スライサーがドローを打った!? 高ミート率もスゴいがつかまりもバツグン!
HONMAのクラブといえば、今までどこかアスリート気質なゴルファー向けというイメージがあった。そんなHONMAの「T//WORLD」シリーズに、アマチュア向けとなる新シリーズ「XP-1」が加わることとなった。XP-1ドライバーのコンセプトは“とにかく芯に当てやすい!”というもの。
そこで今回、業界屈指のギアオタクでショップ店長の小倉勇人と、ゴルフ大好きゴルフ女子の萩原菜乃花(はぎわら・なのか)さん(23歳、平均スコア80)、ゴルフに対する熱量が半端じゃないアベレージゴルファーの須賀京介(すが・きょうすけ)さん(25歳、平均スコア80前後)の3名がコースでXP-1を試打し、その性能をたしかめた。
試打者には事前情報一切なしの試打を行ってもらった。場所は東名カントリークラブの裾野コース1番ホール。
まず打つのは、学生時代はゴルフ部に所属していた須賀さん。思い切り叩いたショットは強めのドローボールでキャリー260ヤードに迫るショットとなった。その弾道と打感の良さに一瞬言葉をなくす須賀さん。
「自分の打球ではないと思うぐらい飛距離も出ていて、正直驚きました。打感がかなり良いです。フェースに吸い付く感じがあります」(須賀)
ドライバーにかなりの苦手意識を持つという萩原さんはXP-1ドライバーのレディースモデルを手にショット。左に真っすぐ飛んだボールがさらにドロー回転がかかり、キャリー170ヤードを超えてトータル200ヤードに迫る一打となり、周りからは驚きの声が漏れる。
「普段の持ち球がフェード、っていうかスライスなので、かなり左を向いて打ったのですが、そのままつかまった球が出て驚きました。打感が柔らかくて、だいぶ飛距離も出ている感じ。ボールとの接触時間も長い気がします」(萩原)
二人のショットを見て、小倉は既にXP-1の“高ミート率”という設計意図がしっかりと実現できているように感じたと言う。
「須賀さんはヘッドスピードがかなりあるので、球が上がりすぎてしまうかな〜と思っていましたが、強い球が出ていましたね。ミスヒットに強いクラブは球離れの早さというものがありがちですが、お二人とも打感が良いとかフェースに球が張り付くという言葉が出るようにちゃんとフェースの芯で打球を捉えられているのかなと感じますね」(小倉)
みなさんもご存知だと思うが、芯を食った一打の打感は手には極上の柔らかさとして伝わる。XP-1は、芯に当てやすいことでその快感を味わいやすくなっているというわけだ。
続いて小倉もXP-1を手に取り打つ。中弾道、直進性の高い球で250ヤード超えのショットを放った。
「直進性が高いし、フェースが非常に返しやすいです。大型ヘッドはフェースを返すのにエネルギーがいるんですけど、(XP-1は)自然にサラッと振ってフェースをスクェアに戻しやすい印象がありました」(小倉)
ここまで、試打者の評価は上々。次は実際に弾道測定器「フライトスコープ」を設置し、正確なデータを計測するとともに、フェース面にインパクトマーカーを貼り付け、打点の散らばり具合を検証した。
一発勝負ということもあり現場に緊張感が漂う中で、まずは須賀さんからテスト。結果は、3球ともに打点が芯の付近に集中している。
「ヘッドが走る感じがして、非常に振り抜きやすいです。普段からドライバーの打点がバラつく傾向にあったのですが、一発勝負でこんなに打点がまとまるとは思っていませんでした。ビックリです」(須賀)
トッププロでもない限り、3球すべての打痕が重なるなんてまずありえず、どうしたって打点はバラつく。そのバラつきをどれだけ抑えられるか……が鍵だが、XP-1のこの打痕は合格点をゆうゆうクリアしている。
また、事前に計測したマイクラブのデータとXP-1ドライバーのデータを比較してみると、マイクラブのヘッドスピードは平均44.5m/s。XP-1は48.2m/sと、3.7m/sもヘッドスピードがアップしていることもわかった。
ミート率・ヘッドスピードが向上した秘密はシャフトにある。昨今45~46インチのシャフトが主流となっているが、XP-1は45.25インチと“ちょい短尺”。シャフトが短い分フェースの芯でボールをとらえやすくなり、必然的に打点のブレ幅が少なくなっている。
だが、シャフトが短いクラブはヘッドスピードが落ちてしまうという不安が付きまとうのは当然。しかし、須賀さんは46インチのマイクラブよりも、0.5インチ短いXP-1のほうが3.7m/sもヘッドスピードが上がっている。
その理由はシャフトの復元速度の高さだ。復元速度とは、いわゆるしなり戻りのこと。これが速いため、短尺でもヘッドスピードを上げることができる設計になっているというわけだ。
つかまる秘密はヘッドにあり! XP-1のテクノロジーをプロが分析
今回のドライバー試打では3人ともこれでもかと好結果を出していたが、その秘密は短尺シャフトだけでなくヘッドにも当然つまっている。小倉、萩原、須賀のコース試打の模様を記録した動画を視聴・分析したプロゴルファー・中村修は、「(3人の試打結果には)XP-1ドライバーヘッドの良さがしっかり表れています」と語る。
