PGAツアーでは、タフなコンディションからピンポイントで寄せるため、60度のロブウェッジを使用する選手が多いが、最近ではそれよりさらに4度もロフトが寝た、64度の“スーパーロブウェッジ”を使う選手が増加中。その背景に、米在住ゴルフアナリスト・アンディ和田が迫った。

全米オープンではウッドランドがグリーン上から64度ウェッジでピタリと寄せた

全米オープンでメジャ初制覇を挙げたゲーリー・ウッドランド(35歳)、優勝を確信させたのは64度のスーパーロブウェッジのショットでした。

画像: 全米オープン覇者ウッドランドのバッグには64度ウェッジが入れられていた

全米オープン覇者ウッドランドのバッグには64度ウェッジが入れられていた

17番パー3でグリーン上から魅せた30メートルのチップショットを本人は「(尾根を越えていくので)パターを使っていたら20フィート(約7メートル)以内に寄せることはできなかったでしょう」と試合後のインタビューで振り返っていましたが、刈高の短いグリーン上からスピンを効かせた絶妙のタッチの一打でした。

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この64度のウェッジはウッドランドの他にもフィル・ミケルソン、ダスティン・ジョンソン、マット・クーチャー、ジミー・ウォーカーなどツアーの主力選手が使っています。 各メーカーにも問い合わせが多く、じわじわと使用選手が増えてきているとのこと。

今回はタイトリストのウェッジ職人アーロン・ディル氏にこの64度のスーパーロブウェッジについていろいろ話を聞いてみました。

画像: PGAツアーでは、64度の「スーパーロブウェッジ」を使用する選手が増えてきている

PGAツアーでは、64度の「スーパーロブウェッジ」を使用する選手が増えてきている

「64度のウェッジはツアーで使用率は増えてきていますが、まだ大人気というわけではありません。 個人それぞれの必要性に応じてですが、簡単なクラブとはいえませんから。 一番難しい点は他のクラブよりもヘッドスピードが必要でしっかりと振り切るということが要求される点。 60度よりも4度ロフトが加わっただけですが、速く振り抜くことに慣れていかないと、タッチを合わせることができません。 60度と同じスピードで振ると下を潜ってショートしてしまうので、高さと距離を合わせるのには時間がかかります。 慣れるのに時間がかかるので『僕には合わないね』と諦めてしまう選手も多いのも事実。 特殊なクラブといえるでしょう」

なるほど、「速く、しっかりと振り抜く」というのがキーワード、ミスを怖がらず勇気が要るクラブのようです。

画像: タイトリストのウェッジ職人アーロン・ディル氏

タイトリストのウェッジ職人アーロン・ディル氏

PGAツアーではグリーン周りが深いラフのときもあれば、短く刈り込んだ所から砲台グリーンに向かってピンポイントで落とすという至難の業が要求されます。 芝の種類、湿度、グリーンの硬さなど毎週変わる要素にしっかり対応できるように試合前には入念な調整がツアーバンで行われています。

一般ゴルファーにはちょっと扱いが難しそうな64度のウェッジですが、PGAツアー通だったら一度は試してみてはいかがでしょうか? ただし、グリーン上からのウェッジショットはコース保護のため止めたほうがいいでしょう……(苦笑)。

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