ゴルフとトライアスロン。これまでまったく接点がなかった2つの競技を変則的かつ同時に世界初の大会「ゴルフトライアスロン in 三重」が来る10月14日に津CCで開催される。この一風変わった大会の開催の背景には、主催者の秘められたゴルフ界への思いがあった。

‟世界基準”の運動能力を持った「アスリートゴルファー」育成のきっかけ

ゴルフトライアスロンはゴルフ場を舞台に「ゴルフ」「ランニング」「バイク」の3つの競技を1日で行う。「ゴルフ」は自分でバックを担いでの18ホール、ストロークプレー。「ランニング」と「バイク」は、コースのカート道を使用し、18ホール分の道のりを「1周」としてタイムを競う。その上で3競技それぞれのスコア、あるいはタイムをポイントに換算して順位を競うスポーツだという。

大会は「バイク→ゴルフ→ラン」の競技順で進行し、それぞれ「鉄人の部」「チャレンジの部」「リレーの部」の3部門で開催。最もハードな「鉄人の部」はバイク36ホール、ゴルフ18ホール、ラン18ホールで、それぞれバイクとランが1秒1ポイント、ゴルフが1ストローク40ポイントで、ポイントがもっとも少ない選手が勝者となる。大会事務局の松尾俊介代表は、その魅力をこう語る。

画像: 10月14日に三重・津カントリーで世界初開催となる「ゴルフトライアスロン」。ゴルフ場の新ビジネス確立、地域貢献といった趣旨

10月14日に三重・津カントリーで世界初開催となる「ゴルフトライアスロン」。ゴルフ場の新ビジネス確立、地域貢献といった趣旨

「たとえばゴルフで100を叩いた人と、70で回った人では1200ポイントの差ができますが、これはバイクとランに換算すれば20分の差。ゆえにゴルフで100を叩いた人でも(バイクとランで挽回し)勝つことは不可能ではないですし、その逆のケースが起こることだってあるのが『ゴルフトライアスロン』の競技の魅力でもあります」(松尾代表)。

ごの大会には、ゴルフ側とトライアスロン側、双方のプレーヤーが参戦を表明している。そのため、トライアスリートとゴルファーのどちらが優勝、または成績上位を占めるのかも注目のひとつとなるが、松尾代表は「おそらく、ゴルファーには厳しい結果になるのはないかと思います」と話す。どういうことか?

「トライアスロンもゴルフでも一般的にはスポーツのカテゴリーに入りますし、どちらの競技選手も『アスリート』と呼ばれます。ただ、ひとくくりに『アスリート』と言いますが、残念ながら日本のプロゴルファーの身体能力は、プロ野球選手やプロサッカー選手など、他スポーツの選手に比べ劣っているのが実情です。しかし、世界は違います。世界のトップゴルファーは、日本のプロ野球選手レベルの身体能力を持って戦っている。これでは、日本から世界に通用するトップレベルのゴルファーが生まれてくるわけがありません」(松尾代表)

松尾代表自身、実は長くゴルフ業界に身を置いた人物。ゴルフが若い世代、子どもたちにとってカッコいいスポーツと認識されるためには、ゴルファーのアスリート化が必要。そう考えるからこその、あえての苦言。将来のゴルフ界の発展を担うからこそ、大会の意義や主旨に「深い部分での狙いがあります」(松尾代表)と力説しているのだ。

「やわなゴルファーお断り」

「アスリートを『ゴルファー』に、ゴルファーを『アスリート』に」

大会のキャッチコピーの数々は、そんなゴルフ界への‟提言“を如実に表現している。

「正直不安でしかないですが……」プロゴルファー・今野一哉が挑戦!

さて、このゴルフトライアスロンだが、すでに募集は定員の150人に到達し締め切られた。「トライアスロン6割、ゴルファー4割」(松尾代表)の構成で行われる見込みだが、この2つの競技の‟アスリート指数“を測るともいえるこの大会にエントリーしたのが、プロゴルファー・今野一哉だ。

「ほかのプロが出たがっていないという話も聞きましたし、正直、自分も不安でしかないです(笑)」(今野)

形式は本来のものとは違えど‟ゴルフ“と名前のつく大会でプロがアマに負けるという事実を残したくはない、或いは、そのリスクを背負いたくはないというのが本音だろう。それを承知のうえで、エントリーした今野は、参戦の意義をこう話す。

「ゴルフは身体能力さえあれば、いいスコアが出る競技ではありません。ですが、今後、ほかのスポーツ界からも『ゴルフは心身ともに、レベルの高い競技だ』と呼ばれるためには、どの程度の身体能力が必要なのか。身を持って体験することで『アスリートゴルファーとは』を知ることもできるし、人にそれを伝えるときにも、より説得力を持って話をすることができる。僕自身は意味のある‟挑戦“ととらえています」

勇気ある挑戦を決めた今野の戦いと、記念すべき第1回大会の優勝者がトライアスロンとゴルフ、どちらの競技にウエートを置くアスリートから生まれるのか、注目だ。

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