シャットフェースにクラブを上げて左足ジャンプで飛ばす
パーオン率13位、平均バーディ数6位、飛距離13位、バウンスバック率5位、8回のトップ10。ルーキーイヤーの成績としては十分すぎるほどの内容です(いずれも7月28日現在)。3パット率61位と攻めるゴルフが裏目に出ることもあるようですが、いいじゃないですか。河本の持ち味はガンガン攻めてバーディを獲るゴルフ。こじんまりとまとまるよりは、飛距離を生かして攻めるスタイルを貫いてほしいです。

今シーズンアクサレディスゴルフトーナメントで初優勝を挙げた河本結(写真は2019年のリゾートトラストレディス 撮影/大澤進二)
さて、そのスウィングを見てみましょう。バランスの取れたアドレスでグリップは左手の甲が見えるストロンググリップです。フェースが開かないように上げ、左腕が地面と平行になる位置でクラブが垂直に立ち、体の正面にキープしています(画像A左)。
この段階で背中はターゲットに向いているのでしっかりと腕と体の回転が同調していて深いバックスウィングへとつながっています。トップではフェースが空を向くシャットフェースが特徴です。

画像A:左腕が地面と平行のタイミングで、背中はターゲット方向を向いている。トップでフェースが開かないシャットフェースも特徴(写真は2019年のリゾートトラストレディス 撮影/小林司)
切り返しでは地面を踏み込むように沈み込み、インパクトに向けて左足を伸ばすことで腰の回転を加速させ、クラブに効率よくエネルギーを伝達し、ヘッドスピードに変換できています(画像B)。飛距離246.98ヤードの源はこの地面反力を多く使うスウィングにあります。もともと空手もやっていたそうなので力の出し方のセンスを持っていたのでしょう。

切り返しで地面を踏み込むように沈み込み、インパクトに向けて左足を伸ばす。地面反力を多く使うタイプのスウィングだ(写真は2019年のリゾートトラストレディス 撮影/小林司)
シャットフェースでフェースの開閉を少なくし地面反力を使って回転力を増ししっかりとヘッドを加速させていますが、フォローからフィニッシュでのバランス良さも特徴的で、下半身や体幹をしっかりとトレーニングで鍛えていることがわかります。

フォローからフィニッシュでのバランスよさも特徴的で、下半身や体幹の強くしっかりとトレーニングされていることが見てとれる(写真は2019年のリゾートトラストレディス 撮影/小林司)
早々と4戦目の「アクサレディス」で初優勝を挙げ、その後も優勝争いを何度も繰り広げ勝てる試合で勝ち損ねたこともありました。しかしそれを経験、糧にしていけば、後半戦でまだ2勝や3勝できるポテンシャルはあります。どれだけやってくれるのか非常に楽しみな選手です。