洋服にはS、M、Lとサイズがあるが、ゴルフクラブにSサイズもLサイズもない。だが、身長が180センチの人と160センチの人は同じクラブでいいのだろうか。業界屈指のギアオタクでクラブフィッターの小倉勇人が考えた。

インパクト時のライ角は人それぞれ

みなさんこんにちは、ギアオタク店長の小倉です。先日、とあるゴルフコミュニティのイベントにお邪魔してきました。そのコミュニティは、老若男女問わず様々なゴルファーがいたのですが、そこでこんな質問をされました。

「やっぱり、身長の違いで選ぶクラブは変わってくるんですかね?」と。その質問をされた方は身長184センチの男性で、使用しているアイアンが同じコミュニティにいる165センチの男性と同じだそうで何となく疑問に思ったそうです。確かに20センチも身長の差があれば、何かしら調整をしないとダメなのではと思いますよね。では具体的に身長差はどういった点に違いが表れるのでしょうか。

画像: 193センチのダスティン・ジョンソンと175センチのリッキー・ファウラーは20センチ近い身長差だ(写真は2018年の全米プロ。撮影/姉崎正)

193センチのダスティン・ジョンソンと175センチのリッキー・ファウラーは20センチ近い身長差だ(写真は2018年の全米プロ。撮影/姉崎正)

先に結論からお伝えしますと、ヘッドに関しては、身体的特徴でモデルが変わることはありません。ですが、クラブのスペックは調整する必要がある場合があります。私はクラブフィッティングの際に、身長に対しての手の長さを確認しています。アドレスした時に、手がどの辺に位置するかをチェックし、クラブとしての長さが適正かどうかを見ているのです。

しかし、この時点で気になるような手の位置になる方はまずいらっしゃいません。身長の高い方はその分手が長く、身長の低い方は手が短くなっているのでアドレス時の手の位置はそれほど変わらないことが多いのです。

とはいえ、身長に対して手の長い方、短い方もいらっしゃいますから、必ずチェックをするようにしています。もしそういった方がいらっしゃいましたら、同じヘッドで長さ違いのクラブを打ってもらい、長さの違いがちゃんとメリットにつながるかを確認する様にしています。

では、身長差を含む身体的特徴が最も影響するクラブの項目は何かといいますと、ライ角です。身長が高い方ほど、トップの位置が高くなりやすいので自然とアップライトなスウィング軌道になりやすく、身長の低い方ほど、トップの位置が低くなりやすいのでフラットなスウィング軌道になりやすいので、そういった方が来られた時は、動的ライ角、つまり実際のインパクトした時に正しい角度でボールを捉えられているかをチェックし、必要とあれば調整するようにしています。

画像: 正しいライ角度でインパクトできないと、ボールが曲がる要因となる

正しいライ角度でインパクトできないと、ボールが曲がる要因となる

勘違いしないで欲しいのは、身長が高いからと言って必ずしもアップライトに、低いからと言ってフラットになっているとは限らない事。個々のスウィングも加味したうえで、クラブを調整しないとかえって悪い方向に行ってしまう事もありますから。

身体的特徴は、あくまでクラブフィッティングのスタート地点。そこにスウィングと目指すべき結果、本人の要望などを踏まえておすすめのモデルやスペックが決まります。よくお勧めのクラブは? という質問を受けますが、その方におすすめするには最低でもスウィングと目指すべき弾道をお聞きしないとお答えできないのです。

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