ダスティン・ジョンソンのツアー通算20勝目で幕を閉じたWGCメキシコ選手権。その最終日、9アンダーと爆発したジャスティン・トーマスの驚異のゴルフを、月刊ゴルフダイジェストのツアー担当・ケンジロウがレポート!

多くのホールがハザードに絡む厳しいピンポジだったが……

こんにちは、ケンジロウです。メキシコシティのチャプルテペックゴルフクラブからお届けしております。

WGCメキシコ選手権の最終日が終わりました。優勝したのはダスティン・ジョンソン。最終日に5つスコアを伸ばし、ロリー・マキロイの追い上げをかわして逃げ切りました。でも最終日に66を出されたら誰も追いつけないですよね。

日本人選手は松山英樹が1つ伸ばしてトータル5アンダーで19位タイ。今平周吾はイーブンパーでトータルもイーブン、小平智はなんと7つ伸ばしてトータル3オーバー。次週のホンダクラシックにも出場予定の小平はなんとか次につながるゴルフができましたね。

小平の7アンダーも凄いですが、それよりさらに2打少なく上がってきたのが、ジャスティン・トーマスです。今日は9アンダーをマークし、トータル9アンダーパー。単独9位に入ってトップ10に食い込みました。トーマスは昨年も最終日に9アンダーを出してプレーオフにまで持ち込みましたからね。

画像: 最終日9アンダーとビックスコアを出しトップ10入りを果たしたジャスティン・トーマス

最終日9アンダーとビックスコアを出しトップ10入りを果たしたジャスティン・トーマス

同組で回っていた今平周吾がジャスティン・トーマスを評してこう言っていました。

「なんかもうトーマスは次元の違うゴルフをしていましたね。どのホールも全部ドライバーで攻めていて、ティショットは曲がらないし、パターも決めてくる。トータル的に凄いなと感じました。でもこうやればいいスコアが出るんだなというのが見ていてわかりました」(今平)

画像: 厳しいピンポジでも果敢にピンを狙うトーマスのプレーを、最終日同組でプレーした今平周吾は「次元の違うゴルフをしていた」と語った

厳しいピンポジでも果敢にピンを狙うトーマスのプレーを、最終日同組でプレーした今平周吾は「次元の違うゴルフをしていた」と語った

最終日にトーマスと回ったことが、マスターズ前の今平選手に大いに収穫になったみたいですね。

私もジャスティン・トーマスのプレーを見ていましたが、確かにティショットは常にドライバーで攻めていて、2打目では常にピンを狙って打っていました。まあスタート前の時点でトップまで16打差あって、今日は攻めるしかないですから、ガンガンと狙ってきたんでしょう。でもハマるとこれだけビッグスコアが出るんですからやはりこちらの選手はバケモノだらけですよね。

今日のピンポジションが書かれたピンシートをご覧ください。

画像: メキシコ選手権最終日のピンシート。(画像はPGA TOUR Communicationsのツイッターより)

メキシコ選手権最終日のピンシート。(画像はPGA TOUR Communicationsのツイッターより)

エッジから3ヤードのホールは1番、2番、3番、12番、14番と5ホールもあります。それ以外もほとんどが5ヤード以内でグリーンの左右の際にふってあるのがわかるでしょう。

とても9アンダーが出るようなピンポジじゃないんですけどね……。

1番や2番などは距離が短くて比較的簡単とされているので、最終日はピン位置も厳しいところにして簡単にバーディを奪えないようにしているのだと思います。基本的にどのホールもハザード越えやハザードわきに切ってあってピンを狙うのには勇気がいるようなケースが多いんです。

トーマスは「高い球」で厳しいピンを攻める

そんな難しいピン位置をものともせずにトーマスはバーディを積み重ねていきました。3番のパー3(160Y)は、左から3ヤードのところでバンカー越えのピン位置だったのですが、あわやホールインワンという球でピンの根元にキャリーさせました。

画像: 3番パー3ではあわやホールインワンというスーパーショットを見せたトーマス

3番パー3ではあわやホールインワンというスーパーショットを見せたトーマス

左右にふってあるピンに対して果敢に攻めていくトーマスを見ていた今平は、「トーマスはアイアンで高い球が打てるのでピン位置にあまり関係なく攻められるんだなと思いました」とコメント。

なるほど~。まさにそれが現れていたのは5番ホールでした。トーマスのティショットがフェアウェイ右サイドに行ってしまって、2打目で右手前のピンを狙うのは目の前の木が邪魔になりそうでした。どうやって打つのかなと思って見ていたら、スライス系の高い球で木の左上に球を出していき、ピンのやや上に落として傾斜で寄せていました。

傾斜を上手く利用したショット。トーマスのように2打目でグリーンブックをよく見て、グリーンの傾斜の詳細をしっかりと確認しどこに落としてどのぐらい転がるかを計算している選手は多いですね。最近はショートアイアンでもスピンをかけない球を打つ選手が増えていると聞きます。ボール自体がスピンがかかりにくくなっているというのもありますが、高さで止めるほうが、バックスピンのかかり具合で戻りすぎたり戻らなかったりの影響を受けることがなく、グリーン上の計算がしやすいとプロは思っているようです。

優勝争いに絡むような選手は、ドライバーの飛距離やよく入るパットに目が行きがちですが、実際はこうしたアイアンやウェッジでの2打目の駆け引きも上手いんですよね~。

撮影/姉﨑正

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