ドライバーの素材にはチタンが使われるのが主流だが、近年フェアウェイウッドにもチタンが使われるようになった。フェアウェイウッドの素材と言えばステンレスという印象も強いが、その素材の違いによって何が変わるのだろうか。業界屈指のギアオタクでクラブフィッターの小倉勇人が考えた。

素材の違いで飛距離は変わるのか

みなさんこんにちはギアオタク店長の小倉です。今日はお客様から「最近フェアウェイウッドにもチタンが使われるようになってきたけど、やっぱりステンレスよりチタンのほうが飛ぶの?」とご質問をいただきましたので、今日はそれをヒントにクラブの素材についてお話したいと思います。

画像: テーラーメイドの最新モデル「M5」がチタンヘッドになったことも、「やっぱりチタンのFWは飛ぶのか? 論争」を盛り上げている

テーラーメイドの最新モデル「M5」がチタンヘッドになったことも、「やっぱりチタンのFWは飛ぶのか? 論争」を盛り上げている

ゴルフクラブの素材はドライバーによく使われるチタンを始め、ステンレス、軟鉄、マレージング鋼をはじめとする特殊鋼など様々な種類があります。ひと言にチタンと言っても素材の中でもたくさんの種類があり、同じチタンヘッドでもそのモデルによって使われるチタンの種類が違いますし、フェースとボディで種類の異なるチタンを使い分けたりと非常に凝った作りになっています。

そういった大変手の込んだ作りになっている理由はただひとつ。各クラブの性能を設計通り最大限発揮させるために他なりません。

では、お客様から頂いた「チタンとステンレスのフェアウェイウッドはチタンのほうが飛ぶのか?」という質問の答えです。使うゴルファーによる、と言ってしまえばそれまでですが、やさしいモデルを作ったり、飛びに特化したモデルを作ったりしやすいのはチタンを使用したモデルのほうです。

画像: チタンだから飛ぶ、ステンレスだから飛ばない、という単純な話ではない点にご注意

チタンだから飛ぶ、ステンレスだから飛ばない、という単純な話ではない点にご注意

チタンとステンレスの違いとして、同じ強度で精製した場合、チタンのほうが軽く仕上げることができます。

ドライバーヘッドの素材にチタンが多く使用されるようになったのは、大きなサイズで作っても軽く仕上げることができるから。大きく作ればフェース面も広く設計することができるので、反発するエリアも広く作りやすくなりますし、反発係数自体も高めやすくなるのです。

最近では、その長所を生かしてたくさんの余剰重量を生み出し、その余剰重量を、ウェートを用いて任意のポジションに配置しています。そうすることで重心位置を調整し、より高性能なドライバーを生み出しているのです。つまりチタンを用いると設計自由度が高くなるからより高性能なヘッドを作りやすくなるのです。

しかしFWは芝から直接打つことがある以上、ヌケの問題があるためヘッドを極端に大きくできません。そうなるとフェースの面積も広くできないため、異なる素材を使っても極端に反発係数を高めることは困難です。さらにはヘッド自体が小さめで軽く作る必要がドライバーほどなかったためチタンを使うメリットは少なかったのです。

だからこそドライバーの素材がチタンに移行した後も、フェアウェイウッドの多くはステンレスのモデルがほとんどでした。何よりチタンはステンレスより加工に手間がかかるため、どうしてもコストが上がってしまうという大きな問題があります。

ところが、少々高くても高性能なフェアウェイウッドが欲しいというニーズが高まりつつあり、そういった流れに応えるべく、チタンを使用してヘッド本体を軽量化。その生まれた余剰重量を作りたい性能に合わせて配置することで、高弾道、低スピンなど、なにかに特化した性能を持つモデルを市販する様になってきているのです。

勘違いしないでいただきたいのは、チタンを使用したフェアウェイウッドが必ずしもゴルファー全員にやさしい、飛ぶとはならないということ。あくまで性能を特化させるためにチタンを使用しているはずなので、カタログなどのキャッチコピーなどを確認して、どんなゴルファーに向けたモデルなのかをしっかり確認することをおすすめします。

This article is a sponsored article by
''.