ツアープロの悩みは同じツアープロが一番よく分かるもの。なので、同じツアープロに指導を仰いでいるシーンはそこまで珍しいものではないが、サロンパスカップの練習日でツアー担当がみつけたのは、大山志保と小祝さくらの「パッティング勝負」の場面。一体どういうこと? 本人たちに聞いてみた。

「大山先生」はみんなに信頼されている

ツアー取材をしていると、たまに見かけるのが「プロからプロへの指導」。過去に、自分も選手として出場する大会の練習日に、当時スランプに陥っていた比嘉真美子に付きっ切りでアドバイスを送っていた大山志保。もちろん本人の努力や周りの協力もあったとはいえ、そのアドバイスが比嘉を立て直した一端を担っているのは間違いない。

他にも、アプローチに悩んでいた竹内美雪が、世界レベルの技術を持つシン・ジエに指導を仰いだシーンも見かけたことがある。同じ境遇で戦っているツアープロ同士だからこそ言えるアドバイスもあるだろうし、コースや芝の特徴も熟知しているベテランから学ぶことは多いだろう。

そんなシーンがサロンパスカップの練習日にまた見られた。大山志保と小祝さくらだ。1977年生まれの大山と98年生まれの小祝という組み合わせは珍しく感じるが、一体何をしているのだろうか。しばらく様子をうかがった。

練習グリーン上で目標のカップを決め、ロングパットやショートパットを織り交ぜながらどちらが先にカップインできるかを競い合っている。それを何度も繰り返す。実際に真剣にラインを読み、ロングパットを沈めたときには本番ばりのガッツポーズに「よしっ!」という掛け声。最終的には「勝ったー」と言いながら大山がグリーンを後にした。話を聞いた。

画像: 実戦さながらのパット勝負を楽しむ小祝さくら(左)と大山志保(右)

実戦さながらのパット勝負を楽しむ小祝さくら(左)と大山志保(右)

「いつもさくらちゃんから声をかけてくれて(勝負しています)。かわいいんですよ(笑)。今日は9ホールだったけど、熊本(バンテリンレディス)のときはもうちょっとやったかな?」(大山)

と、今回だけじゃないと話す大山。ちなみにどっちが勝ち越している?

「今いい勝負ですね。今回は本当に9ホールの勝負で(勝って)“いえーい”と。今日は勝ったけど、さくらちゃんも今パターすごくいい感じだから、楽しみです。いつもチェックしているんです、さくらちゃんのパターのランキング」(大山)

2018年の小祝の平均パット数は全体の22位とまずまず。今年は今のところ44位(5月15日現在)だが、これからどこまでランキングを上げられるか。

画像: 大山のパットを一番近くで見ることが小祝にとって一番の勉強だ

大山のパットを一番近くで見ることが小祝にとって一番の勉強だ

「私は元々パットを強く打つタイプで、さくらちゃんはタッチで入れるタイプ。声をかけてくれたときも『大山さんの強いパットが見たい!』って。かわいいですよね、そうやって声をかけてくれて。でも今日は9ホールで勝って逃げようと思って(笑)」(大山)

と話した。毎回勝負を挑んでいるという小祝にもその理由を聞いてみた。

「私のパターがあまりにもひどすぎて、コーチ(辻村明志コーチ)が『大山さんのパターは勉強になるから勝負を挑んでこい』と(笑)。すごくすごく勉強になっています」(小祝)

とのこと。タッチで入れるタイプの小祝に足りない要素を大山が持っていると判断したコーチのアドバイスだったと話した。ちなみに勝敗に関しては「大山さん本当に上手くて、私なんてまだまだです……」と謙虚に話した。

さまざまなシーンにおいて「技術は先輩から盗め!」なんて言葉があるが、それはプロゴルファーも同じ。とはいえ、大山にしろシン・ジエにしろ“嫌な顔ひとつせず”に後輩へアドバイスを送る姿を見ていると、ベテランや若手関係なく切磋琢磨し、これからの女子ツアーをもっと盛り上げてくれると感じさせてくれる。

撮影/矢田部裕 取材大会/ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ

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