武藤俊憲の見事な勝利で幕を閉じたパナソニックオープン。大会を現地で取材したゴルフスウィングコンサルタント・吉田洋一郎が注目したのは石川遼。世界基準の飛距離を手に入れた、そのゴルフに迫る!

平均飛距離は310ヤード超えで全体4位

パナソニックオープンを現地で観戦してきました。優勝した武藤俊憲選手のプレーも見事でしたが、この試合で私が注目したのは個人的にアメリカ時代からずっと追いかけている石川遼選手です。

画像: パナソニックオープンを3位で終えた石川遼。2日目にはコースレコードタイの62を叩き出した(撮影/有原裕晶)

パナソニックオープンを3位で終えた石川遼。2日目にはコースレコードタイの62を叩き出した(撮影/有原裕晶)

3位で大会を終えた石川選手でしたが、間違いなく飛距離アップしています。4日間を通じての平均飛距離は311.63ヤードで全体の4位。世界のゴルフは300ヤードが標準で、そこから先の数字で勝負という時代に入っていますが、310ヤード越えは世界的にも飛ばし屋の部類に入る数字。同組の飛ばし屋、ブレンダン・ジョーンズ選手をアウトドライブするシーンも多くあり、今までとの違いを感じさせます。

ちょっと驚いたのが、2番アイアンの飛距離です。開催コースである東広野CCの練習場には250ヤード地点に看板があり、その先は山の斜面になっているのですが、2番アイアンで打ったボールがその斜面にキャリーするんです。目測、270ヤードキャリー。2番アイアンでこの飛距離ははっきり言ってすごいです。一緒にこの練習を見ていた某ツアープロが「ドライバーでも負けるかも……」とつぶやくほど飛んでいました。

ドライバーではアッパー軌道を意識しているという石川選手。アッパー軌道を意識することでやや意識が右サイドに残った状態となることで、左サイドへの強すぎる荷重がなくなり、インパクト直前に上手く左足を伸ばし、ヘッドスピードに転換することができていると考えられます。

インパクトの瞬間は一瞬空中に“浮く”ように見え、そこから体の回転に伴って左のつま先がターゲット方向へと回転するように動きます。これは、ロリー・マキロイや、バッバ・ワトソンら、海外の飛ばし屋たちとも共通する動きです。

画像: 左ひざに注目すると、トップでは沈んでいるがインパクト直後では伸びていることがわかる(写真は2019年のセガサミーカップ 撮影/岡沢裕行)

左ひざに注目すると、トップでは沈んでいるがインパクト直後では伸びていることがわかる(写真は2019年のセガサミーカップ 撮影/岡沢裕行)

練習場ではもちろん、試合でもこの動きができていることが飛距離アップに直結しています。2番アイアンでも明らかな飛距離の違いが見られることから、インパクトの正確性もうかがうことができます。

こうなってくると楽しみなのが間近に迫った日本初開催のPGAツアー、「ZOZO選手権」です。なにかをやってくれるんじゃないか、そんな予感に今の石川選手は満ちています。一年前の同じ時期と比べると別人というくらい、今の状態はいいんです。

飛距離は海外選手と同等かそれ以上。アプロチーパターはもともと上手い。自分で自分を乗せていけるメンタル面はいうまでもなく強い。そこに日本開催という大きなアドバンテージが加わって、大げさでもなんでもなく“勝つまである”と私は思います。

ZOZOで勝つことができればPGAツアーへの復帰がかないますし、来年のオリンピック代表にも大きく前進します。そんなワクワクする未来を想像させてくれる、石川選手のパナソニックオープンでのプレーでした。

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