キャメロン・チャンプといえば、昨年下部ツアーで平均飛距離343.1ヤードという驚異的数字を叩き出してPGAツアーに昇格すると、PGAツアー2018-2019シーズン早々に初優勝。将来が嘱望される選手だが、最近はちょっと苦戦中。そんなチャンプが練習場で取り組んでいたのは、基本のアプローチだった。ツアーの現場から、ゴルフスウィングコンサルタントの吉田洋一郎がレポート。

OUT28、IN37。良くも悪くもティショット次第

PGAツアーには「ストロークゲインド」という指標があります。詳しい説明は省きますが、たとえばパーオン率とか1ラウンドあたりのパット数といった指標よりも、より選手のパフォーマンスを正確に示せるとされています。

そのうちのひとつに、ティショットのスコアに対する貢献度を示すものがあります。PGAツアーで平均飛距離1位のキャメロン・チャンプは、この指標で堂々の8位。ティショットでスコアを稼ぐことができています。

その一方、アプローチに関する指標を見てみると……なんと199位という悲惨な順になっています。直近12試合のうち8試合で予選落ち、1試合が棄権、3試合は予選を通ったものの、最高順位が46位タイと成績が低迷しているチャンプですが、その問題点は明らか。アプローチです。

3Mオープンの練習日、チャンプがコーチのショーン・フォーリーとアプローチの練習をしている姿を見ましたが……右手1本でのアプローチにかなり苦戦していました。フォーリーは、タイガー・ウッズの元コーチとして知られ、現在はジャスティン・ローズなどトップ選手を教えていますが、アプローチを教えるのが上手なコーチ。

画像: ショーン・フォーリー(水色のシャツの人物)の指導をつきっきりで受けていた(撮影/吉田洋一郎)

ショーン・フォーリー(水色のシャツの人物)の指導をつきっきりで受けていた(撮影/吉田洋一郎)

彼が教えていたのは、極めて基本的なことでした。たとえば、頭を残しすぎるなということ。インパクトからフォローにかけて頭を残しすぎると、体の回転が止まってしまいますから。

また、チャンプはフェースを開かずに上げてインサイドアウトに振る傾向が強いのですが、それだとリーディングエッジが地面に突っかかることがあります。バックスウィングでは多少フェースを開き、バウンス(ソール部分のふくらみ)を滑らせるように使いなさいとも言っていました。

画像: 「右手のひらをフォローで上に向けるように、バウンスを滑らせるんだ!」とフォーリー(撮影/吉田洋一郎)

「右手のひらをフォローで上に向けるように、バウンスを滑らせるんだ!」とフォーリー(撮影/吉田洋一郎)

コーチとして言わせてもらえれば、チャンプはアプローチの技術がPGAツアーのレベルに達していないのは明らか。逆に、このアプローチで勝てたということが驚異的です。やはり、才能はものすごいものを持っているのだと思います。

画像: しまいには自分で打ち出したフォーリー。この間チャンプは自主練(撮影/吉田洋一郎)

しまいには自分で打ち出したフォーリー。この間チャンプは自主練(撮影/吉田洋一郎)

ロケットモーゲージクラシックでは2日目にアウト28、イン37という“大波賞”的スコアを出していますが、350ヤード級のティショットでフェアウェイをキープすればスコアが出て、そうでなければスコアが出ないという荒削りにもほどがあるようなゴルフを見せています。

天は二物を与えずと言いますが、チャンプには神から授かったようなドライバーショットがある一方、アプローチの才能は与えなかったようです。ただ、後天的な飛距離アップは難しくとも、アプローチの技術は磨けるはず。

圧倒的な飛距離という天分をもったチャンプのアプローチに磨きをかけ、メジャーの舞台でも大暴れする姿を気長に待ちたいと思います。

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