全米オープンはゲーリー・ウッドランド選手の優勝で幕を閉じましたね。日本人最高は21位の松山英樹選手でした。7月に開催される全英オープンでも日本人選手の活躍を期待したいところですね。今回は、大舞台で実力を発揮するためのメンタルトレーニングを紹介していきます。

金メダルを取る人のイメージ力

以前「金メダルを取る人」の行動特性について紹介しました。金メダリストになる前から、金メダリストにふさわしい言動や振る舞いをしていくことで、自信をつくっていくという内容でした。今回の記事では「金メダルを取る人のイメージ力」について書いていきたいと思います。

まず理解して頂きたい事が「リアリティ(現実味)のあるイメージ」にアスリートのプレーや行動はかなりの影響を受けているということです。

たとえばあるプロゴルファーに「ツアーで優勝したい」という願望があったとしても、心の中で「優勝したいけど、なんだかんだ言って結局予選落ちしそう」と思っていたとします。すると、優勝より予選落ちのほうが選手にとってリアリティが高いので「予選落ち」のほうに行動、プレーを引っ張られやすいということです。

画像: 全米オープンを制したウッドランド。かつては最終日に崩れることが多かったが、見事な逃げ切り優勝の要因に「メンタル面での成長」を挙げていた(代表撮影/共同通信)

全米オープンを制したウッドランド。かつては最終日に崩れることが多かったが、見事な逃げ切り優勝の要因に「メンタル面での成長」を挙げていた(代表撮影/共同通信)

実際に、サポートしたプロゴルファーで練習ラウンドでは5アンダー以上出せるのに、試合になると5アンダー以上が出せないという方がいました。ヒアリングしていくと「練習ラウンドではできるけど、試合で5アンダー以上のスコアを出したことがないから出せるイメージがしない」と言います。つまり、彼には1日のラウンドで5アンダーを出すリアリティ、現実味がなかったわけです。

このように人はリアリティの強いイメージに沿った行動やプレーを無意識に選択しやすいのです。小学生のときから高校生にかけて親戚や両親から「将来は警察官か消防士が一番良い仕事で、その次が大企業のサラリーマンだ」と定期的に何度も刷り込まれ続ければ、いつの間にかその人の人生イメージには「警察官・消防士・大企業サラリーマン」というイメージが定着し、それに沿った選択をとる可能性が高くなるといえば、なんとなくうなずける話だと思います。(もちろん、例外もありますが)。

このような側面から考えても、選手はリアリティのある、現実味のあるイメージに向かってプレーを進めている可能性が高いのです。ですので「大舞台で実力を発揮し、優勝する」ための1つのメンタル的な準備として「優勝のリアリティ」を高めるイメージトレーニングが不可欠になります。

では、どうすればそのリアリティの高いイメージを作ることができるのか? それはもう単純です。毎日、イメージトレーニングをするだけです。サポートするアスリートには1日2回、1回あたり5分の時間を使い、実力を発揮し優勝している状況をありありと五感を使いイメージするトレーニングをしてもらっています。次のようなイメージです。

「私は初日から大胆かつ着実なゴルフを最終日までバランスよく展開し、トップ争いの最中も常に胸にある自分への自信を感じ、ひとつひとつのプレーに最大限集中することができ、冷静かつ高いエネルギーを持ちプレーすることで優勝をたぐり寄せることができた。ウイニングパットを沈めると同時に喜びを爆発させ、ガッツポーズをする自分がいる。そして、歓喜する大勢のファンの歓声に自分も興奮している」(※実際はさらに詳細に作成します)

画像: 何度もそのガッツポーズで感動を生んできたタイガー。2019年のマスターズ制覇も“未来の記憶”だった!?

何度もそのガッツポーズで感動を生んできたタイガー。2019年のマスターズ制覇も“未来の記憶”だった!?

一説によれば、人は過去の記憶と未来のイメージを明確に区別することができないと言われます。多くの選手が「結局は予選落ちするのではないか」と思うのは過去の記憶に影響されています。ですので、未来イメージを毎日描くトレーニングをつむことで“未来の記憶”として過去記憶よりもリアリティを高くしてしまえば未来イメージに選手のプレーも影響を受けられることになります。

もちろん、このようなイメージトレーニングだけが優勝につながるわけではありません。技術的、身体的に勝つにふさわしい状態が整った上で前回と今回紹介した「優勝できるという自身」、「優勝へのリアルなイメージ」も兼ね備えておければ実現の可能性はよりあがると考えています。

全英オープンに挑む日本人選手にも上位進出、トップ争い、そして優勝への自信とリアルなイメージを持ち、大舞台にチャレンジしてほしいと思います。

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