今シーズン2勝を挙げ、マスターズでも初日首位に立ち、最終日にはホールインワンを記録したブライソン・デシャンボー。“ゴルフの科学者”とも言われる彼が、数々の逸話を残した伝説のゴルファーのスウィングを研究対象としているという。その理論を吉田洋一郎がひも解く。

タイガー、デシャンボーらが惚れ込んだスウィング

アイアンをすべて同じ長さにそろえたり、さまざまな器具でスウィングやコースのチェックするなどゴルフを“科学”することで知られるデシャンボー。そんな彼は、近年モー・ノーマンという選手を研究し、そして自らのスウィングの糧にしようとしています。

ノーマンは1960年代から70年代にかけて活躍したカナダ人選手ですが、PGAツアーでは未勝利ということもあり、その名前はあまり知られていません。一方、同時代に活躍をしたトム・ワトソンからは「誰よりも上手にボールを打つ」と称賛され、サム・スニードからは「ゴルフ界で最高の腕を持ったプレーヤーだ」とこれ以上ない賛辞を送られています。

また同時期にプレーをしていないにも関わらず、タイガー・ウッズはベン・ホーガンとモー・ノーマンを引き合いに出して「2人のように自分だけのスウィングを手に入れたい」とコメントしたこともありました。

画像: ゴルフの科学者・デシャンボ―が研究しているというモー・ノーマン

ゴルフの科学者・デシャンボ―が研究しているというモー・ノーマン

ノーマンがこれほどまでに多くのプロに認められているのは、ショットの正確性が群を抜いていたためと言われています。その逸話は数多くあり、「1500発近くのドライバーショットを連続して放ち、そのすべてを30ヤードの枠に収めた」、「ティショットで240ヤード先の川にかかる細い橋を狙い、その橋を通過させて川の向こうのフェアウェイにボールを運んだ」という超人的なエピソードからも、正確性と再現性の高さがうかがい知れます。

ワンプレーンを極めたノーマン

究極までに高められた正確性と再現性の秘密は、“ワンプレーンスウィング”にあります。手首の動きを抑えるために少しハンドアップ気味に構えたアドレスから始動するテークバックと、ダウンスウィングのスウィングプレーンがほとんどずれずに重なります。

アドレスでは左手とシャフトが一直線になるように構え、スウィング中、コッキングや前腕の旋回などフェース面が開閉する動きを極力排除します。そうすることでインパクトゾーンでフェース面が目標を向く時間を少しでも長くし、タイミングがずれてもミスにならないようリスクヘッジをしているのです。

インパクトゾーンを長く保つため、切り返し以降の体重移動は独特の形をとります。一言でいえば、回転ではなく横移動。回る動きはフェースの開閉が生まれやすくなるため、右から左にスライドをするように動かします。

画像: 史上最高のボールストライカーとも言われる、モー・ノーマンのドライバーショット。見ての通り、かなり独特なスウィングだ

史上最高のボールストライカーとも言われる、モー・ノーマンのドライバーショット。見ての通り、かなり独特なスウィングだ

今トレンドになっているスウィングとは、かけ離れた部分も多いノーマンの動き。ですがタイガーやデシャンボーといったトップ選手が着目するように、アマチュアにも曲げない正確なショットをするためにヒントとなる点が多くあります。現に米国ではノーマンの理論をもとにスウィングを教えるアカデミーが、多くのアマチュアに支持されています。今回、そのアカデミーを訪ね、あらためてノーマンのスウィングを見つめなおしてみました。

残念ながら2004年に他界してしまった、伝説の名手モー・ノーマン。もうそのスウィングを生で見ることはできませんが、彼が残したエッセンスを現在発売中の『choise』春号にまとめましたので、ぜひチェックしてみてください。

画像: 飛ばしのコツは腕をムチのように使うこと~小澤美奈瀬の飛距離アップレッスン②~ youtu.be

飛ばしのコツは腕をムチのように使うこと~小澤美奈瀬の飛距離アップレッスン②~

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