日本初開催のPGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」はタイガー・ウッズが制し幕を閉じた。現地で取材をした月刊ゴルフダイジェストのツアー担当・ケンジロウが実況レポート!

タイガーがつねに後ろの組みから“ヒデキ”のプレーを見つめた

ケンジロウです。千葉県習志野のアコーディア・ゴルフ習志野カントリークラブよりお届けしております。

ZOZOチャンピオンシップ最終ラウンドが終わりました。日曜日の最終ラウンドは日没サスペンデットで翌日に持ち越し、月曜日の今日、選手たちは残りの数ホールを戦いました。

さて、もう皆さん結果はすでにお分かりかと思いますが、改めて今日の試合が始まる前の状況をおさらいをすると……、首位を独走しているタイガーは18アンダー、2位の松山英樹は15アンダー、その差3アンダーでした。

最終組のタイガーの一つ前で回る松山は13番からのスタートで残り6ホール、タイガーは12番からのスタートで残り7ホール。タイガーが落とすことは考えにくいので松山はどんどんバーディをとっていくしかないという状況でした。3位のウッドランドが12アンダーでしたので、まさに「タイガーVS松山英樹」一騎打ちの様相を呈していました。

画像: 13番のティショットからファイナルラウンドのプレーを再開。このホールはワンオンさせてパーだった

13番のティショットからファイナルラウンドのプレーを再開。このホールはワンオンさせてパーだった

タイガーも松山も同組ではなく、さらにコース内にはスコアボードもほとんどないので、お互いのスコアはなかなか探りづらい状況でした。2000人ぐらい入ったギャラリーの歓声などで推し知るしかありません。

ただ、習志野CCの今回のコースレイアウトは12番と14番が隣接していたり15番と17番も隣同士になっているなど、なんとなくお互いの雰囲気をうかがい知ることはできたはずです。

画像: 松山が去った13番にすぐにタイガーが姿を現す。試合は完全に“一騎打ち”の様相だった

松山が去った13番にすぐにタイガーが姿を現す。試合は完全に“一騎打ち”の様相だった

では、二人のガチンコ対決を振り返ってみましょう。

松山英樹は朝イチ13番のパー3からスタート。ひとつ前の組(ザンダーやウルフなど)が先にティショットを打つのを見られたので、その点はすごく有利に働いたかと思います。

ただし松山が9番アイアン(おそらく)で打った球はピンには寄らず、ここをパーでスタートします。すぐ横の12番ホールではタイガーがボギーを打っていて、ここで二人の差はいったん2打差まで近づきます。

ギャラリーから「松山どうだった?」「タイガー、ボギースタートだよ」などという声が聞こえ、みなお互いのプレーを気にしながら観戦していました。その後14番のパー5で松山は3打目をベタピンに寄せるも、その1.5メートルぐらいのバーディパットを外しました。実はそのパットをタイガーは2打目地点から見ていたんです。

画像: 松山のバーディパットを見つめるタイガー。これは17番での様子だが、このように前を回る松山の様子を注視しながらプレーしていた

松山のバーディパットを見つめるタイガー。これは17番での様子だが、このように前を回る松山の様子を注視しながらプレーしていた

「12番ホールがとても重要だと思っていたのだけど、ボギーを打ってしまって、そこから2打差になってしまった。その後、英樹が14番でピンの近くに寄せたのも見たし、そしてそのパットを外したのも見た。それで私のレイアップも簡単になりました」(タイガー)

後ろからタイガーに睨まれている状況でのバーディパットはちょっとやりづらいですよね。松山本人はそこまで気にしてないだろうけど…。

でもまさに1打1打、手に汗を握るデッドヒート。一方のタイガーは14番でしっかりとバーディをとって二人の差は3打差まで広がりました。

その後、松山は16番で長いバーディを沈め、再び2打差へ。この16番のバーディパットを打つのとタイガーが15番でバーディパットを打つのがまったくの同タイミングでした。わずか140ヤードぐらいしか離れておらず、お互いの組の雰囲気は伝わる距離感。

