考えすぎるとミスになるのはわかっちゃいるけど、「トップはここに上げる」「切り返しでは下半身先行で」「フォローは大きく」など、アマチュアゴルファーにはスウィング中にいくつものチェックポイントがあるもの。やっぱり女子プロは無心でスウィングしているのかな……? とアンケートを実施してみたら、意外とそんなことなかった!

スウィング中、始動からフィニッシュまで完全に無心! というアマチュアゴルファーは少ないのではないだろうか。始動はこう、テークバックはこう、切り返しはこうでダウンは……と、ついつい数多くのチェックポイントを設定してしまうのがゴルファーの習い性というもの。

では、プロの場合はどうなのか。アマチュアとプロのスウィング中の意識の違いを調査すべく、サマンサタバサガールズコレクション・レディストーナメントの練習日に15人の女子プロにアンケート調査を実施した。

内容はシンプル。スウィング中なにを気にしているかを「1、なにも気にしない」「2、ひとつだけ気にする」「3、複数気にする」の3択から選んでもらうというものだ。

事前の予想では、「なにも気にしない」という答えが多いのではと思われたが、フタを開けてみれば「ひとつだけ気にする」が最多。「複数気にする」というプロも一定数いた。

画像: スウィング中(アドレス~フィニッシュまで)なにを気にするのかを答えてもらった。複数気にするの項目の、離れたところにある二つのシールは「試合中でも複数気にする」という回答

スウィング中(アドレス~フィニッシュまで)なにを気にするのかを答えてもらった。複数気にするの項目の、離れたところにある二つのシールは「試合中でも複数気にする」という回答

まずは、マジョリティとなった「ひとつだけ気にする」派の意見を紹介しよう。

「毎回違うんですけど、今はトップで1テンポおいてからダウンスウィングに入るように意識してます」(小祝さくら)

サマンサタバサで初優勝を挙げた小祝さくらを始め、ひとつだけ気にすると答えたのは上田桃子、香妻琴乃、山路晶、田中瑞希、小貫麗、山内日菜子、エイミー・コガ、宮田成華の9人。

画像: ニッポンハムレディスの週から気を付けているポイントとして「トップの間」をあげた小祝さくら

ニッポンハムレディスの週から気を付けているポイントとして「トップの間」をあげた小祝さくら

「その時によって違いますけど、ひとつだけですね。よく気を付けているポイントとしてはアドレスからフィニッシュまでのリズムですね」(上田桃子)

「ひとつだけですね。そのときや朝の練習とかの調子によって違うんですけど、アドレスの時に頭を真ん中に置いてインパクトで残すように意識します」(香妻琴乃)

画像: サマンサタバサガールズコレクション・レディストーナメントの練習日はアドレスとインパクトの頭の位置を意識しながらスウィングしたという香妻

サマンサタバサガールズコレクション・レディストーナメントの練習日はアドレスとインパクトの頭の位置を意識しながらスウィングしたという香妻

多かったのは、上田と同じく「リズムだけを気にする」と回答してくれた選手。アマチュアのようにカタチや動きの順番を意識するのではなく、リズムを気にするというのはいかにもプロっぽい。

スウィング中はなにも気にしないという選手も、もちろんいた。

「スウィング中ですか? 試合のときはなにも気にしないですね」と言い切ったのは菅沼菜々。その理由として「試合中に(スウィングのことを)色々考えるとわけわからなくなっちゃう」とのことだった。それ以外にも吉本ひかる、丹萌乃、臼井麗香が何も気にしないと回答。

画像: 「試合中考えない分、練習中はスウィングリズムだったり色々考えてスウィングします」(菅沼菜々)

「試合中考えない分、練習中はスウィングリズムだったり色々考えてスウィングします」(菅沼菜々)

「練習中はスウィングリズムやそのとき修正している箇所とかを意識しているけど、試合中はあんまり考えないようにしていますね」とは吉本ひかるの弁。ただ、無心でスウィングしていると回答したのが15名中4名だけというのは意外と少ないという印象だ。

画像: 「試合中はあんまり考えないようにしていますね」(吉本ひかる)

「試合中はあんまり考えないようにしていますね」(吉本ひかる)

ちなみに、「複数気にする」と回答したのは計7名だったが、それには注釈がつく。練習ではスウィング中に複数のチェックポイントを気にしているが、試合中はなし、あるいはひとつだけという選手が5名。練習でも試合中でも複数のチェックポイントを気にしながらスウィングしているというのは稲見萌寧と高橋彩華の2名だけだった。

「日によるけど、基本的に2つ気を付けています。よく気を付けるポイントとしてはスウィングリズムと振り抜く場所です」(高橋彩華)

今回調査した中で、気にするポイントがもっとも多かったのが稲見萌寧。

「私は3つですね、アドレスからテークバックへの左手の通る道と、トップで右足にしっかり体重を乗せることと、切り返しで左足に体重が乗ることの3つを意識してます。私はこの3つのポイントを気にしないと色々な球がでちゃうんです。気にして初めて私の持ち球になります」(稲見萌寧)

1日10時間練習するという練習の虫、稲見にとっては、練習も本番も同じ感覚でスウィングできるのかもしれない。

画像: 練習の虫でも知られる稲見は3つのことを意識してはじめて自分の持ち球がでるという

練習の虫でも知られる稲見は3つのことを意識してはじめて自分の持ち球がでるという

このように女子プロたちはリズムを中心にひとつだけチェックポイントを持ってスウィングに臨む選手がもっとも多かったが、無心で振る選手、2つ以上のチェックポイントを設定する選手もいた。

この結果を受けて、アマチュアゴルファーはどうするべきか、小祝さくらも指導する辻村明志コーチに話を聞いた。

「基本的には、ひとつだけ意識するのがいいと思います。アマチュアの場合、複数のことを気にすればするほど、スウィングの円は“角張った円”になります。意識すればするほど、意識したところには嘘発見器のように波が生まれるんです」(辻村)

プロのように圧倒的な練習強度があれば複数のチェックポイントを管理することも可能だが、やはりアマチュアが意識していいのはひとつがいいところのようだ。

「練習場でボールを打つ前に目をつぶって1回スウィングしてキレイな円をイメージして、そのあとにボールを打つということを繰り返しやってみてください。そういった感覚を持ってアマチュアの方もやれば上達は近くなるかもしれないですね」(辻村明志コーチ)

トップの形だとか、体を動かす順番ばかりを気にするのではなく「キレイな円を描く」ことだけ意識して振ってみる。頭の中でやることリストが渋滞を起こしている状態で振るよりも、なるほど、たしかにいい結果になりそうだ。

取材大会/サマンサタバサガールズコレクション・レディストーナメント 撮影/矢田部裕

画像: 【アンタッチャブル柴田、レッスンを受ける!#2】ドライバーの飛距離を伸ばす~小澤美奈瀬プロ~ youtu.be

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