世界のトップ選手が集うPGAツアーに、日本のハタチの若者が出場を果たした。昨年米ツアーの3部ツアーで上位の成績を残し、今年は2部ツアーに昇格。夢のPGAツアー出場資格を得るべく戦う男の姿を、米国在住のゴルフアナリスト、アンディ・和田がレポート。

先週、ネットニュースで「小斉平」という名前をご覧になった方も多かったのではないでしょうか? マンデー予選を突破してPGAツアープエルトリコオープンに出場するも、スコアは76-74の6オーバーで予選落ち。結果だけを報じるとこれだけで流されてしまってもしょうがないのですが、まだ20歳ながら、日本ツアーと米国下部ツアー両方の出場資格を持つ有望株「こさいひら」選手を紹介させて下さい。

画像: PGAツアー「プエルトリコオープン」のマンデー予選を通過しツアーデビューを果たした小斉平優和

PGAツアー「プエルトリコオープン」のマンデー予選を通過しツアーデビューを果たした小斉平優和

小斉平優和(ゆうわ)は1998年5月生まれ、大阪府高槻市出身のハタチ。高校2年のときに日本ジュニアで準優勝、高校3年では見事優勝を果たします。高校在籍中の2016年12月にプロ転向した彼に 転機が訪れたのは2017年。国内ツアーの予選会(サードQT)の申し込み期限が過ぎてしまい、エントリーミスをしてしまった彼は、中国で開催されている米PGAツアー3部扱いの「PGAツアーチャイナ」の予選会に挑戦し、出場権を得ます。

迎えた2018年は中国各地を転戦し14試合に参戦。 優勝には届かなかったものの2位が2回を含むトップ10フィニッシュ7回と健闘。シーズン終了時の賞金ランク4位で米ツアー2部「ウェブドットコムツアー(以下WCT)」メンバー資格を取得したのです。また、並行して挑戦していた日本ゴルフツアー最終予選会(ファイナルQT)は4位タイで通過。日本のレギュラーとPGAツアーの2部、両方の出場権を得たのです。

画像: 3部にあたるPGAツアーチャイナで上位に入り、2部であるweb.comツアーの出場権をつかんだ

3部にあたるPGAツアーチャイナで上位に入り、2部であるweb.comツアーの出場権をつかんだ

私が小斉平選手に初めて会ったのは2015年フロリダで行われた大きなジュニア大会でした。今回、プエルトリコオープンに出場した彼と再会して、一回り大きくなった身体と切れ味抜群のアイアン精度に驚かされしたが、はにかむ表情は当時と同じでした。

最近の若手ゴルファーは洗練されて見栄えを気にするタイプが多い中で彼は素朴な昭和の高校球児のようなタイプ。英語でのコミュニケーションに苦労しながら、壊れかけた無印良品のトラベルケースとスーツケースで移動する姿を見ていると大丈夫かな? と心配してしまう反面、こうやって逞しくなっていくんだろうなというポテンシャルを感じました。

画像: まだハタチながらレンタカーを借りて一人で異国の地を転戦している

まだハタチながらレンタカーを借りて一人で異国の地を転戦している

一方、ここまでの2019年シーズンは正直良い成績は残せていません。WCT初戦と2戦目は出場資格を持っていましたが、日本ツアー開幕戦のSMBCシンガポールオープンに参戦するも、66位。そのあと南米コロンビア開催のWCT 3戦目は上がり2ホールで3つスコアを落としてしまい予選落ちを喫してしまいます。WCTは4試合ごとにリランキング制度が定められていて出場資格がめまぐるしく変わります。優先順位が下がってしまい本戦からの出場資格が回ってこなかったシーズン5戦目はマンデー予選に挑戦。キャディも雇わずプッシュカートを押して淡々とプレーし、1アンダーパーを記録するものの予選通過の6アンダーには及びませんでした。その翌週、フロリダ州パームビーチで開催されていたPGAツアー「プエルトリコオープン」のマンデー予選に挑戦。 ここでは上がり4ホール連続バーディーフィニッシュで65(1位タイ4人、3枠が通過)。プレーオフ2ホール目でバーディを奪いPGAツアー初出場の資格をもぎ取ったというわけです。

画像: 「プエルトリコオープン」では残念ながら予選落ち。今後の活躍が期待される

「プエルトリコオープン」では残念ながら予選落ち。今後の活躍が期待される

単純に賞金だけで比べてみると、1試合平均は日本ツアー競技の約5.7倍のPGAツアーをメンバーとして主戦場にする方法は限定されています。
1.PGAツアー競技で優勝すること。(2018年の小平智パターン)
2.スポット参戦でフェデックスポイントを稼ぎ同年度125位相当よりも上回ると翌年からメンバー扱い(2012年の石川遼、2013年の松山英樹パターン)
3.下部ツアー年間シーズンポイント25位以内(2005年の今田竜二パターン)
4.入れ替え戦(下部ツアー競技) 25位以内(2013年の石川遼パターン)

Qスクールと呼ばれていたPGAツアーの予選会は2012年を最後に廃止、現在の予選会は下部ツアー(WCT)のみという形に収まっています。小斉平選手がPGAツアー昇格で狙っているルートは「3」と「4」。 今年このあとWCTで活躍するにはマンデー予選と予選免除で出場が回ってきそうな3、4試合でワンチャンスを活かす必要があります。ぜひ、ハタチの若武者の活躍をチェックしてみてください。

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