石川遼が使うキャロウェイ「APEX MB」。男子プロは4番アイアンを使いこなす選手が依然多い(撮影/姉崎正)
アイアンの番手は5番から一般的だが、プロのクラブを見ると4番アイアンが入っていることも多くある。果たしてこの4番アイアン、アマチュアゴルファーには必要なのだろうか? 4番アイアンをめぐる状況をまとめた。

4番アイアンは絶滅危惧種?

ゴルフショップに行くと、ほとんどのアイアンは5番から売られている。4番アイアンは絶滅危惧種といっていい番手だ。

画像: 石川遼が使うキャロウェイ「APEX MB」。男子プロは4番アイアンを使いこなす選手が依然多い(撮影/姉崎正)
石川遼が使うキャロウェイ「APEX MB」。男子プロは4番アイアンを使いこなす選手が依然多い(撮影/姉崎正)

そもそもアイアンはかつて1番から販売されていた。しかし、ロフト15度程度で今の3番ウッドと同じ程度だった1番アイアンは非常にボールが上がりにくく、徐々に市場から淘汰されていく。次いで同じ理由で2番アイアンが、さらには3番アイアンが姿を消していき、今その波が4番アイアンを飲み込もうとしているというのが今の4番アイアンを取り巻く状況だ。

多くのアマチュアゴルファーにとってアイアンは「5番から」が基本となっており、アイアンのロフト角を通常よりも立たせることで飛距離性能を高めたストロングロフトアイアンの台頭により、アイアンは6番から、あるいは7番からというセッティングも一般的になってきている。女子プロでも6番から、7番からという選手はザラにいる。

4番アイアンとユーティリティ、フェアウェイウッドはどう違う?

そんな中、3番、4番アイアンを今も使い続けているのはやはり男子プロたちだ。ドライバー、3番ウッド、5番ウッド、ユーティリティを1本入れてその下に4番アイアンというセッティングを採用しているプロは多いが、彼らはなぜ4番アイアンをセッティングに入れるのだろうか。それは、フェアウェイウッドやユーティリティと比較するとわかりやすい。

4番アイアン ロフト23度 長さ38.5インチ
ユーティリティ ロフト23度 長さ39.5インチ
フェアウェイウッド ロフト23度 長さ41.25インチ

4番アイアンは飛ばない・上がらない・ミスに弱い

以上は、いずれも実際に市販されているクラブのスペック。このように、同じロフトで並べると4番アイアンはもっとも短いことがわかる。クラブが短いとヘッドスピードは上がりにくい。そのため、4番アイアンは同じロフトのユーティリティやフェアウェイウッドに比べ、基本的には上がりにくいし、飛びにくい。

画像: 男子プロの時松隆光は、4番アイアンを抜いてミズノGXの5番ユーテリティ(ロフト23度)を入れている(撮影/岡沢裕行)

男子プロの時松隆光は、4番アイアンを抜いてミズノGXの5番ユーテリティ(ロフト23度)を入れている(撮影/岡沢裕行)

また、ヘッドサイズもアイアンよりユーティリティ、フェアウェイウッドのほうが当然ながら大きいため、重心の位置もウッド系のほうがより低く、深くしやすい。これにより、ボールは上がりやすくなり、ミスヒットにも強くなる。総じてやさしくなるというわけだ。つまり、4番アイアンは同ロフトのユーティリティ、フェアウェイウッドに比べて飛ばない・上がらない・ミスに弱いの三拍子が揃っているということになる。

4番アイアンを男子プロが好んで使うのはなぜ?

では、なぜそんな4番アイアンを男子プロは使うのか。それは、とくに風が吹く状況下でライン出しと呼ばれる高さを抑えたボールを打っていくため。プロの試合では風の吹く中精密に方向を出していくショットが要求されるため、ユーティリティやフェアウェイウッドの上がりやすさが、かえって邪魔になる。また、4番アイアンは重心が高く、それによりスピンがかかりやすいため、球筋をコントロールすることもやりやすくなる。そのため、4番アイアンを好んでバッグに入れるプロは今も多くいるというわけだ。

画像: タフな状況下こそ、4番などロングアイアンはその真価を発揮する(写真は2019年の全英オープン 撮影/姉崎正)

タフな状況下こそ、4番などロングアイアンはその真価を発揮する(写真は2019年の全英オープン 撮影/姉崎正)

以上の説明は、逆説的に一般アマチュアゴルファー、とりわけビギナーから100切りを目指すレベルのゴルファーに4番アイアンが不要である理由ともなっている。ロフト23度前後のクラブというと、ドライバーのヘッドスピードが40m/s前後の平均的なゴルファーにとってはおよそ170ヤード前後を打っていきたいクラブとなる。かなりのロングレンジとなるその距離では、ライン出しだの球筋コントロールだのの前に、なるべくミスなく高い球でボールを運べるのがベスト。なので、迷わずユーティリティ、あるいはフェアウェイウッド を選ぶべきだろう。

9番ウッドは4番アイアンの有力な代替候補だが……

ただし、ロフト23度のフェアウェイウッドというと9番ウッドのカバー領域となるが、実は9番ウッドも最近非常に人気がなく、準絶滅危惧種的番手となってしまっている。実際は上がりやすくて非常にラクに距離を稼げる番手なのだが、圧倒的に扱いやすいユーティリティに市場を完全に奪われてしまっている状況だ。これは好みの問題でもあるが、中古ショップなので程度のいい9番ウッドを見つけたら、チェックしてみるのもひとつの手だろう。

4番アイアンは練習場で使うべき? そもそもアイアンは何番から入れる?

最後に、4番アイアンを使った練習法をご紹介……といきたいところだが、最近では上述したような理由で4番アイアンをそもそもバッグに入れるべき理由がさほど多く見当たらない。以前は、「難しい4番アイアンで練習しておけばそれ以下の番手は簡単に打てるから、練習はロングアイアンで行うべきだ!」という主に上級者の意見が散見されたが、そもそもアイアンが6番、7番からしかバッグに入っていないという状況でそれをいうのもどこか虚しい。

いつの日か腕を上げ、ライン出しショットが必要になり、そのために4番アイアンを手にしたときに考えるべきことと言っていいだろう。

ビギナー、あるいは100を切りたいレベルのゴルファーであれば、4番アイアンはもちろん、5番アイアンもなくて大丈夫。6番、あるいは7番からでも十分といえる。無理をせず、打ちこなせるクラブを使うことが、スコアアップの近道なのだ。

This article is a sponsored article by
''.