ゲーリー・ウッドランドのメジャー初勝利で幕を下ろした全米オープン。現地で取材した月刊ゴルフダイジェストのツアー担当・ケンジロウが、4日間をプレーし21位タイで大会を終えた松山英樹の「現在の調子」をレポート。再び勝つ日は遠くない!?

振れているから曲がらない。曲がらないから飛距離も出る

こんにちは、ケンジロウです。ただいまカリフォルニアのサンノゼ空港からコネチカット州への移動の飛行機の中で原稿を書いています。

今週のPGAツアーの試合、トラベラーズ選手権の取材に向けてアメリカを横断して西から東への大移動です。サンノゼ空港はUSオープンを観戦に来たお客さんや関係者で朝から大賑わいでした。

画像: 全米オープンはゲーリー・ウッドランドの勝利に終わった(代表撮影/共同通信)

全米オープンはゲーリー・ウッドランドの勝利に終わった(代表撮影/共同通信)

「U.S.オープン」の余韻が冷めないのか、みな昨日の試合の話をしていました。地元のテレビも新聞もウッドランドのネタで一色でしたね。

とここまで書いたところでまさかのトラブル。サンダーストームでサンノゼとハートフォードの経由地であるデンバー空港に降りられず、デンバー手前のグランドジャンクション空港というところで足どめ中です。

乗り継ぎ便のデンバー発ハートフォード行きの飛行機には確実に間に合わなそうです。果たしていつになったら現地にたどりつけるのか。グランドジャンクション空港の外は嵐のような雨が降り、ときおり雷がなっています。

時間ができたので、気を取り直して原稿を書き進めます。

さて、今回の話題は、119回目の全米オープンで21位タイに終わった松山英樹選手の話です。松山選手は一昨年のブリヂストンインビテーショナル(8月)以来、勝ち星から遠ざかっています。

昨年は年が明けてから好調のゾーンに入っていましたが、2月に手首のケガという思わぬアクシデントもあり、復帰後もなかなかいい状態が作れずにそのままシーズンを終えてしまいました。

昨年のシネコックヒルズでの全米オープンにも取材に行きましたが、当時のドライバーショットは「真っすぐ行ってくれ!」と願いながら打っているような状態でしたから、なかなか優勝争いのレベルまでは調子が戻ってきていませんでした(試合直前にエースドライバーが割れるアクシデントもありましたが)。

今シーズンはファーマーズインシュランスOPで3位タイに入り、優勝経験のあるフェニックスオープンでは15位タイに入るなど、調子を上げていました。ただし、その2試合ともに4日間のプレーを見ていましたが、ドライバーショットに関しては成績の割にはいい状態とは言えませんでした。

画像: ドライバーショットは曲がらず、飛距離も出ていた

ドライバーショットは曲がらず、飛距離も出ていた

距離こそ出ていましたが、ドライバーに関してはいいショットと悪いショットの繰り返しで、フェアウェイを外すこともたびたび。アイアンとアプローチでなんとかカバーしてスコアを出すような戦い方でした。

実際にスタッツを見てみると、ファーマーズのフェアウェイキープ率は約45%。ドライバーが曲がっている状態で優勝争いに絡んだのは凄いですが……。

そして約3カ月ぶりに今回の全米オープンで松山選手の試合を生で見たのですが、明らかに別人のようになっていました。とにかくドライバーが曲がらない。不安なく振りきっていて、振れているから曲がらないし、曲がらないからもっと振れて飛距離も出る。そんないいサイクルに入っているように見えました。

全米オープンのドライバーのスタッツは58.93%でしたが(印象的にはもっと高い確率だった)、直近のメモリアルでは69.64%、バイロンネルソンでは89.29%と、数値を見ても調子が上がってきているのは明らかです。以前に比べスウィングのどこをどう変えたのかは見た感じではわかりませんが。

「マスターズのときよりはだいぶ良くなっていますし、ミスの幅はだいぶ狭まっているのであとはミスの回数をどんだけ減らせるかだと思います」と試合後に本人もショットの手ごたえに言及しています。

