今秋、有力メーカー各社から発売される2019年の新作アイアン。上級者向けから初心者向けまでが揃って“豊作”の様相を呈しているが、いざ購入となったら、なにを基準に選べばよいのだろうか。ギアライター・高梨祥明が提言。

各メーカーがそれぞれ3〜5モデルをラインナップ

タイトリスト、ヤマハ、ミズノ……、多くのゴルフメーカーから相次いでアイアンの新作情報が届いているが、困ってしまうのがどれを買えばいいのか、いまひとつ決め手にかけることである。アイアンはどのメーカーでも3モデル〜5モデルをラインナップする多品種カテゴリー。この中から自分に合うアイアンを見つけ出すことはかなり困難だ。

そこで今回は群雄割拠の中から自分向きの目星をつけるポイントをご紹介したい。アイアンの性格は、見るべきポイントさえつかめば打たなくてもおおよその性格は予想できるのである。

アイアン選びのポイント1/ブランドを決める

設計技術、製造技術が高レベルで平均化している今、クオリティの低いゴルフクラブを製造しているゴルフメーカーは皆無に等しい。パフォーマンスについても実力は拮抗。売れているから性能がスバ抜けているかといえばそうでもない。

画像: 上級者ブランドと思われているタイトリストでも、クラシックモデルの620 MB、CBに加え、最新テクノロジーを駆使したT-SERIES(T100・T200・T300)をラインナップし、プロからアベレージ層までに対応している

上級者ブランドと思われているタイトリストでも、クラシックモデルの620 MB、CBに加え、最新テクノロジーを駆使したT-SERIES(T100・T200・T300)をラインナップし、プロからアベレージ層までに対応している

まずは「好きなブランド」、「使ってみたいブランド」を考えることからスタートしたい。そのブランドの中に必ず自分に合うアイアンがある。それが多品種展開の意味である。

画像: ミズノプロも最新マッスルの120のほか、やさしい軟鉄鍛造の920を開発し、オールターゲット路線に

ミズノプロも最新マッスルの120のほか、やさしい軟鉄鍛造の920を開発し、オールターゲット路線に

アイアン選びのポイント2/自分の不足を洗い出す

「ブランド」の目星をつけたら、次に自分自身のアイアンショットについて考えてみたい。現状のアイアンのどこに不満・不足を感じているのかを明確にすることが大切だ。単にもっと飛ばしたい!
もっとミスに対してやさしいモデルを!と思うだけでなく、そう感じるのは“何番アイアンからなのか?”と、より具体的に不足を明確にすることが必要。そうすることで効率良く、効果的にアイアンのモデルチョイスと買い替えプランが決まってくるのだ。下記はその例である。

・最近、ロングアイアンが辛くなってきた
→打ち出しが高くなる大きめヘッドの単品アイアン(#3〜#5)に替える

(ポイント)
不足を感じていないミドルアイアン〜ショートアイアンを替える必要はなし。ロングアイアンを1クラスやさしい(上がりやすい)モデルにすることで、不足は解消される。こうしたアイアンのコンビネーションは米男子ツアーなどでもポピュラーである。基本的には「高さ」が出せなければ必要な飛距離は出せないと思ったほうがよい。

・10年以上アイアンを替えていないので、そろそろ新しいモデルにしたい
→軽量スチール、純正カーボンシャフトの入った最新アイアンを試す

画像: 2019年秋の各社ニューアイアンに採用されている注目のシャフトが『N.S.PRO 950GH neo』。手元から中間部の剛性が高まっており、ミッド〜ラージサイズの飛び系アイアンの高い慣性モーメントをしっかりサポートする

2019年秋の各社ニューアイアンに採用されている注目のシャフトが『N.S.PRO 950GH neo』。手元から中間部の剛性が高まっており、ミッド〜ラージサイズの飛び系アイアンの高い慣性モーメントをしっかりサポートする

(ポイント)
ヘッドはもちろんだが、ここ数年で進化しているのはアイアンシャフトである。今の自分が振りやすいと感じる「重さ」を知るために、重量級スチール、軽量スチール、純正カーボンシャフトの入った最新アイアンを試してみよう。

アイアンには、コンパクトヘッドには重たいシャフト、ラージヘッドには超軽量カーボンシャフト、ミッドサイズヘッドには中・軽量スチール or 中・軽量カーボン、というヘッドとシャフトの基本的なコンビネーションがある。このため振りやすいシャフト(重さ)を決めれば、自動的にヘッドも決まってくる場合が多い。

画像: 軽量スチールをシャフトメーカーと共同して専用開発している、ヤマハのRMXシリーズ

軽量スチールをシャフトメーカーと共同して専用開発している、ヤマハのRMXシリーズ

飛び評価ではなく振りやすさを気にしたい2019秋アイアン

現在は超ストロングロフトのぶっ飛びアイアンが売れ筋上位に入っているが、ロフトを立てる理由の一つが、スピードの低下を補うことである。傾いた壁にボールをぶつけるよりも、垂直の壁にぶつけたほうが跳ね返りスピードは速くなる。これと同じように同じヘッドスピードなら、少しでもロフトが立っていたほうがボール初速を速くすることができるのだ。

ボールを飛ばすエンジンともいえる、ボール初速を薄いフェースと立ったロフト、軽く長いシャフトで引き上げておいて、深重心化とウッド用のような先がしなるシャフトを採用することで打ち出し角度が低くならないように工夫しているのが、今どきのぶっ飛びアイアンの姿だ。

我々はついヘッドにばかり注目してしまうが、ロフトを少なくしただけでは、ボールが浮かずキャリーが出なくなってしまうのはドライバーと同じである。ストロングロフトアイアンの隆盛は、それ専用に開発された超軽量アイアンシャフトが支えている。

軽量カーボンシャフトのアイアンを打った時に“軽すぎる!”、“安定しない!”と感じるようなら、あなたはまだ超ストロングロフトアイアンを手にするには早い年代。飛ばない原因はスピード不足ではなく、ミート率不足にあると思った方がいいだろう。飛ぶ! と評判のアイアンに飛びつく前に、振りやすいかどうかだけはチェックしておいたほうが無難である。

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