ピンを差しておいたほうが圧倒的に入りやすくなる。

数年以上ゴルフを経験したプレーヤーは、過去にグリーン外からのアプローチやバンカーショットなどがピンに当たって弾かれたのを自分自身で経験していたり、見たことがあることから、パッティングでもピンに当たったらはじかれるというイメージ(思い込み)があると思うが、これはまったくの間違い。

まず、ショット&アプローチでは、バックスピンやサイドスピンがかかっている状態でピンに当たったり、地面からボールが浮いた状態でピンの根元などに当たったりしているので、かなりの確率で弾かれるのである。

一方、ショットやアプローチでもグリーンに落ちて数バウンドしてバックスピンやサイドスピンがおさまり、順回転でグリーン上を転がる状態に変化したときにピンに当たれば、あとはそのボールの勢いが強過ぎない限り高確率でカップインする。

画像: タッチが強すぎない限り、パッティングでは「ピンに弾かれて入らない」という可能性は低いと濱部教授

タッチが強すぎない限り、パッティングでは「ピンに弾かれて入らない」という可能性は低いと濱部教授

ちなみに強すぎる転がりとは10フィート程度の速さのグリーンでカップを約7メートル以上オーバーさせる強さである(実験済み)。この勢いでピンに当たると弾かれるがそれでも大きく弾かれることはないし、仮にその強さであればピンがなくても入らない。

パッティングではアプローチと違い、ボールは順回転であり、バウンドしておらず、地上を転がっている。さらに強すぎる(カップを7メートルオーバーさせる強さ)ことも少ないので、上記アプローチ等で今まで経験したり見たりしてきたピンに弾かれるということは当てはまらない。

実証実験でわかった「たくさんのメリット」と「それでも残るデメリット」

2019年1月10日(木)越谷ゴルフクラブ(バックティ使用・6765Y、バミューダグリーン、北風3~5m、気温4~6度)にてホールアウトするまでピンを挿したままプレーしてみた。

【プレーヤー】
1.濱部教授(HC3、58歳)スコア77 
2.野村誠プロ(PGAインストラクター、58歳)スコア81
3.アマチュアAさん(HC10、60歳)スコア96

【結果】
1.濱部:4バーディを含む50センチ~4メートルのカップインした最終パット18回のうち、ピンに当たって弾かれた回数はゼロ。5メートル以上20メートルのパットではそもそもピンに当たらなかった。よって弾かれた回数はゼロ。

2.野村プロ50センチ~3メートルの最終パット18回のうちピンに当たってはじかれた回数はゼロ。5メートル以上20メートルのパットではそもそもピンに当たらなかった。よって弾かれた回数はゼロ。

3.Aさん30センチ~7メートルの最終パット18回のうちピンに当たってはじかれた回数はゼロ。8メートル以上20メートルのパットではそもそもピンに当たらなかった。よって弾かれた回数はゼロ。

3人の最終パットは最短で30センチ、最長で7メートルであり、上り下り、スライス、フックさまざまであった。これら一人18回の最終パットが3人で合計54回であるが、ピンに当たり弾かれた回数はゼロだった。

画像: プレーヤー3人の54回の最終パットのうち、ピンに弾かれてカップインしなかったものはなかった

プレーヤー3人の54回の最終パットのうち、ピンに弾かれてカップインしなかったものはなかった

【結論】
パッティングにおいて、挿したままのピンに当たってボールが弾かれる可能性はゼロとは言えないがかなり低い。仮に弾かれた場合、ピンがなくても入らない強さのパットといえよう。

【アマチュアAさんの感想】
アマチュアのAさんは普段からショートパットが苦手で、入れるパットより寄せるパットをするタイプ。カップに到達するときにはボールに勢いがないのでとくに下りでは地面のわずかな凹凸やカップ付近のドーナツ減少の影響を受けカップイン率が落ちていた。また、平地や上りでも、いつもわずかにショートすることがよくあった。

