今週開催の「WGCメキシコ選手権」。同大会で過去7回優勝したことのあるタイガーも5年ぶりに、メキシコに舞台を移してからは初めて出場する。ほかにも世界のトップ選手たちが集う大一番を制するのは? 佐藤信人が予想した。

1999年に始まり今年でちょうど20回目を迎えます。第1回、2回大会はスペインのバルデラマ・ゴルフクラブで開催され、そこから様々な場所に開催地を移し、2017年からはメキシコシティに程近いチャプルテペック・ゴルフクラブで行われています。

チャプルテペック・ゴルフクラブは7345ヤードという距離ですが、標高が2300メートル以上あり富士山でいうと6合目くらいの高さにあるコースで球がよく飛びます。

選手の感覚的には6700ヤードくらいの短いコースで、グリーンも全体的に小さめで、アンジュレーションがきつく、林の木も密集していて、古いタイプの林間コースといった趣のコースです。

まだ2回しかここで行われていないので、どういう選手に向いているのかスタッツを見てもはっきりとはわかりませんが、グリーンはペブルビーチ(編注:AT&Tペブルビーチプロアマ開催コース)のように小さく、フェアウェイやラフはリビエラ(編注:ジェネシスオープン開催コース)と同じキクユ芝で、ベントにポアナが混ざってるグリーンということを考えると、直近2試合ペブルビーチやリビエラで好成績を挙げている選手はコースとの相性からも流れからしても上位争いをする確率が高いと思います。

画像: 同大会で過去7度優勝経験を持つタイガーは優勝争いに食い込めるのか(写真は2019年のファーマーズインシュランスオープン)

同大会で過去7度優勝経験を持つタイガーは優勝争いに食い込めるのか(写真は2019年のファーマーズインシュランスオープン)

1番の注目はやはりタイガー・ウッズ。この大会だけで7度勝っていますが、出場は5年ぶりということでメキシコでのプレーは初めてになります。標高が高くトリッキーなコースということで、過去に出場した選手のほうが有利かもしれませんが、準備は怠らないウッズのことですから、しっかり練習ラウンドで飛距離のデータ取りなどをしてアジャストしてくるでしょう。

トリッキーで繊細なコースマネジメントが要求され、小さいグリーンを攻めていく正確なアイアンショットが求められ、癖の強いキクユやポアナといった芝との相性、どれを考慮してもウッズに向いている気がします。

2017年と2018年の両大会に出場した選手は23名いるそうですが、その中で2回ともトップ10に入った選手は4人います。フィル・ミケルソン、ダスティン・ジョンソン、ジャスティン・トーマス、ティレル・ハットンの4名です。その中でも1番優勝に近く感じるのがジャスティン・トーマスです。先週は悔しい2位となりましたが、2019年に入って4試合中3試合でトップ3。昨年のこの大会では36ホール終了時でトップと11打差という位置から週末62-64という大まくりでプレーオフにまで持ち込みました。72ホール目のセカンドショットは121ヤードを入れてイーグル。一昨年には233ヤードのパー3でホールインワンするなど特にこのコースでは派手なプレーをする印象があります。

アイアン巧者を裏付けるスタッツ(ストロークゲインド・アプローチザグリーン)は今季現在1位。ショットからパット、メンタルに至るまで今もっとも穴がなく安定感のある選手だと感じます。

画像: 前週のジェネシスオープンでは惜しくも2位という成績を残したジャスティン・トーマス(写真は2019年のウェストマネジメントフェニックスオープン)

前週のジェネシスオープンでは惜しくも2位という成績を残したジャスティン・トーマス(写真は2019年のウェストマネジメントフェニックスオープン)

優勝候補とはこの強豪ぞろいの中では言いにくいですが、注目しているのが地元メキシコのエイブラハム・アンサーです。昨年に引き続き2回目の出場になりますが、昨年は世界ランキング260位でメキシコの選手の中では最上位ということで出場権を得ました。

昨年は初めて125位以内に入ってフェデックスカップのプレーオフに進出しました。11月にはオーストラリアンオープンで優勝し、ロベルト・ディアスと組んで出たW杯ではメキシコ史上最高の2位に入りました。世界ランキングも昨年から大きく上がり61位で今週を迎えています。

最近の成績は2試合連続予選落ちの後、先週のジェネシスオープンはなんとか予選を突破して44位タイと決して波に乗っている状態ではありません。ただ参加することに意義があった昨年と比べると今年はしっかりツアーの一員としてのポジションも確立し、今年のラテンアメリカアマで初めてメキシコの選手が優勝して、メキシコゴルフ界が活気付いている印象です。ホームの後押しで上位争いに入ってくると楽しみな存在です。

撮影/姉崎正

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