去る8月27~30日まで行われたPGA(日本プロゴルフ協会)の最終プロテスト。最終日、最終ホールでマークした「アルバトロス」によって、プロテストに逆転合格をつかみとった男がいる。くまもと中央CC所属の大城康孝。「最後」と決めて臨んだ4度目のプロテスト挑戦。‟大どんでん返し”で夢を叶えた男の胸中はいかに……

「最後」と決めたプロテストで最終ホールまで合格圏外。最後の最後に大逆転!

茨城・静ヒルズCCで行われた今年のPGA最終プロテスト。今年で4度目の挑戦となった大城康孝は最終日、50位までの合格圏内を目指し5オーバーの69位の順位でINコースをスタート。通算4オーバーで迎えた最終9番・467ヤード・パー5。ティショットを右ラフに入れて迎えた第2打。奇跡は起きた。

「最低でもバーディは取らないと、もう(合格は)ないな、と」。7Iでツーオンを狙った一振りはグリーンをとらえ、そのままカップイン。起死回生のアルバトロスで一気にスコアを3つ伸ばし、通算1オーバー。スコア提出を終え、最終的に39位タイで合格を勝ち取った。

50位までの合格ラインが通算3オーバーだったことを考えれば、最後のホールはバーディでも通過できたことになる。ただ、これは、結果論に過ぎない。最後のショットを打った時点では、本人は「何オーバーなら通過か」は一切、知るよしもないからだ。

画像: 最終ホールの「アルバトロス」が決め手となり、4度目の挑戦で念願のプロテスト合格を果たした大城康孝(提供写真:PGA)

最終ホールの「アルバトロス」が決め手となり、4度目の挑戦で念願のプロテスト合格を果たした大城康孝(提供写真:PGA)

マンガの結末でもないような奇跡的なラストでのプロテスト合格。4度目の挑戦、大逆転で夢を叶えた大城は、最終日のセカンドショットにどのような心境で臨んだのだろうか?

最後と決めた挑戦。「悔いなく終わろう」だけを考え続けた

「(スコアを)伸ばさないとダメというのは分かっていて。正直、それまでで4オーバーでしたから、1つ伸ばしたところで『厳しいだろうな』と思ってました。なので気持ち的には『悔いなく終わろう』と。安全に行くのであれば、グリーン前につけて、バーディの可能性を持ちつつ、最低でもパーを取る選択肢もあったとは思うですけど、それでは間違いなく(合格ラインに)届かないか、厳しいなというところでしたから。後々、振り返ったときに『あそこで、攻めていたらどうだっただろう?』と思うのではなく、やるだけのことをやって『ああ、でもやっぱりダメだった』というほうが自分も納得できると思ったのです」

画像: イーグルを狙い、グリーンへ2オン狙いで放った最終ホールでセカンドショット。結果は大城が望んだ以上に最高の結末となった(提供写真:PGA)

イーグルを狙い、グリーンへ2オン狙いで放った最終ホールでセカンドショット。結果は大城が望んだ以上に最高の結末となった(提供写真:PGA)

実際は「バーディで合格」の状況だった。しかし、本人の意識では「バーディでは微妙」という状況が、“一か八かの2オン狙い”という選択を生んだのだという。リーダーボードのない試合、プロテストならではの機微がそこにはある。

「自分は今回で4回目のプロテストだったのですが、去年は3日目までで(123位で)カットされて、最終日に進めなかったんですよ。今年は状況は厳しかったのですけど、最終日まで残ることができて、年齢的にも27歳なので、受ける前から、もうこれで最後にしようと思っていましたし、それならば、明日は泣いても笑っても最後なので『悔いなく終ろう』と。最終日を通じて、ずっと考えていたことと言えば、それですかね……」

最終ホールのアルバトロスでの奇跡の合格。だが、当事者の大城が最初に直面したのは「打ったボールが見つからない!」という焦りだった。

「まず、球がどこにあるのか探すのに時間がかかって……さすがに(カップに)入っているとは思っていないですから(笑)。それと、合格か不合格か、ということよりも、まず最終ホールの最後をこういう一打で終われたことに興奮していたというか……。で、スコアチェックに行く途中に、先に上がっていた何人かの仲間から『受かったぞ!』と声をかけられて、それで合格したんだと。回りのほうが、最後のああいう形での合格の仕方に盛り上がっていて、それで自分も徐々に『奇跡だな』と思うほどの合格だったんだと分かって、それに興奮したというか……」

4歳年下の妹・美南海は14年にプロテスト合格

画像: 4歳年下の妹・美南海は14年にプロテスト合格。ステップアップツアーなどで活躍中(写真は14年のプロテスト 撮影/亀山修)

4歳年下の妹・美南海は14年にプロテスト合格。ステップアップツアーなどで活躍中(写真は14年のプロテスト 撮影/亀山修)

余談だが、大城の妹の大城美南海さんは2014年にプロテストに合格し、現在はステップアップツアーなどで活躍中。これからは晴れて“兄妹プロ”として2人揃っての活躍も期待される。

「来月10月8日からのツアーのセカンドQT(予選会)を受ける予定です。やっぱりプロになったからには、ツアーに出てお世話になった方々に恩返しができるように頑張りたい。まずは来年、(下部ツアーの)abemaTVツアーに出られるように、今はセカンドQT合格を目指して頑張っています」

奇跡でプロ入りした男は、ツアーの舞台でさらなる奇跡を起こせるか。ミラクル男・大城康孝の名前を覚えておこう。

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