今週開催のザ・ホンダクラシックに初出場する小平智。PGAツアー2勝目を目指す小平が、そのきっかけをつかむために加えた2つの変更とはいったい? 月刊ゴルフダイジェストのツアー担当・ケンジロウが現地からレポート。

ドライバーのシャフトを0.5インチ長くした

こんにちは、ケンジロウです。メキシコシティからフロリダのウェストパームビーチに移動してきました。今週はPGAナショナルで行われるホンダクラシックです。

昨年はタイガー・ウッズが出場するなど毎年フィールドが充実している大会でしたが、今年はWGCメキシコ選手権とアーノルドパーマー招待の間に挟まれる形となり、スキップする選手が多く出ました。松山英樹も今週は同じフロリダにいますが、ホンダクラシックには出場せずに自宅のあるオーランドで練習に励んでいます。

今日の話題はもう一人のPGAツアーメンバーの日本人選手、小平智です。先週のメキシコ選手権はトータル3オーバーの51位タイでフィニッシュ。3日目まで思うようなゴルフができませんでしたが、最終日に7アンダーと気を吐き、今週に向けていい流れを作りました。

画像: ザ・ホンダクラシックに出場する小平智

ザ・ホンダクラシックに出場する小平智

小平はメキシコの試合が終わってそのまま空港に移動し、PGAツアーが用意しているチャーター便でその日のうちにウェストパームビーチに移動。月曜日には休むことなく開催コースのPGAナショナルに入り、レンジで球を打ったそうです。連戦が続いていますが、疲れ知らずで本当にタフですよね。このあとマスターズの前の週まで休みなく試合に出る予定だそうです。

何でもPGAツアーのチャーター便の飛行機(今回はアエロメヒコ)は、選手にはビジネスクラスがあてがわれるらしく、それも昨年の成績順で順番に席が決まっていくそうです。もちろん昨年ツアー優勝者の小平智はビジネスクラス。リッキー・ファウラーもいたみたいですが、奥さんと一緒に座るために、二人でエコノミーシートに座っていたそうですよ。リッキー、やさしいですよね。

ちなみにエコノミーシートだとしても、一列をまるまる使っていいそうなので、我々と比べたらだいぶ楽ですよね。

さて、その小平ですが、先週、今週でちょっとした変化がありました。

ひとつはドライバーのスペックチェンジです。ヘッドは変わりませんが、ソールのお尻側にあったおもりを外してヒール側になまりを貼ったんです。細かい調整ですが、振り心地がまったく変わりますからね、プロにとっては大きな変化です。

ではなぜそうしたのか? これから説明していきますね。

実は今週の試合に向けて、日本から0.5インチ伸ばしたシャフトをスタッフに持ってきてもらっていたんです。ドライバーの長さを44.5インチから45インチに変更しました。

「最近すごく振れるようになってきたんですが、振れるようになるとインパクトでちょっと当たり負けするようになって、スピンが足りずにドロップしていたんです。

そこで思いついたのが、シャフトを長くすること。長くすることでヘッド速度が0.5m/s~1m/sは上がるので、その分厚く当たるようになり、しっかりとスピンが入るようになりました。やっぱりある程度スピンが入ってくれないとキャリーの距離が計算できないですからね」

画像: シャフトを0.5インチ伸ばすことで、スピンがある程度入るように調整した

シャフトを0.5インチ伸ばすことで、スピンがある程度入るように調整した

とシャフトを半インチ伸ばした理由を語ってくれた小平智。ひと昔前まではクラブもボールもスピンを減らす傾向にありましたけど、今はむしろ「スピンを増やしたい」という傾向になってきていますよね。

クラブを長くしたことで、バランスが重くなるので、ヘッドのお尻側にあった8グラムのおもりをまるまる外して、代わりに数グラムのなまりを貼りました。火曜日の練習ラウンド9ホールにつきましたが、ドライバーはほぼノーミス。飛距離も300ヤード近く出ていて安定感抜群のフェードボールで狭いフェアウェイをとらえていましたね。

画像: 火曜日の練習ラウンドでは、ドライバーはほぼノーミス

火曜日の練習ラウンドでは、ドライバーはほぼノーミス

さらに試合直前の水曜日の練習ではトラックマンでデータを測りつつトウ側のおもりを変えたりなまりを外したりして微調整をはかりました。最後まで最良のスペックを求めて試している様子でしたね。

そしてもうひとつの変化と言うとパッティングのストロークです。具体的に何を変えたのか? 本人に語ってもらいましょう。

「(松山)英樹のパッティングをみていて気づいたんですよ。英樹ってけっこう前傾するじゃないですか。前傾が深くて、その前傾が変わらないまま振り子のようにヒットしている。そのイメージで練習してみたら、ストロークがすごく良かったんです。

僕は前傾が浅くなると、けっこう引っかけてしまって、なでるような感じになってしまう。ですから、ちょっと前傾を深くしてストローク中に頭がぶれないように練習しています。わきを締めて前傾したまま肩で打つ。長尺パターで振り子のように打つ感覚で、手を使わずに打てるので、プレッシャーかかった時でもしっかりとヒットできるんです」

画像: 松山のように深い前傾姿勢で振り子のように打つことで、パットが良くなったと小平

松山のように深い前傾姿勢で振り子のように打つことで、パットが良くなったと小平

なるほど~。メキシコ選手権の最終日はパットが入りまくっていましたからね。“松山英樹イメージ”のスタイルが上手くいったんでしょう。

ここしばらくなかなか思うような成績が残せていない小平智ですが、浮上するきっかけをつかもうと、必至に戦っています。思えば昨年もメキシコ選手権のあたりがどん底でしたからね。その後のマッチプレーから調子を取り戻しマスターズで手ごたえを感じて、その翌週のヘリテージで優勝しました。

ちょうどいまそこから一年が経とうとしています。昨年の再現といきたいところですね。

撮影/姉﨑正

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