今シーズン女子ツアーを盛り上げている98年生まれの黄金世代。そのスウィングを短期集中でプロゴルファー・中村修が毎日一人ずつ分析していく。5日目は、今年「サマンサタバサレディース」で初優勝を挙げた小祝さくらだ。

ドライバーもアイアンも切れ味抜群

本格デビューとなった昨シーズン、38試合に出場し約7500万円を稼ぎ出して賞金ランク8位と大躍進した小祝さくら選手。今季もこれまで25試合に休みなく出場し、「サマンサタバサレディース」で待望の初優勝を挙げました。優勝した夜も親子でジョギングを欠かさなかったというつねに慢心しない姿勢がわかるエピソードからは、安定した強さの秘訣を感じました。

画像: 今シーズン、サマンサタバサレディスで初優勝を挙げた小祝さくら(写真は2019年のリゾートトラストレディス 撮影/大澤進二)

今シーズン、サマンサタバサレディスで初優勝を挙げた小祝さくら(写真は2019年のリゾートトラストレディス 撮影/大澤進二)

スタッツを見るとドライビングディスタンスとフェアウェイキープ率を合算した数値であるトータルドライビングは3位、トータルドライビングの順位とパーオン率順位を合算したボールストライキングでは2位とドライバー、アイアンとも抜群のショット力を誇っています。これまでのトップ10回数も10回(3位)でパットさえかみ合えばいつでも優勝争いできる底力を持っています。

では、辻村明志コーチのもと徹底的に磨き上げられているスウィングを見てみましょう。まずは画像A。オーソドックスなスクェアグリップから早い段階で背中がターゲットに向き、手だけで上げたりテンポが速くなったりすることを防いでいます。

画像: 画像A:グリップはスクェア。テークバックでは早い段階で背中がターゲット方向を向く(写真は2019年のリゾートトラストレディス 撮影/小林司)

画像A:グリップはスクェア。テークバックでは早い段階で背中がターゲット方向を向く(写真は2019年のリゾートトラストレディス 撮影/小林司)

続いては画像B。トップでのフェースの向きは斜めを向くスクェアで、適度にフェースを開閉させて打つタイプであることがわかります。ポイントは深く捻転されたトップから、切り返しでわずかに沈み込んでいるところです。これは、インパクトに向けて地面からの反力を使う準備動作。

画像: トップでのフェースの向きはスクェア。切り返しではわずかに沈み込み、地面反力を使う準備を整える(写真は2019年のリゾートトラストレディス 撮影/小林司)

トップでのフェースの向きはスクェア。切り返しではわずかに沈み込み、地面反力を使う準備を整える(写真は2019年のリゾートトラストレディス 撮影/小林司)

手先でスピードを上げるのではなく、下半身を沈み込んでから伸ばす動作を入れることで効率よく飛ばしのエネルギーに変換しています。

地面反力を使う際に気をつけたいのは、頭の位置が上がらないようにすることです。頭が上がると前傾角が崩れリリースが早くなったりインパクトが安定しなくなりますが、画像Cを見ると左足は伸びながら頭の位置は変化していません。

もう一つ、インパクトでの左手の甲にも注目です。左手甲の向きはフェース面と連動していますが、見事にアドレスと同じ向きに戻っています。スクェアグリップで握るタイプのゴルファーは、左わきが締まった状態で左手の甲の向きがターゲット方向を向くように意識すると、スウィング中のフェース面の管理が意識できるでしょう。

画像: 切り返しで下半身を使い沈み込んでから伸ばす動作を入れることで効率よく飛ばしのエネルギーに変換している(写真は2019年のリゾートトラストレディス 撮影/小林司)

切り返しで下半身を使い沈み込んでから伸ばす動作を入れることで効率よく飛ばしのエネルギーに変換している(写真は2019年のリゾートトラストレディス 撮影/小林司)

休まずに出場し続けることが小祝さくら選手なりのマイペース。着実に経験を積み重ね、常に上位で戦うことで優勝の可能性を自ら手繰り寄せています。レベルの高い黄金世代の中で数年後にはもっと大きく開花しそうな小祝さくらにこれからも注目です。

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