「まず須賀さんをはじめ、みなさん打感の良さについて触れていますね。XP-1はカーボンクラウンを採用しているのですが、これによって軽量化が図れるのはもちろん、打感が固くならないというのも大きなポイントなんです」(中村)
フェードヒッターである萩原までもがドローあるいはまっすぐな球筋になるほどのつかまりの良さ、これは「ヘッドソール後方のウェートのおかげですね」と中村。
「実際に内部の構造を見てみると15gのウェートがしっかりと厚い幅で広がっています。つかまりの良さの秘密はこれです」(中村)
さらに、ツアーモデルである「T//WORLD TW747」に搭載されたテクノロジーをアマチュア向けにブラッシュアップし採用したことが、試打者達を驚かせた芯喰い性能やつかまり・打感の良さに貢献しているという。
「フェース内部に5つのリブを配する『5FANGテクノロジー』でたわみが増幅され反発力が上がっていますし、ソールのフェース寄りの位置にある溝『Wスリット』によって初速アップやミスへの寛容性だけでなく、打音が柔らかくなる効果もあります」(中村)
試打テスト中に萩原が口にした「ボールとの接触時間が長い」という言葉も、これらの技術による“フィーリング面の向上”の結果だと中村は言う。
「打感の柔らかさももちろん大事ですが、仮に打音がカキンと弾くような音だと球離れが早いように感じてしまいますよね。打感の柔らかさだけでなく、打音にもこだわっているからこそ『接触時間が長い』と感じるんです。さらにインパクト後、シャフトのしなり戻りでボールを押し込めていて、その感覚は手元から脳へと伝わっている。これが萩原さんが抱いた印象の正体です」(中村)
これによって「コントロールして飛ばす感覚がより顕著に(プレーヤーに)伝わる」(中村)という。自然と芯を捉えてくれるだけでなく、コントロール性能までも高水準でまとまっているわけだ。
「これはつかまり性能に優れたヘッドとそれに合わせたシャフトの両方を自社設計できるHONMAだからこそ実現できたと言えますね」
芯に当たるから飛ぶ。XP-1ドライバーのコンセプトは言葉にするといたってシンプルだが、実際に安定して芯に当てることができるのだから、これ以上に心強いことはないだろう。
セカンドショットもやさしく飛ばす! XP-1 FW/UT/アイアン
テストの結果、「XP-1」ドライバーのコンセプトである“高ミート率”が証明される結果となった。この「XP-1」シリーズは他にもフェアウェイウッド(以下FW)、ユーティリティ(以下UT)、アイアンもラインナップしている。こちらはフェアウェイから、3人に試打してもらった。
ピンまでおよそ210ヤード地点で、まずはFW、UTをテスト。試打者の小倉がXP-1 FWで放った打球は、高い弾道を描きグリーンを捉えた。
「ミスヒットに強いと言われているフェアウェイウッドの多くは、ヘッドが大きく芝の抵抗が大きくなりがちですが、これは比較的大きめのヘッドにも関わらず、滑りが良く抜けが非常に良いですね。かなり高さも出て安定感があります。それでいて飛距離が出ないかというと全然そのようなことはなくて、ヘッドスピードがない人でも安定して距離を出せるクラブだと感じますね」(小倉)
FWもドライバーのヘッド性能を継承している。ヘッドをカーボンクラウン(3Wのみ)にすることで重心設計を最適化することでつかまりを良くし、芯でボールを捉えやすくしている。
「UTは非常に弾き感のある気持ちの良い打感です。打球が曲がるイメージがなく、直線的にピンを狙っていける感じがしますね」(小倉)
中村プロにXP-1FW、UTの特徴をそれぞれ解説してもらおう。
「FWは構えたときの見え方が非常にオーソドックスでありながら、球が上がってくれます。上から打ち込むというよりは、払い打つことでオートマチックにボールを拾ってくれるはず。UTはコントロール性の高さがポイントですね。フェード・ドローの打ち分けやボールの高低などを変えていける操作性がありつつも、オートマチックに打っていけます」(中村)
アイアンはピンまでおよそ170ヤード地点でテスト。スピンの効いた高い弾道の打球がピンまで3メートル付近にピタリと止まった。
「一番感じるのは、打球の上がりやすさですね。スピンもしっかり入ってグリーンで止まってくれそうな感じです。打感も弾き感とフェースへの喰いつきが両立していて気持ちがいいですね」(小倉)
今回小倉が試打したのは7番だが、実はXP-1アイアンはコンボアイアン。4~7番と8~SWで設計が異なっている。それぞれの違いを中村プロに詳しく解説してもらおう。
「XP-1アイアンは4~7番までは中空構造で、タングステンウェートをソール内部に配置することで低重心化し球を上げやすい設計になっています。7番でロフト角28.5度と飛び系アイアンの部類ですが、飛距離以上に球の上がりやすさを感じるんじゃないかと思います。一方8番以下の番手はソール幅が広くなっていて、ダフリに強い作りになっています。少し重心距離が長くて球を上げやすい、やさしいアイアンという印象ですね」(中村)
ドライバーだけでなくセカンド地点からFW、UT、アイアンでも高いパフォーマンスを見せてくれたXP-1シリーズ。コースでベストスコアを更新したいアマチュアゴルファーにとって、XP-1はまさに“結果を出してくれるクラブ”になり得るだろう。