いよいよ11月5日から4日間にわたり開催されるLPGA(日本女子プロゴルフ協会)の最終プロテスト。上位20位タイのスコアを出さないと振り落とされる過酷なテストで、毎年たった1打に涙する選手も多い。そして現在レギュラーツアーに出場している選手は全員プロテストに合格した正会員……かと思いきや、意外な選手が実はまだ正会員でないことも。正会員って何? どうやったらなれる? プロテストに受からないとプロじゃない? 改めて調べてみた。

プロゴルファーとしてLPGA正会員になるためには?

富士通レディースで史上7人目のアマチュア優勝を果たし、プロ入りを決めた古江彩佳。今回のように、LPGAツアーで優勝したTP登録者(正会員ではないが、単年の出場資格を持つ)や臨時登録者(アマチュア)がLPGA会員入会申請書を提出できるのはLPGAツアー規定で定められている。これにより古江はプロテストを受けずともプロ入りが可能となった。

レギュラーツアーで戦う選手の多くは、
・プロテスト合格(原英莉花、河本結など)
・2017年度以降に優勝したTP単年登録選手(畑岡奈紗、イ・ボミなど)
・2018年制度改正後賞金ランキングで50位以内に入り賞金シードを確保した(権藤可恋)
といった正会員の選手だが、以上の条件を満たしていないTP単年登録選手もいる。

TP単年登録というのはサードクォリファイングトーナメント以上の進出者が得られる1年間限定のプロ資格だが、2018年の制度改正によりTP単年登録は廃止されることとなり、2019年シーズンはこの過渡期ということでTP単年登録が特別に認められているが、2020年からはプロテストに受かっていないLPGA正会員以外の選手、つまりTP単年登録選手は翌年の出場優先順位を争うクォリファイングトーナメント(QT)にさえ出場ができなくなる(一部例外あり。以下参照)。

来季の賞金シードを確実にした宮里美香も実はTP単年登録選手(写真は2019年のダイキンオーキッドレディス 撮影/岡沢裕行)来季の賞金シードを確実にした宮里美香も実はTP単年登録選手(写真は2019年のダイキンオーキッドレディス 撮影/岡沢裕行

そのため、今季TP単年登録でツアーを戦っている選手は、11月の最終プロテストに受からないと来年は浪人状態になってしまうのである。QTに出られないということは来季のツアー出場は絶望的だが、ここには例外の救済措置もあり、「最終プロテスト出場者で合格順位より2打差までの者」はファーストQTの出場資格があるともされている。勝ち進みファイナルQTの上位に入れれば、2020年も例外のTP単年登録という形で試合には出られる。

とはいえ、LPGAのホームページには、「2020年TP単年登録者は、いかなる場合も翌年に単年登録を継続することはできない」と明記されているため、プロテストを受けるかレギュラーツアーで優勝をするか賞金シード50位以内に入らなければQTも受けられないとハードルは高い。

そんな中、11月1日現在の賞金ランキング50位以内に2人TP単年登録選手がいた。ひとり目は賞金ランキング6位のペ・ソンウ。ペ・ソンウは安定感のある戦いで今季のトップ10入りは9回。北海道meijiカップでは初優勝を飾り、その優勝資格で正会員であるインターナショナルプロフェッショナル会員への登録が可能だが、まだその手続きはしていない。

もうひとりが宮里美香だ。実は彼女もTP単年登録選手。現在賞金ランキングは33位のため、来季の賞金シードは確定したも同然で、これにより正会員の資格を得ることができるためプロテストを受けることはないと思われるが、もはやベテランの域に達している宮里美香がまだ正会員じゃないのが意外。早くから米女子ツアーへの参戦を決め戦っていた宮里には日本での正会員になるタイミングがなかったと言っても良いが、今季の成績でようやく正会員となる。

画像: プロツアーで好成績を残し、何度もローアマチュアに輝いた安田祐香は最終プロテストから出場する(写真は2019年のニッポンハムレディス 撮影/岡沢裕行)

プロツアーで好成績を残し、何度もローアマチュアに輝いた安田祐香は最終プロテストから出場する(写真は2019年のニッポンハムレディス 撮影/岡沢裕行)

その他のTP単年登録選手で言うと、三浦桃香、セキ・ユウティン、アン・シネ、高木優奈、P・チュティチャイ、ヌック・スカパン、幡野夏生、丹萌乃、篠崎愛、山路晶、宮田成華、常文恵などレギュラーツアーやステップアップツアーで名前を聞く選手も多い。

この選手たちもプロテストに落ちてしまったら一切のチャンスはなしかと言われるとそうでもない。「大王製紙エリエールレディス競技終了時点でLPGA賞金ランキング56位~70位に入っているTP単年登録選手」や「ステップアップツアーで優勝している選手」また「ステップアップツアーの賞金ランキング3位~10位までの選手」に関してはファイナルQTの出場資格がある。

ステップアップツアーの賞金女王に輝いたヌック・スカパンに関してはプロテストを受けずにTP単年登録のままでも来季のレギュラーツアーの前半リランキングまでの出場権を獲得しているが、先に述べたように「2020年TP単年登録者は、いかなる場合も翌年に単年登録を継続することはできない」ということを考えると今年のプロテストに受かっておきたい。

第1次プロテスト、第2次プロテストを勝ち抜いて今年の最終プロテストまで駒を進めた選手の中には、西村優菜などのプラチナ世代も含まれる。同じくプラチナ世代の安田祐香は2017年の日本女子アマ優勝の権利で、吉田優利は2018年日本女子アマ優勝の権利で最終プロテストからの出場だ。レギュラーツアーでも通用するアマチュアの参戦に激戦は否めない。

画像: 2018年のプロテストトップ合格したエイミー・コガ(写真は2019年のニッポンハムレディス 撮影/岡沢裕行)

2018年のプロテストトップ合格したエイミー・コガ(写真は2019年のニッポンハムレディス 撮影/岡沢裕行)

2018年のプロテストトップ合格はエイミー・コガの20アンダー。今季すでに2877万5500円を稼ぎ38位と来季のシードをほぼ手中に収めている。2017年のトップ合格が松田鈴英というように、プロテストトップ合格の実力はレギュラーツアーでも通用している。ちなみに2018年のボーダーラインである20位通過は8アンダーとハイレベル過ぎる戦いだった。

今年のプロテストも実力者がそろっているが、4日間行われる最終プロテストはいつも一緒に戦っている全員がライバルで「必ず結果を残さなければいけない」というプレッシャーに気力も削られる過酷な戦い。実力が拮抗するため、ほんの少しの運も必要になるかもしれない。この戦いを勝ち抜くのは一体誰なのか。楽しみに見守りたい。

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