「RIZAP KBCオーガスタ」で2位に5打差をつける同トーナメント史上最多アンダー記録(-26)でド派手に初優勝を挙げた比嘉一貴。95年生まれの24歳、身長158センチと小兵ながら見事勝利をつかんだそのスウィングを、プロゴルファー・中村修が解説する。

若くして自分のプレースタイルをしっかりと持っている

昨シーズンは出場9試合でシードを決めそのポテンシャルの高さを見せた比嘉一貴選手。今シーズンは国内開幕戦の「東建ホームメイトカップ」で優勝争いの末4位。7月の「日本プロゴルフ選手権」では最終日のバックナインを4アンダーとまくって7位に入っています。

しかし、昨シーズンの衝撃からするともう少し上位に来てもいいのではと思っていましたが、初優勝で2位に5打差をつけ大幅に記録を更新しての優勝と、やはり持てるポテンシャルを発揮してきました。

どんなプレーヤーなのか、用具の使用契約を交わすブリヂストンゴルフのツアー担当・升川泰祐さんに話を聞きました。

画像: RIZAP KBCオーガスタで初優勝を挙げた比嘉一貴(撮影/姉崎正)

RIZAP KBCオーガスタで初優勝を挙げた比嘉一貴(撮影/姉崎正)

「いつ勝ってもおかしくないし、彼にはその準備はできていると思っていました。ショットはほぼ完成されています。パッティングに多少の不安がありましたのが、その分月曜日にクラブを持たずに一人コースを歩きグリーンをチェックしたり、練習もしっかりとできていましました」(升川)

ショットはほぼ完成されているということでスタッツを見てみると平均ストローク8位、パーキープ率7位、パーオン率8位と、なるほど全体的に高い位置をキープしています。飛距離は286.95ヤードで56位、フェアウェイキープ率は55.86%で51位タイ。

飛距離でのアドバンテージが取れないなか、この高い数値を出しているということは、自身のプレースタイルを確立し、ゲームプランがしっかりとできている証拠だと思います。

5月の「ダイヤモンドカップ」でインタビューした際に教えてくれたのですが、彼が使用するクラブの長さは44.75インチ。1ヤードでも遠くに飛ばすスペックではなく、しっかりと狙ったポジションに運べるドライバーを使っているといいます。

スウィングを見てみると、左手は甲が見えるややストロンググリップからトップではフェースを開かないシャットフェース。フェースローテーションの少ないタイプのスウィングです。コンパクトなトップで左ひじに余裕があり、力みが見えません。

そこから切り返しで一気に力を入れるのではなく、左ひざをアドレスの位置に戻すように始まる下半身のリードでダウンスウィングに入ります(画像A)。この画像と同じように優勝争いのプレッシャーの中でも腕や上半身の力みがなくスウィングできていたので、まるでベテラン選手のような勝ち方に見えました。

画像: 画像A:コンパクトでシャットなトップから、左ひざを動かして切り返し。優勝争いの最中でも、この力みのないスウィングを貫いた(写真は2019年のダイヤモンドカップ 撮影/姉崎正)

画像A:コンパクトでシャットなトップから、左ひざを動かして切り返し。優勝争いの最中でも、この力みのないスウィングを貫いた(写真は2019年のダイヤモンドカップ 撮影/姉崎正)

そして画像Bでは右ひじに余裕を持たせ、ボールを体で押し込みボールを運ぶように打っていることが見てとれます。ややストロンググリップで握りフェースローテーションを少なくし方向性を担保しながらキレのある体の回転を使って飛距離も出しています。

画像: 画像B:右ひじに余裕を持たせ、ボールを体で押し込み運ぶように打っている(写真は2019年のダイヤモンドカップ 撮影/姉崎正)

画像B:右ひじに余裕を持たせ、ボールを体で押し込み運ぶように打っている(写真は2019年のダイヤモンドカップ 撮影/姉崎正)

クラブに対するこだわりももちろんあるそうですが、セッティングも決めたらいろいろ試すのではなく、不調になったときでも原因をクラブに探すのではなく自分の中に探し、なおかつ改善できる力があると先述のツアー担当の升川さんは語ります。不調になるとプロでも(プロだからこそ)ついついクラブを言い訳にしたくなるもの。そうしないことからも、芯の強さを感じます。

若くして自分のスタイルを確立させたことで、自分のゴルフに徹することができた結果、大会記録を塗り替えることができたんだと思います。それはこれからのツアープロ人生にとって非常に大きな財産になることでしょう。後半戦の活躍を大いに期待します。

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