先に打った松山英樹がバーディパットを沈め、その歓声が起き上がっている中で打ったタイガーのバーディパットは外れました。

これはまた2打差に、松山にも可能性が出てきました。ギャラリーはどっちの組につくか、迷ったことでしょうね。「15番を入れたら優勝かなと思ったけどそれを外したので難しい状況になった」とはタイガーの試合後のコメント。

松山英樹はその次の17番パー4のティショット、2打目ともに最高のショットを打ち、見事にバーディチャンスにつけました。そのバーディパット、3メートルに近い下りのラインを読んでいるときに、ラインが読みづらいのか、早藤キャディと苦笑いするような表情に。

画像: 17番で松山はいいショットを連発するも、バーディパットは惜しくも入らず

17番で松山はいいショットを連発するも、バーディパットは惜しくも入らず

「ラインは読みづらかったですね。でもまあ最後は自信をもって打ったんですけど……、ボール1個分違いました」(松山)

結局このホールをパーとし、変わらず2打差のまま。実はこのバーディパットも後ろからタイガーが見ていました(バーディパットと思って見ていたかどうかはわかりませんが)。

「パーをとらなければダメだ」18番までタイガーにプレッシャーをかけ続けた

最終18番ホールはパー5で、松山はイーグルをとればタイガーに追いつく状況でした。

画像: パー5の18番ではバンカーに入れ、難しい状況から「イーグルならワンチャンスある」とスプーンを振り抜いた

パー5の18番ではバンカーに入れ、難しい状況から「イーグルならワンチャンスある」とスプーンを振り抜いた

松山はスプーンで右のフェアウェイバンカーに入れてしまったものの、そこからスーパーショットを打って左のバンカーまでもっていきました。ただし最後はそのバンカーから大オーバーしてしまって万事休す。

「(ライは)よくはなかったですね。ギリギリ狙っていたんで仕方ないですね」(松山)

タイガーも18番の2打目を右のバンカーに入れたものの、そこから砂イチで見事バーディフィニッシュ。終わってみればトータル19アンダーで、16アンダーの松山との差は今日のスタート時点と変わらず3打差。

これでタイガーは念願のツアー通算82勝目を手に入れました。以下、タイガーの試合後のコメントです。

「ヒデキがチャージをしてきて、私がミスをしてしまっていたのでけっこう接戦になったと思います。最後のほうになって状況を読み間違えていました。(18番で)ヒデキのショットをみたときにいいショットを打ったのかなという印象を受けましたので、18番でパーをとらないとダメだと思っていました」

そう語ったタイガー。つまり18番にタイガーが立った時点で松山の2打目のショットが良かったと見えて、松山が最低でもバーディはとってくると思っていたんでしょうね。そうなると18番でボギーを打てば並んでしまいますからね。

余裕の逃げ切りラウンドかと思いきや、実は意外と内心ドキドキとしていたんでしょうね。前の組でいいプレーをして、そこまで“トラ”を追い詰めた松山には拍手を送りたいですね。

画像: ZOZOチャンピオンシップは、タイガーの史上最多勝に並ぶ82回目の勝利で幕を下ろした

ZOZOチャンピオンシップは、タイガーの史上最多勝に並ぶ82回目の勝利で幕を下ろした

ホールアウト後の松山英樹に後ろの組を気にしていたかと聞くと、

「(タイガーが)落とすことはないだろうなと思って、伸ばしていけたらなと思ってやっていた。最後2ホール取れなくて残念ですね」とコメント。

日本のスーパースターと、アメリカの超スーパースターが優勝争いをするシーンを日本で見られるなんて素晴らしい1週間の締めくくりでした。

惜しくも2位で終わった松山英樹ですが、ドライバーもパットも調子が上がっているだけに、WGCでの3週連続優勝争いに期待が高まります。

写真/姉﨑正

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