マシュー・ウルフとビクトル・ホブラン。ともに全米オープンの翌週にプロ転向したばかりの次世代のホープとして話題のプレーヤーだが、同じオクラホマ州立大のゴルフ部に所属し、同じタイミングでプロになったこの二人、しかしゴルファーとしては対照的なようで……現地からゴルフスウィングコンサルタント・吉田洋一郎がレポート。

とにかく個性的! ただ球の勢いはすごいウルフ

2月にフェニックスオープンで見て以来、久しぶりにマシュー・ウルフを見ました。当時も「すごいスウィングをする選手だな」と思ったものですが、それから数カ月、顔にはヒゲが蓄えられ、野性味が増して、本当にウルフ(狼)のようになっていました。

改めてみたスウィングは、やはりすごい。思い切りアウトに上げて、トップではシャフトクロス。そこからインサイドに下ろす8の字スウィングは、デビッド・レッドベターが提唱する「Aスウィング」そのもの。

画像: 前傾角度とほぼ同じシャフトの角度に極端なヒールアップ。ウルフのスウィングは超個性的だ

前傾角度とほぼ同じシャフトの角度に極端なヒールアップ。ウルフのスウィングは超個性的だ

ひと昔、いやふた昔前の選手のように思い切り左かかとを浮かせるフットアクションの大きさも「Aスウィング」的だと感じ、本人に「Aスウィングを意識しているの?」と尋ねると、「Aスウィング? うーん、わからない。知らないなあ」との答え。

彼のコーチは“GG”のニックネームで知られるジョージ・ガンカスなので当然といえば当然ですが、レッドベターにかつて師事した身としてはちょっと残念でした。実際、ウルフのヒールアップは意識的な動きではなく、野球をやっていた頃のクセをそのまま生かしているそうです。

高く上げたヒールを下ろすことで切り返し、インパクトではつま先が浮くくらい反力を使います。それだけに飛距離も十分で、600ヤードを超えるパー5で難なく2オンさせていました。球は高く、軽めのフェードで迫力十分。

画像: インパクトではかかとが浮くほど反力を使うウルフ。その飛距離は大きな武器であり、魅力だ

インパクトではかかとが浮くほど反力を使うウルフ。その飛距離は大きな武器であり、魅力だ

ただ、現時点では粗さも目立ちます。これからどの程度スウィングの完成度が高められるかが勝負ですが、個性的なスウィング、飛距離、尖ったキャラクターと人気者になる要素は備えています。

優等生だがしたたかさも併せ持つ!? ホブラン

一方、ノルウェイ出身のホブランはいつもニコニコ優等生タイプ。外見はデビュー当時のロリー・マキロイに似ており、ギャラリーからも「ホブランって、マキロイに似てるな!」なんて声が。プロアマでプレーしていましたが、同伴のアマチュアと仲良く話し、サインにも気さくに応じる優等生っぷり。

スウィング的には、バックスウィングをアップライトに上げ、上げたところよりフラットに下りてくるスウィングで、フェースはシャット目に使います。イメージとしては、ダスティン・ジョンソンをさらにシンプルにし、基本に近づけたという感じでしょうか。スウィングにも、やはり優等生感があります。

画像: 現代的スウィングのお手本のようなホブランのトップ。ウルフのスウィングとは対照的だ

現代的スウィングのお手本のようなホブランのトップ。ウルフのスウィングとは対照的だ

そんな優等生・ホブランですが、練習場の誰も使っていないエリア(アプローチ練習場の誰も立ち入らない反対側のスペース)にカラーコーンを20ヤード間隔で置き、勝手に練習していました。新人とは思えない度胸と、必要な練習を自分で考えて実行するクレバーさも感じました。

ウルフとホブランを比べれば、現時点では全米オープンで12位タイにまで入ったホブランのほうが完成度は上。ただ、粗削りな分だけウルフのほうに伸び代を感じます。スコアを作る能力の高いホブランに対し、球の勢いのあるウルフという印象です。

同じオクラホマ州立大出身ということで、練習ラウンドでは先輩のリッキー・ファウラーとラウンドしていたホブランとウルフ。これから先、二人にはどんなゴルフ人生が待ち受けているのでしょうか。注目したいと思います。

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