パナソニックレディースで、ハタチにしてツアー通算3勝目(アマチュア優勝含む)を挙げた黄金世代の勝みなみ。さらに完成度を高めてきたそのスウィングを、プロゴルファー・中村修が解説。

昨年の11月のエリエールレディスで勝みなみ選手がプロ初優勝を遂げた際、「もしツアーが12月以降も続いていれば、勝選手にはもっと勝つチャンスがあった」と思ったものですが、2019年シーズンは5月にして早くも優勝カップを掲げる姿を見せてくれました。

画像: プロ初優勝を挙げた昨年からさらに一段階成長した今シーズンの勝みなみ (写真はTポイント×ENEOS ゴルフトーナメント 撮影/姉崎正)

プロ初優勝を挙げた昨年からさらに一段階成長した今シーズンの勝みなみ

(写真はTポイント×ENEOS ゴルフトーナメント 撮影/姉崎正)

そんな勝選手の2019年の部門別データは、目を見張るほど素晴らしいものがあります。平均バーディ数、パーブレーク率、パー4の平均スコアの各部門で1位と、攻撃力はツアー最強レベル。

他にもトップ10入りしている部門が複数ありますが、もっとも注目したいのはパーオン率で、昨年の70位から今年は3位と、大幅に順位を上げています。数字も約64.2%から73.8%と実に10%近くも増加。もともと良かったショット力にさらなる磨きがかけられたことが、出場7試合のうち6試合で予選を通過し、5試合でトップ10入りという好成績を支えています。

ツアー平均レベルから一気にトップレベルへと数字を伸ばしたアイアンショット。そのスウィングを見ていきましょう。まず見てもらいたいのは、トップと、そこからの切り返し(画像A)です。

画像: 画像A:コンパクトなトップから、右足の角度をほぼ変えずに切り返している(写真はダイキンオーキッド レディス 撮影/姉崎正)

画像A:コンパクトなトップから、右足の角度をほぼ変えずに切り返している(写真はダイキンオーキッド レディス 撮影/姉崎正)

特徴的なコンパクトなトップから切り返していくわけですが、注目ポイントは右足です。左足が大きく目標方向に動いているのに対し、右足の形はほとんど変わっていません。

右足が動かないことで、右肩がかぶってくることがなく、上半身と下半身の捻転差が大きく作られることで、インパクトに向けて加速していく準備ができています。股関節がしっかりと曲げられたままであることで前傾角度にも変化は見られません。まさに一級品の切り返しです。

画像: 画像B:左手甲がターゲット方向をピタリと向くスクェアインパクト(写真はダイキンオーキッド レディス 撮影/姉崎正)

画像B:左手甲がターゲット方向をピタリと向くスクェアインパクト(写真はダイキンオーキッド レディス 撮影/姉崎正)

続いて見てもらいたいのが画像B。インパクトのポジションはほぼ完璧と言っていいのではないでしょうか。帽子のつばの向きが変わらないまま、左サイドの壁をしっかりと作り、左手の甲が完全にターゲットを向いたスクェア極まりないインパクトです。

最近のPGAツアーの選手などを見ると、スウィング中にフェースを開かず、トップの時点でフェースがスクェアな状態を作ってそのまま振り抜くスウィングも見られますが、勝選手の場合はフェースを開閉するオーソドックスなスウィングですが、その精度が極めて高い。無駄な動きが見られないので、当然再現性も高いと思います。

フェースの開閉を伴うスウィングは、インパクトでヘッドが加速し、振り抜きもいい。パナソニックレディース最終日の16番で見せてくれたラフからの切れ味鋭いショットなどは、まさにそのように振ることの良さが出た一打ではないでしょうか。

オフの間に休むことなく練習を重ねたのでしょう。勝選手のショット力はツアートップレベルと言って間違いがありません。今年は賞金女王争いに絡む活躍を期待していいのではないでしょうか。

画像: 動かない右足が生み出すパワー「勝みなみ」のスウィング分析【スウィング大辞典】 youtu.be

動かない右足が生み出すパワー「勝みなみ」のスウィング分析【スウィング大辞典】

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