「前のホールのOBがなければなあ」「このショット、池に入ったらどうしよう」……と、ゴルフをしているとついつい過去や未来のことを考えてしまいがち。“今”目の前のショットに集中するためには「マインドフルネス」が効果的だというのはプロも教えるメンタルコーチ・池努。ゴルフに使えるマインドフルネスのエッセンスを教えてもらおう。

日常生活から「心がここにある」状態を意識しよう

前回、大事な場面や試合で結果を出すために“結果を手放し”今できるプレーに意識的に集中していくためにおすすめするメンタルトレーニングとして「マインドフルネス」を紹介していきました。テニスの世界のトッププレーヤーであるノバク・ジョコビッチ選手などトップアスリートも習慣としているマインドフルネスとは「今という瞬間に意識のすべてを向ける」という意味合いでした。

そして、その実践的なトレーニングとしてマインドフルネス瞑想を紹介していきました。今回は前回の記事の延長で日常生活内で実践できるマインドフルネスについて紹介していきます。

前回紹介したマインドフルネス瞑想ではひとつひとつの呼吸に意識を向け、息を吸い込み、吐くことを観察するように意識していくことを行っていきましたが瞑想以外でもマインドフルネスを行うことが可能です。

たとえば、歯磨きです。歯磨きをマインドフルネス的に行うことはすごく効率の良いトレーニングになります。どのように実践するかというと、歯を磨くときに「ひとつひとつの歯」を順番に丁寧に磨くことに意識を向けることをしていきます。実はこれも「今を意識する」という意味で立派なマインドフルネスになります。

画像: “今”を意識する強メンタルを作るためのトレーニング法とは?(撮影/増田保雄)

“今”を意識する強メンタルを作るためのトレーニング法とは?(撮影/増田保雄)

おそらく、私も含め多くの方は自動操縦のように歯磨きをしながら今日の予定のことや他者のことに思考をめぐらせているものです。これはマインドレスネスといって「心ここにあらず」という状態ですね。私たちは仕事をしていても、ゴルフをしていても気が付くとすぐに目の前の作業やプレーではなく未来や過去の事、他人などに思考をめぐらせ、心ここにあらずの状態になり「今注意を向ける対象」への集中力を欠いてしまうものです。

瞑想でも歯磨きでもいいので意識的に「今」に意識を向ける時間を意図的に作らない限り、なかなか日常生活でマインドフルネスの時間をつくることは難しいはずです。そういう意味でも歯磨きは毎日の習慣として根付いている行動なので、その時間をマインドフルネスに当てるのはとても効率的だと感じます。

また、さらに「掃除」もマインドフルネスに向いています。禅の世界では「一掃除二信心」という言葉があります。これは僧侶の修行で大切なのが一番に掃除、二番目に仏教を学ぶということを意味しているそうです。それぐらい僧侶は心を込めて、庭の清掃や屋内の拭き掃除などにただただ没頭する修行をされるらしいのです。これは「今に意識を向ける」という紛れもないマインドフルネスの状態ですね。

このような僧侶の修行を見習い1日5分ほど、掃除の時間をつくりその時間をご自身のマインドフルネスに当てることもかなりおすすめです。丁寧に掃除をしている自分に意識を向け、時おり他のことに思考が移ってしまったら、「今別のことに意識が向いた」と気づき、また掃除にただただ意識を向けていく。このように掃除をマインドフルネスの時間にする、これもおすすめです。

そして、お気づきの方もいるかもしれませんが歯磨き、掃除だけでなく皿洗いや料理、洗濯、そして食事などの時間も意識次第でマインドフルネスの時間にすることができます。マインドフルネスに興味がある方はご自身にあった方法で日々の習慣として取り入れてもらえると実践しやすいと思います。

まずは1日5分、1週間お試ししてもらい、「今に意識を向ける」感覚を養い、ゴルフの練習時にもある10分だけは一打一打に意識を向けてマインドフルネス的にゴルフに取り組む。ラウンドでもスコアや他者が気になっても「今、目の前のプレー」に注意を向けることをテーマにラウンドしてみる。ぜひ、このように「心ここにあらず」ではなく「心がここにある」状態にアプローチしてみることも面白いと思います。

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