ツアー再開初戦となった「長嶋茂雄INVITATIONALセガサミーカップ」で今季2勝目を挙げた石川遼。これで3年ぶりの勝利を挙げた7月の「日本プロゴルフ選手権」に続き”2連勝”。そんな完全復活の要因となったドライバースウィングを「不調時」と「好調時」の比較でプロコーチの井上透が解説した。

優勝した「セガサミー」と不調時のスウィングを比較

「長嶋茂雄INVITATOINAL セガサミ―カップ」では2位に4打差、初日から首位から守り切る完全優勝で、圧倒的な強さを披露した石川遼。一時の不調から完全に脱し、復活の大きな原動力となったのが、ツア―6位の平均飛距離を304.56ヤードのドライビングディスタンス。セガサミーカップ最終日には、フェアウェイキープ率も70.43と飛ばすだけではない抜群の方向性も披露した。

そんな石川は、今からほんの2年前、ドライバーショットの不調に苦しんでいた。それが顕著に試合に出ていたころの2017年「日本オープン」と優勝した「セガサミ―カップ」の連続写真の比較して、石川遼のスウィングをジュニア時代から見てきた井上透プロは言う。

 ドライバーへの自信を取り戻し目下、ツアー2連勝中の石川遼(写真は2019年のセガサミーカップ 撮影/岡沢裕行)ドライバーへの自信を取り戻し目下、ツアー2連勝中の石川遼(写真は2019年のセガサミーカップ 撮影/岡沢裕行)

「たしかに石川プロはここ数年、ドライバーの方向性に悩んでいましたが、それを打開するために『やろうとしていた』取り組みは、不調に悩んでいたずっと一緒です。クラブを振り上げ、切り返しからシャローダウンのスウィングで、腕ではなく腰の回転でボールを飛ばす、腰の回転でボールにエネルギーを伝えるインパクトということをずっと意識していたように思います。ちょうど、私も17年のツアーでは解説などで彼のスウィングを見る機会が多くあったのですけれども、その時から素振りでは、入射角を緩くするため、クラブを寝かせた形で素振りをしていた姿をよく覚えています。今回の復活劇は、石川プロが頭のなかで描いてきた「理想のスウィング」がようやくコンスタントに発揮できるレベルになってきたことでもあるのではないかと思いますね」。

具体的に17年の「日本オープン」と今回の「セガサミー」では、どんな違いが出ているのか?

「まずはトップの高さの位置が17年よりも、今年のほうが高い位置にあります。これは今、流行りの地面反力ではないですが、地面の力をよりクラブに伝えるためにこれまでよりも脚を使ってボールに強くインパクトしようとする動作と言えます。このトップの位置から、インパクト後のフォローの姿に移行するまでの間で言えば、左足の伸展度合いが17年よりも、多くなっていることがわかります。また、このトップの位置から直線的にではなく、体の後方から緩やかにシャローダウンしてヘッドがより加速した形でインパクトすることにより、これまでよりもインパクトが強くなり飛距離が増していっているのではないかと思います」

トップの位置を高くし、軸回転でインパクトすることで低重心化が進む最新のドライバーに最も適応したスウィングに!

画像: 左は2017年「日本オープン」右が2019年「ゴルフツアー選手権」でのスウィング。19年のほうがトップが高い(撮影/姉﨑正、岡沢裕行)

左は2017年「日本オープン」右が2019年「ゴルフツアー選手権」でのスウィング。19年のほうがトップが高い(撮影/姉﨑正、岡沢裕行)

とはいえ、そんな一連の動作を再現性を高めるためには、それを受け止める強い体幹と下半身の土台が必要となる。

「だからこそ、彼は体をもう一度、鍛えたなおしたのでしょう。ジュニア時代の彼のドライバースウィングは、17年のスウィングに少しそのなごりを感じますが『左から右』への体重移動を使って打つタイプでした。要は横の動きでボールに自分のエネルギーを伝えて打つタイプでしたが、17年以降は、ややハンドファースト気味に、下半身主導で『上から下』に作用するエネルギーでボールにアプローチしているのが19年のインパクト後の写真からも見てとれます。左足と左腕が一直線のようになった”壁”もしっかりとできていることで、ただ強く叩くだけなく、方向性の安定も十分に見込める。この形は、何も石川プロだから、というわけではなく、年々、低重心化が進んでいる現代のドライバーの性能を引き出すために最も適した理想のスウィングではないかと思います」

”改造”に時間をかけたからこそ、今回の2連勝で本人も”確信”を持つはず

画像: 19年(右)は17年(左)より腰の回転でクラブにエネルギーを伝えるスウィングになっている( 撮影/姉﨑正、岡沢裕行)

19年(右)は17年(左)より腰の回転でクラブにエネルギーを伝えるスウィングになっている( 撮影/姉﨑正、岡沢裕行)

「時間は少しかかったかもしれませんが、おそらく石川プロはそれこそ思うようなスウィングができなかった17年のころから『これからのクラブに合う、その性能の最も引き出すことができる自分のスウィング』というものを妥協せずに、それを体現できる体作りも含めて、根気強く取り組んできたのはないかと思います。今回の2大会続けての勝利は、まさにそれを‟つかみきった”と証ともいえるのではないかと思います」(井上プロ)

本人もファンも待望した『第2期 石川遼時代』。いよいよ到来となりそうだ。

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