国内ツアー3勝、2012年以降ツアーシード権を保持し続けている女子ツアーの実力者・菊地絵理香。高いフェアウェイキープ率を誇る菊地のスウィングを、プロゴルファー・中村修が分析。

フェアウェイを正確に捉えるショットメーカー

国内ツアー3勝で、2012年からシードをキープし続ける実力を持つ菊地絵理香選手。2017年以来優勝からは遠ざかっていますが、2連続予選落ちが続いた直後の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」(9/27~29開催)では3位タイ。先週の「スタンレーレディス」では初日から5アンダーとスコアを伸ばし、2位タイと調子が上向きです。

画像: 国内3勝の実力者、菊地絵理香(写真は2019年の大東建託・いい部屋ネットレディス 撮影/大澤進二)

国内3勝の実力者、菊地絵理香(写真は2019年の大東建託・いい部屋ネットレディス 撮影/大澤進二)

身長157センチと小柄で、ドライビングディスタンス232.49ヤード、順位にして73位と飛ばし屋ではありませんがフェアウェイキープ率が73.2453%と非常に正確性が高い。曲げずにフェアウェイからグリーンを狙っていくショットメーカーと言えるでしょう。

菊地選手のアドレスは、スクェアグリップで握る非常にオーソドックスな形(写真A)。バックスウィングでは下半身をどっしりさせ上体をしっかりねじっていることがわかります。トップ位置でのフェース向きも極端なシャットではなく、非常にニュートラルなスクェアポジションに収まっています。

画像: 写真A:オーソドックスなアドレス。トップでのフェース向きもスクェア

写真A:オーソドックスなアドレス。トップでのフェース向きもスクェア

特徴的なのはダウンスウィング(写真B)。腕が平行になるポジションまで下ろしていますが、まだ右足が踏ん張っていますよね。左への体重移動が非常に少ないんです。右側に重心を残したまま振っていくことで、アッパブローでボールを捉える準備ができています。

画像: 写真B:バックスウィングでは左への体重移動が少なく、右サイドに重心を残したまま振っている

写真B:バックスウィングでは左への体重移動が少なく、右サイドに重心を残したまま振っている

インパクト直前を見ると、クラブヘッドがボールよりも低いところから入っていることが分かります。絶対に体が突っ込まずにボールよりも右側にあることで、ボールにしっかりと力を伝えられていますし、やや軌道はアッパーになることでスピン量も少なくなり、157センチの身長でも平均230ヤード飛ばせるわけです。

画像: 写真C:インパクト直前を見るとクラブヘッドがアッパー軌道を描いていることがわかる

写真C:インパクト直前を見るとクラブヘッドがアッパー軌道を描いていることがわかる

一方でフィニッシュでは、左足1本でしっかり立っている(写真D)。このことからもインパクト後はしっかり体を回してボールを押し込んでいることがわかりますね。

画像: 写真D:左足1本で立つフィニッシュから、インパクト以降はしっかりと体を回していることがわかる

写真D:左足1本で立つフィニッシュから、インパクト以降はしっかりと体を回していることがわかる

ショットの正確性もあってパーオン率は15位、パーセーブ率7位と非常に高水準。しかし今年はパットに苦しんでいるようで、平均パット数(1ラウンド)は30.5665で80位、パーオン時の平均パット数も1.8488で60位となっています。

ただ、ショットだけでなくアプローチも得意な菊地選手。出身地が北海道ということで、洋芝で鍛えられたのではないかと想像できます。実際に取材をしていても、多くの選手やキャディからアプローチ巧者として名の挙がる存在です。

その実力が表れたのが先週のスタンレーレディスの最終日最終ホールパー5。ラフに埋まった3打目は出すだけで残り48ヤードの4打目、ショット地点からピンも見えない難しいアプローチをSWで打ち、チップインバーディ。私自身、現地でその様を目の当たりにして、グリーン周りの上手さを改めて感じました。

ショットの調子は上々で、アプローチもバツグン。3位タイ、2位タイとくれば次は……と期待がふくらみます。今週末のプレーにも注目したいです。

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