同じメーカーの同じアイアンの番手でもモデルによってロフト角や長さなどのスペックが異なることはよくある。ギアライター・高梨祥明がダンロップの人気シリーズ「ゼクシオ」3兄弟を打ち比べ、改めてアイアンのロフトとシャフトの関係性を考えた。

ストロングロフトだからこそ球の「高さ」に注目したい

先日、ダンロップの人気シリーズ、ゼクシオのアイアンを打ち比べる機会があった。現在、ゼクシオシリーズのアイアン(メンズ)は、レギュラーモデルの『ゼクシオテン』、超ストロングロフトの『ゼクシオクロス』、軽量モデルの『ゼクシオプライム』、そしてやや路線の違う『ゼクシオフォージド』、グランドシニア向けの『ゼクシオプライムVP』の5モデルが展開されている。

今回は、その中の主力モデルである『テン』、『クロス』、『プライム』を打ち比べ、打球データを取ってみた。

画像: ゼクシオ3兄弟アイアンの試打結果

ゼクシオ3兄弟アイアンの試打結果

最初に注目していただきたいのは、それぞれのロフト角。試打番手はすべて#7だが、『テン』が29度、『クロス』25度、『プライム』28度とそれぞれ異なる設定になっていることを確認していただきたい。

数年前までなら『テン』の29度でも十分にストロングロフトと言えたが、今や#7で25度まで来てしまった。これで本当にボールが上がるのか? 心配になるほど立っている。

画像: 手前から『ゼクシオ テン』、『ゼクシオ クロス』、『ゼクシオプライム』。

手前から『ゼクシオ テン』、『ゼクシオ クロス』、『ゼクシオプライム』。

では、気になる打ち出し角度を見ていただきたい。やはりリアルロフトが立っているゼクシオ クロスの打ち出し角度が約20度と他の2モデルに比べ2度以上低くなったが、見た目はちゃんと高く上がっている。

ただし、バックスピン量が少なく、強い球質で前へ前へとグングンいく感じで、飛距離は伸びそうだが、グリーンで止まりにくいのではないかと思ったのが正直なところ。とにかく飛ばしたい人向け!という印象を持った。

そこへ行くと、真逆な印象だったのは『プライム』だ。とにかく打ち出し角度が高く、バックスピンも多い。実際に練習場の天井ネットに当たるんじゃないかと思うほど高弾道だった。リアルロフトは『テン』と1度しか変わらないはずだが、それ以上に高く上がる。とにかくボールを上げたい人向け! そんな感じだった。

クラブのテンポに合わせることが、飛び系アイアンでうまく飛ばすコツ

『クロス』の前にいく推進力。『プライム』の高弾道性能。弾道結果を見ると、それぞれの中間的な位置に『テン』があることがわかる。さすがはレギュラーモデルである。これがあるからこそ、その兄弟モデルの性能を思い切って両極に振ることができたのだろうと思った。

ちなみに、ゼクシオシリーズのアイアンをうまく打つコツは、それぞれの専用カーボンシャフトの動きにうまくスウィングテンポを合わせて振ることだと感じた。振り比べればわかるが、どれもしなやかだが、振り感はまったく違う。

このため3兄弟を同じテンポで振ってしまえば、どれか1モデルはうまく打てても、他の2モデルは気持ち良く振れない! ということになるだろう。

また、クラブにテンポを合わせず、自分のテンポでクイックに振りに行ってしまえば、おそらく3兄弟すべてがうまく打てないはずだ。自分のテンポでいきたければ、スチールシャフトメインの『ゼクシオ フォージド』か、『テン』のスチールシャフトモデル。あるいはゼクシオではないブランドから選んだほうがいいだろうと思う。

画像: ロフトが立っていても、シャフトの動きに合わせて振れば高弾道になる。写真は『ゼクシオ プライム』の測定結果画面

ロフトが立っていても、シャフトの動きに合わせて振れば高弾道になる。写真は『ゼクシオ プライム』の測定結果画面

ストロングロフトになっているのに、どうしてボールが高く上がるのか? 昨今の超ストロングロフト化に首を傾げているゴルファーも多いと思うが、ロフトが立っているモデルのほとんどが、専用カーボンシャフトメインのモデルであることに注目してもらいたい。

シャフト自体がしなやかで、柔らかく、ヘッドが効いているために、これに合わせて振れば、インパクトでロフトが立ちすぎることはないのである。これがロフトが立っていても、ちゃんと上がる理由である。

おそらく、『ゼクシオ クロス』に重たいスチールシャフトを装着し、なおかつプロモデルアイアンのように自分でインパクトロフトを立たせるようなスイング(ハンドファースト・インパクト)で打ったら、#7でもロングアイアンのような低弾道しか出ないはずなのだ。

ゼクシオシリーズのような、大きな飛びをメインにうたっているシリーズを使う場合は、自分をあまり出さず、クラブ(シャフト)の動きに合わせることが肝心だと、今回の打ち比べで改めて感じた。人によってはクラブに合わせることで自分の出力をかなりセーブするイメージになるかもしれないが、飛び系アイアンをうまく打つならば、その意識が不可欠である。

もちろん、本来、自分の出力をセーブするなんてもったいないことである。そういう人は、全力でいけるスチールシャフトメインのアイアンにいくべき。自分で仕事をするか、クラブに仕事をさせたいか。その度合いで選ぶべき道具は変わってくるのだ。

クラブにお任せと言っておきながら、いざ本番となったらその動きを自分のチカラで封じ込めようとする人は多い。最新クラブほど、クラブに合わせる意識が不可欠。そのことを再度書いて終わりたい。

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