“これまでのヤマハらしさを捨ててでも、高い性能を出す”という決意を持って開発された、ヤマハの新しい「RMX」ドライバー。現代のトレンドでもある大慣性モーメント化に大きく舵を切り、市場でも屈指の数値を実現した。果たして、どれほどの効果があるのか。“QP”ことプロゴルファーの関雅史に解説してもらった。

RMX120は楽々「平均越え」。RMX220は史上最大級の慣性モーメントを獲得

これまでのヤマハ「RMX」ドライバーと言えば、小ぶりなヘッドでシャープ、かつ操作性の良いモデルという印象が強かった。しかし、今回の新モデルは、ボールの曲がりにくさを示す指標である、ヘッドの慣性モーメントを劇的に高めているのが特徴だ。シャープな「RMX 120」のヘッド左右慣性モーメントは、5180g・cm2。より大きな「RMX 220」は、5760g・cm2もの数値となっている。

画像: RMX120(左)とRMX220(右)。どちらもヘッド左右慣性モーメントは余裕の「5000g・cm2」超え。国産ドライバーとしては異例ともいえる尖った性能となっている

RMX120(左)とRMX220(右)。どちらもヘッド左右慣性モーメントは余裕の「5000g・cm2」超え。国産ドライバーとしては異例ともいえる尖った性能となっている

「慣性モーメントの大きなクラブというのは、これまでどちらかというと海外ブランドが得意としていたコンセプト。そんな曲がりにくいドライバーを駆使して、飛距離を出しつつ、フェアウェイをキープするのが現代のトレンドといえるでしょう。新しい『RMX』には、そのトレンドを上手く取り入れながら、作り込みの細やかな和のテイストも残っていますね」(関プロ)。

画像: 慣性モーメント5180g・cm2と主要ドライバーの平均を大きく上回るRMX120。飛んで曲がらない性能で、女子プロたちもこぞってバッグに入れている

慣性モーメント5180g・cm2と主要ドライバーの平均を大きく上回るRMX120。飛んで曲がらない性能で、女子プロたちもこぞってバッグに入れている

新しい「RMX」が誇る慣性モーメントがどれだけ大きいのか。ゴルフダイジェストが独自に測定した、各社の慣性モーメントの数値をチェックすると、市場で5000g・cm2を超えているモデルは、わずか数機種にとどまっていることがわかった。これだけ大型化している現代のドライバーだが、慣性モーメントの平均は、4500g・cm2前後。

とくにRMX220は、2019年発売モデルの中でもっとも大きい数値を誇る。物理的な性能で言えば、「RMX」の優位性は間違いないところだろう。

画像: 慣性モーメントが5760g・cm2という“異常”ともいえる数値を誇るRMX220。その尖った性能に男子プロも興味を示し、藤田寛之、今平周吾らが積極的にテストを重ねている

慣性モーメントが5760g・cm2という“異常”ともいえる数値を誇るRMX220。その尖った性能に男子プロも興味を示し、藤田寛之、今平周吾らが積極的にテストを重ねている

「現代はプロでも曲がらないドライバーを好む傾向があります。以前のように球筋を操るよりも、曲がりづらく打点のブレにも強いドライバーを使ったほうが、飛距離も伸びるんです」(関プロ)

“操れる”から“前へ前へと突き進む”へ「RMX 120」の変化と進化

455ccとやや小ぶりでスッキリとした形状の「RMX 120」。これまでのヤマハのクラブを思わせる、美しい外観と調和の取れた形状が印象的だが、関プロによれば、性能は大きく変わったという。

「これまでのヤマハのプロモデルと比較すると、直進性が圧倒的に強くなりました。球筋を操るのではなく、オートマチックにストレート弾道で飛ばすドライバーです。弾道は少し高めですが、それでいて前に向かっていく、突き進んでいくような強さがあります」(関プロ)

画像: 「小ぶりヘッド」だった前作RMX118と異なり、RMX120も後ろが長いシャローバック化。“小顔”であることよりも、慣性モーメントを高めて飛んで曲がらないを実現することに賭けた

「小ぶりヘッド」だった前作RMX118と異なり、RMX120も後ろが長いシャローバック化。“小顔”であることよりも、慣性モーメントを高めて飛んで曲がらないを実現することに賭けた

「慣性モーメントが大きなドライバーは、重心が深くなることもあり、ヘッドの操作が難しくなる側面があります。ときにはプレーヤーが意図しないような大きなミスショットが出てしまうこともあるのですが、『RMX 120』はそれがない。プレーヤーの意図した弾道が出てくれる印象です」(関プロ)