パッティングも好調。全米オープンは傾斜に苦戦した

もうひとつ、ショットに比べて見違えて変わったのはパッティングです。新しいスタイルのパッティングは先週も記事を書きましたが、ドライバーと同様に、迷いなくボールをしっかりヒットできているという印象を受けました。

画像: ミスもあったが、パッティングも好調だった

ミスもあったが、パッティングも好調だった

ミスらしいミスパットは、3日目の11番の3パットぐらいでしたかね。今までは1メートルぐらいのパットでも「外すのではないか」と内心ドキドキしながら見ていました。今週はそのぐらいの距離が安心して見ていられました。

「上りのフックラインが入っているときはヒデキは調子がいい」松山選手のキャディだった進藤大典さんがかつてそのように言っていたのを思い出しました。

今回のペブルビーチのグリーンでは上りのフックラインの1〜4メートルぐらいをけっこう沈めている印象でした。

画像: スタンスが狭くなり、前傾角度も浅くなった新パッティングスタイルに、本人も好感触のようだ

スタンスが狭くなり、前傾角度も浅くなった新パッティングスタイルに、本人も好感触のようだ

ストロークが良くなっているから、読みに集中できている。ドライバー同様にパッティングもいい流れになっているのではないかと思いました。

本人もパッティングに関しては、「いいところも悪いところも沢山ありましたけど、いまやっていることをしっかりやり続けていきたいです。練習内容も多少なりとも変わると思うんで、いい方法をみつけて頑張りたい」と前向きな様子。

ドライバーとパットがこれだけよくなったのなら、もともとアイアンとアプローチがイイのだから今回の全米オープンは優勝争いするんじゃないかと期待していたのですが、今回は2打目3打目につまずきが多かったように思います。

ドライバ―が曲がってパットが入っていないときはアイアンとアプローチでカバーしていたのですが、今回はそのゾーンでのミスが出て流れを作ることができませんでした。

「波に乗りそうなところで、自分の嫌なショットを打たなければいけなかったりとかそういう意味では精神的にもダメでしたし、技術的にもそういうショットが打てなかったり……まだまだですね」(松山)

具体的に本人が嘆いたのが、最終日にトリプルを打ってしまった6番ホールの3打目。「風が右からでスプーンで打ち上げの球を打たなければいけない状況。左からはアプローチが寄りにくいとかいろいろ考えたらミスになりました」(松山)

画像: 松山の地元・フロリダにはないフェアウェイの傾斜に苦慮した全米オープンだった

松山の地元・フロリダにはないフェアウェイの傾斜に苦慮した全米オープンだった

今週は上に挙げたような傾斜からのショットを課題に挙げていて、

「こういう海岸沿いで、つま先下がりで海からドローを打たなければいけないとか、傾斜地からのショットがたくさんありました。自分が住んでいるフロリダには傾斜地がないんですが、そいうところからチャンスにつけられるようにできないと」と本人は話しています。

かなりレベルが高い話ですが、全米オープンで優勝争いしてくるような選手たちはそのような高度なショットを平然とやってきますからね。やはりメジャー優勝を目指している松山選手には必要な技術なのでしょう。

ドライバ―もパットもいいゾーンに入ってきて、さらにそれ以外の技術も貪欲に追求していく松山選手。

「(一昨年の)絶好調だったときにくらべて、今のほうがいい感覚で打てている。でも一個のミスが大きくなっているので、それを縮められれば世界ランクも上にあげていけるんじゃないかと思います。それを目指して頑張りたいです」と語ってペブルビーチを去っていきました。

画像: 松山が再び勝利の美酒を味わう日は遠くない!?

松山が再び勝利の美酒を味わう日は遠くない!?

自分に厳しいコメントをする彼にしたら、この発言は状態がいいことの表れだと思います。この調子で前進を続けていけば、近い将来に必ずや結果がでるような気がします。このまま期待してみていきたいと思います。

ちなみにトラベラーズ選手権は松山選手お休みです。次は1週間後、新規開催試合のロケット・モーゲージ・クラシックに出場予定です。

写真/服部謙二郎

画像: 【速報】タイトリストのニュードライバー「TS1」をプロが試打!性能は? www.youtube.com

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