アマチュアゴルファーはミスをしてしまうと、「過去」に起きたその出来事にとらわれ、またミスをするのではないかと「未来」に不安を抱く。しかしツアー通算30勝のレジェント・倉本昌弘は「現在」に集中することが重要だと述べる。自身の著書「本番に強くなるゴルフ」からいい流れを掴むための考え方を教えてもらおう。

流れをつかむためには目の前の1打に集中すること

よく、トーナメントで勝ったプロが「あのバットで流れをつかんだ」と言ったり、優勝争いから脱落したプロに対して、解説者が「あのミスで流れが悪くなった」などと言うことがあります。ここでは、この「流れ」についてお話をしたいと思います。

まず、流れには1日1日の流れ、1週間(トーナメント期間)の流れ、もう少し長い期間としての流れ、1年の流れ、プレーヤーとしての成長期、円熟期というようにさらに長い流れがあります。その中で、たとえば全ての流れがいいときには、少々のミス、やってはいけないミスをしても、結果的にその日の流れを断ち切ることがありません。

逆に、中、長期的な流れが悪いときには小さなミスでもドツボにはまったりします。つまり、いわゆる流れが悪くなると言われていることをやっても、いつでも流れが悪くなるとは限らないけれども、小さなミスがときに流れを大きく崩すことがあるのです。また、流れには自分の流れだけではなくて、周りの流れもあります。

画像: 1打のショットやパットが流れを変えるというのは、あくまで心の問題だ

1打のショットやパットが流れを変えるというのは、あくまで心の問題だ

たとえば、自分の流れがいいときにポカをすると、それに合わせて相手もポカをしてくれたりすることがある。自分がミスをして、まずいなぁと思っているのに、相手が信じられないようなミスをして助かる。それで勝ってしまったりするということもあるわけです。

これは、自分が流れを切りそうになっても、相手の流れによってそれが切れない。結果的にそう感じることがあるということです。いずれにしても、先ほどの例と同じように、流れが悪くなりそうなプレーをしたから、必ず流れが悪くなるとは限らないのです。

これは何が言いたいのかというと、流れというのは非常に微妙なもので、流れを切った1打とか、流れをつかんだ1打などというのは、あくまでも結果論であり、自分の思い込みだということなのです。プレーヤーというのは、とかく「ここでこんなことをすると流れが切れる」とか、「こうやってやれば流れが自分のほうに来る」などと考える。

でも、実際に戦っている最中に、意図的に流れを変えられるようなショットやプレーなどというものはあまりないと、私は思います。それは、結果的に「あのショットで自分のところに流れが来たな」と思う程度のことではないかと。 たとえば、優勝争いをしている選手が、最終日の後半に3パットをきっかけに連続ボギーを打って優勝戦線から離脱したとします。

そんなとき、「あの3パットが流れを変えた」「あのパットが悪い流れを呼んだ」などと言われるのですが、やはりそれは心の問題で、心がしっかりしていればその悪い流れも断ち切れたはずなのです。つまり、流れが悪くなったのは、3パットそのもののせいではなく、そのミスを引き摺ったままプ レーしたことに原因があるということです。では、そんなときどうすればよかったのか。

基本的には、どんなときでも、ワンショットワンショット、目の前の1打に集中するしかないと私は考えています。つまり、過去のことは考えないし、未来のことも考えない。過去を引き摺り、過去に囚われているから流れが悪いと感じる。だから、悪い流れを断ち切るためにも、いい流れをつかむためにも、いつも現在にいるということが非常に大切なのです。悪い流れを断ち切るために何かをするというよりも、「現在」に集中することで、結果的に悪い流れが断ち切れると言ったほうが正確かもしれません。

プレーヤーというのは、どうしても過去に囚われ、未来を予測してしまう。しかし、 それこそが悪い流れを呼ぶ。たとえば、大事なところでつまらない3パットをして、「流れが悪い」と感じたとします。そこで「次のグリーンでは慎重にいかなくちゃ」と考える。でも、それ自体が過去に囚われて、未来を予測しているわけです。3パットは動かしようのない事実で、次のグリーンのことなんて、どうなるか全くわからない。そんなことにこだわっていると、次のショットに集中できず、迷いや不安が生まれてミスを続け、どんどん流れが悪くなってしまうのです。

だから、結局目の前の1打1打に集中するしかない。集中というのは、できる、できないに関わらず、いま目の前にある状況の中で、打つべき球筋をしっかりとイメージし、そのためのスウィングをやりきるということです。逆に言うと、流れがいいときというのは、自然に「現在」のプレー、スウィングに集中できているものなのです。

「本番に強くなるゴルフ」(ゴルフダイジェスト新書)より

撮影/岩井基剛

画像: 「お尻ポールドリル」で飛距離アップ!どうやってやるの?~小澤美奈瀬の飛距離アップレッスン~ youtu.be

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