特大慣性モーメントは曲げたくても曲げられないレベル「RMX220」

ゴルフクラブの歴史の中でも、史上最大級という特大の慣性モーメントを持つのが「RMX 220」。すでに、打ってみたアマチュアからは、「ボールが曲がらない」、「ミスヒットに強い」と驚きの声が多く寄せられているという。

画像: RMX220。尖った性能で、SNSなどでも感想が多く聞かれるモデルだ

RMX220。尖った性能で、SNSなどでも感想が多く聞かれるモデルだ

「完全に現代のトレンドであるオートマチック系のクラブに仕上がりましたね。それらのドライバーにありがちな、右へのスッポ抜けを防ぐため、重心角を大きくして、ボールのつかまりを増しています。テクニックを駆使することなく、大きく飛ばせるドライバーです。特にティショットが苦手な人に使ってほしいドライバーです。打点のミスに強く、ボールが曲がりづらい。ヘッドが上から入って、スライスするようなゴルファーでもボールがつかまります」(関プロ)

画像: 驚くべき慣性モーメント値を実現したRMX220はとにかくミスヒットに強くボールが曲がらない

驚くべき慣性モーメント値を実現したRMX220はとにかくミスヒットに強くボールが曲がらない

“5760”というありえない数値を実現させてきたRMX220だが、その数字はそのまま性能に直結している。

「そして、スピン量が増えすぎないのも良いですね。やさしいドライバーというと、スピン量が多く、曲がりは少ないものの飛距離をロスしてしまう傾向がありました。『RMX 220』は、打点がぶれてもややライナー性の弾道で、飛距離が損なわれないという、一味違ったやさしさを持ったクラブです。このあたりはツアー系の性能と言えそうですね」(関プロ)

「今までのクラブでは勝てない」RMXの変化はプロたちの危機感からはじまった

もともと、新「RMX」のビッグチェンジは、藤田寛之らヤマハ契約プロからの「今までのままでは、クラブの進化に取り残されてしまう」という強烈な危機感に端を発したものだという。飛距離、そして直進性を手にした「RMX」を、プロトタイプの段階から、契約プロたちは手にしている。

画像: 納得のいくドライバーを作って欲しいと話し、開発陣に火をつけた藤田寛之

納得のいくドライバーを作って欲しいと話し、開発陣に火をつけた藤田寛之

女子選手は大半が「RMX 120」を使用。今季、新たに契約した永井花奈をはじめ、福田真未、ユン・チェヨンといったヤマハおなじみのメンバーも愛用中だ。

男子では看板プロである藤田寛之が使用。昨年の賞金王である今平周吾は、セガサミーで「RMX 120」を使用したが、現在はさらに大型の「RMX 220」をテスト中だという。ツアー終盤で、新ドライバーが威力を発揮するということもありそうだ。

画像: 男子プロの間では「RMX220」の超・直進性能が高く評価されている。“5760”という驚異の数字は、プロからアベレージゴルファーまで誰もに恩恵をもたらすようだ

男子プロの間では「RMX220」の超・直進性能が高く評価されている。“5760”という驚異の数字は、プロからアベレージゴルファーまで誰もに恩恵をもたらすようだ

個性の異なる2つのツアー系ドライバー「RMX」。単に「120」がハードで、「220」がやさしいというわけではなく、ロフト選びやシャフト選びも含めて、ゴルファーによって、よりマッチするクラブが分かれるようだ。今平周吾が「120」と「220」の両モデルをテストしているのも、その見極めのためだろう。

では、関プロが実際に使うなら、どちらのドライバーを選ぶだろうか?

画像: 関プロは「自分で使うなら」と問われ、悩みに悩んでRXM120をチョイス。クラブフィッターらしく、シャフトとの組み合わせ思いを馳せていた

関プロは「自分で使うなら」と問われ、悩みに悩んでRXM120をチョイス。クラブフィッターらしく、シャフトとの組み合わせ思いを馳せていた

「振りやすさを重視して『RMX 120』ですかね。ライナー系の弾道になりやすいので、ロフト角は10.5度でも良いかもしれません。RMXはシャフトを自由に組み合わせられるので、先端が硬くて、弾き系のシャフトを選びたいです。深重心ヘッドの挙動がより安定するので、相性がいいんです。『ブーストリング』の効果もあって、ボール初速性能はかなり高いので、シャフトも弾くほうが飛びそうな気がします」(関プロ)

ツアーのトレンドを取り入れて快作となった今回の「RMX」。発売直後から、すでに売れ行きはかなり好調だという。国産ドライバー離れしたその性能。味わわないのは損だ。

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