ドライバーでもっと遠くまで飛ばしたければ、クラブの芯で打つのが“常識”と思いがちだが、「飛びの三原則という観点で見ると必ずしも芯で打った球が飛ぶとは限りません」と話すのは業界屈指のギアオタクでクラブフィッターの小倉勇人。少し専門的なことを聞いてみた。

重心の上で打つと「縦のギア効果」で高打ち出し・低スピンに

インパクトの瞬間ボールとヘッドは衝突し、それぞれが反発しあうのですが、フェース面上の重心位置、つまり芯より上下にズレた位置でボールと衝突した場合、ヘッドの中にある重心を中心にヘッドが縦に回転しようとする力が発生します。このヘッドの動きと対称の力がボールにも伝わる一連の現象を「縦のギア効果」と呼びます。

具体的にボールにどんな影響を与えるかというと、フェースの芯より上部のエリアで打つと、ヘッドの重心を中心にフェースが上を向く方向にヘッドが回転しようとする力が発生します。そうするとボールには対称の力が働くので、ロフト以上の打出し角が付きやすくなり、なおかつ下から撫で上げるような力が働くので、芯付近で打った時よりバックスピン量が減少しやすくなります。

画像: 縦のギア効果が上手く使えると、効率の良い弾道が打てるようになる(撮影/有原裕晶)

縦のギア効果が上手く使えると、効率の良い弾道が打てるようになる(撮影/有原裕晶)

いわゆる高弾道低スピンの弾道が打ちやすくなるわけです。真芯で打つよりボール初速は落ちる可能性は高いのですが、飛びの三要素に当てはめると芯の上部のエリアで打った方が効率良い弾道が打てる可能性が高い。ギアメーカーがこぞって低重心のクラブを開発するのはこの縦のギア効果を発生させるエリアを広げたいからです。

昔のクラブはフェース面付近の重量を下げることが難しかったため、ディープフェース=浅い重心のアスリート向けクラブという方式が成り立っていましたが、現在では製造技術が大幅に進歩し、反発を維持しながらフェース面付近の重量を軽く仕上げることができるようになったため、ディープフェースでも重心が深く低いドライバーがたくさん出てきています。

飛距離に悩んでいる方の理由はそれぞれですが、バックスピンが多くて飛距離ロスしている方でしたら低重心でディープフェースのドライバーが大きな飛距離アップの可能性を秘めているのは間違いないでしょう。

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