PGAツアー「ウェストマネジメント フェニックスオープン」の開催コース、TPCスコッツデール。その16番パー3は、2万人を収容するスタジアムに囲まれた“スタジアムホール”として有名だ。現地で取材中のゴルフスウィングコンサルタント・吉田洋一郎が想像の斜め上を行くその内側をレポート!

ゴルフを観ている人は「4割くらい」!? 地元民が大盛りあがり

過去何度かフェニックスオープンに取材に来ていますが、プロアマトーナメントが開催された水曜日、初めてスタジアムの内側に足を踏み入れていました。

画像: TPCスコッツデール16番ホール全景。周囲をグルリとスタジアムが囲む

TPCスコッツデール16番ホール全景。周囲をグルリとスタジアムが囲む

まず驚いたのが、みんなゴルフを観ていないこと(笑)。なにをしているかといえば、基本的にはお酒を飲んでいます。お酒を飲んで、いい気分でおしゃべりをして、ついでにゴルフを観る、そんなイメージです。

聞けば、地元の企業がブースを買って、社員や家族と盛り上がったりするようです。非・ゴルファーも足を運ぶからこそ、1ホールに2万人という集客が実現するみたいですね。

画像: スタジアム内部の様子。ゴルフを観ている人もいれば、おしゃべりを楽しむ人も

スタジアム内部の様子。ゴルフを観ている人もいれば、おしゃべりを楽しむ人も

プロアマでは、プロが打つ間も途切れることなく爆音がかかっていて、マイクパフォーマンスが4階まである客席を盛り上げます。ときには、プレーヤーがマイクを奪い、客席をあおるなんて姿も。野外フェスというか、巨大なお店でパーティをしている感覚です。マジメにゴルフを観ている人は4割くらい……?

画像: DJが爆音でノリノリの曲をかける。ここは本当にゴルフ場……!?

DJが爆音でノリノリの曲をかける。ここは本当にゴルフ場……!?

松山英樹プロもそんな雰囲気が意外と嫌いではないようで、自分の携帯電話で写真を撮ったりしていましたが、この日会場を沸かせたのは、別の“日本人プレーヤー”でした。それは、地元・アリゾナの野球チーム「アリゾナ・ダイヤモンドバックス」で中継ぎ投手として活躍する平野佳寿投手。

松山選手の1組前でプレーしていた平野投手の放った打球は、見事ベタピンにつけるスーパーショット! 2万人の観客からの大歓声を浴びていました。ご本人に話を聞くと、「野球ではマウンドに立つまでは緊張するけど、投げてる間は緊張しない。ゴルフのほうが緊張するね(笑)」とのこと。しかし、何万人の観衆に見つめられる環境でナイスショットが打てるのは、さすがメジャーリーガーです。

画像: 「これくらいの距離につけたよ」と平野投手。切れ味鋭いフォークボールではなく、この日はアイアンショットで観客を魅了

「これくらいの距離につけたよ」と平野投手。切れ味鋭いフォークボールではなく、この日はアイアンショットで観客を魅了

このように、いいショットには惜しみない拍手が送られる一方、本戦ではグリーンを外すとブーイングの嵐を浴びることになります。みんな酔っ払っているので、そのブーイングも容赦がないんです。

少しマジメな話をすると、TPCスコッツデールは上がりの15番から18番まで、気を抜けないホールが続きます。そのなかで16番は難易度的には比較的低いホールですが、雰囲気を作るという意味では非常に大切なホールですし、スタンドに囲まれていることで、独特のプレッシャーもあります。

画像: プロアマの雰囲気を楽しんでいた松山。本戦は、2016、2017年王者として、人気者のミケルソン、前年度王者のウッドランドとプレー

プロアマの雰囲気を楽しんでいた松山。本戦は、2016、2017年王者として、人気者のミケルソン、前年度王者のウッドランドとプレー

そんな中、松山英樹選手は予選ラウンドを地元・アリゾナ州立大学卒のフィル・ミケルソン、前年度王者のゲーリー・ウッドランドという凄まじい組でラウンドします。ツアー屈指の人気を誇るミケルソンが登場すれば、16番は大興奮状態になるのは間違いありません。

練習ラウンドを見ると、松山選手のアイアンショットは非常に切れているようなので、うまくこのホールをクリアして、流れをつかんでもらいたいですね。

画像: ギャラリーたちは(お酒の勢いもあり)ナイスショットには惜しみない賞賛を、ミスショットには容赦ないブーイングを浴びせる

ギャラリーたちは(お酒の勢いもあり)ナイスショットには惜しみない賞賛を、ミスショットには容赦ないブーイングを浴びせる

さて、一日の取材を終えて、選手たちもとっくに引き上げた夜7時半頃、コースを後にしようとすると、16番のスタジアムからは変わらずにビール片手の笑い声が聞こえてきます。千鳥足で歩く女性も見ました。「居酒屋かっ」と心の中でツッコミを入れて、ホテルへ戻った次第です(笑)。

撮影/吉田洋一郎

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