今回、ピンがあることにより、オーバーする怖さが減ったと感じたそうだ。実際上りも下りもショートがほとんどなく、小気味よくショートパットをカップインしていた。

【ピンを差したままのメリット】

1.カップになめられなくなる
カップになめられる、カップに蹴られることが高確率で減る。ホールとピンの間にボールが入ることにより摩擦が生じボールの勢いが急減速。結果、今までカップになめられたり、けられて入らなかったパットがカップインする。

2.強すぎるタッチでも入る(近くで止まる)
たとえばカップを10メートルほどオーバーさせるような強すぎるパットでもピンに当たれば急減速してカップ近くに止まる。カップを5~7メートルオーバーさせる強さであればピンの真正面に当たればカップインする。(もしピンがなければ1.7メートルオーバーさせる強さまでしかカップインしない=実験済み)

3.ショートパットがやさしくなる
ショートパットはカップをオーバーさせるよう少し強めに打てるようになる。強めに打つので微妙な芝目や凹凸の影響を受けにくく、かつラインも薄めに読めるからショートパットがやさしくなる。格段にショートパットのカップイン率が上がる。

4.わずらわしさがない
同一パーティ全員がピン差したまま最後までプレーすることにより、ピンの抜き差しのわずらわしさから解放される。ピンを誰が抜いて誰が差すべきか、本来決まっているが、キャディさんに頼り切っているゴルファーも少なくない。また、ピンをどこに置くかを正しくできているプレーヤーは少ない。ピンを抜いて地面に置くより、拾い上げて差すほうがさらに手間である。

5.プレーファストになる
ピンを差しっぱなしにしておくことによるプレー時間の大幅な短縮が可能である。キャディさんがいないセルフプレーヤーにはとくに助けとなる。初心者、初級者はもとよりピンを拾い上げることが億劫な高齢者にも助けとなる。

【ピンを差したままのデメリット】

パターの名手と言われているアマやプロゴルファーなど技術の高い人は感覚やイメージが大事である。ピンのない状態で経験を積み,うまくなったので、ピンが差してある状態でパットする違和感やボールが転がってカップインするイメージなどが悪くなる可能性がある。

また、名手でなくてもゴルフ経験が数十年ある経験豊富なゴルファーなら、ロングパットならいざ知らず、今更ショートパットでピンを立ててパッティングをしたくない、新しい感覚に適応できない人もいるだろう。

【その他不安なこと】

すごく風の強い日フラッグの音がうるさいのと、フラッグの抵抗などによりピンそのものがしなり揺れるときがあるかもしれない。

ピンの影が気になることもある。

傾斜にカップがきられていたり、カップが真っすぐ埋められていなかったりした場合など、カップの淵に対して狭い側がある。逆に反対側は広いことになるが、このあたりの感覚がどう感じるか。

ピンの太さ「13ミリ」が“入る太さ”だった

カップの幅は108ミリ。ピンの太さは日本では13ミリが多い(規定では19ミリ以下)。ボールは42.7ミリ以上。つまりピンが真っすぐ立っているとすれば、カップ内はボールとピンとの間に5ミリほどの隙間がある計算となる。上の図はピンが左に傾いて立っているので右側は9ミリほど隙間があり、左側はボールが隙間なくぴったりはまるサイズとなる。

画像: この写真では、ピンがやや左に傾いているため、ピン左は約5ミリ、右は約9ミリの隙間がある。左側はボールがちょうどぴったりハマるサイズ

この写真では、ピンがやや左に傾いているため、ピン左は約5ミリ、右は約9ミリの隙間がある。左側はボールがちょうどぴったりハマるサイズ

この13ミリの太さが実は絶妙に最適なサイズであり、ボールがしっかりカップに入り、なおかつピンに弾かれにくい太さなのである。ちなみに練習グリーンのピンは実際の約半分の7ミリぐらいなので、このようにピンが細すぎるとピンにあたった後、ボールが暴れて弾かれやすいが、13ミリだとピンに当たったと同時にカップの壁との間にうまく挟まる形となり、結果入りやすくなる。

つまり練習グリーンでピンに当たって弾かれるのと本番とではまったく違って、本番のほうがよく入るということである。

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