ゴルフショップには多種多様なゴルフクラブが所狭しと陳列されている。だが、とくにドライバーに関しては、モデル数の多さと反比例して、機能的な“選択肢”は実は少ないとギアライター・高梨祥明は指摘する。その原因はなにか? アイアンと比較しながら、ドライバーを取り巻く状況を考えた。

同じように多モデルだが、ドライバーは選択肢少なく、アイアンは多い!?

今どきは「選択の時代」などと言われているが、ゴルフクラブもそうなのだろうか? と考えることがある。確かにゴルフショップには数多くのニューモデルが並んでいるけれど、それらは果たして「選択肢」と呼べるものになっているのだろうか、と。

とくに、ドライバーである。同じモデルでロフト、シャフトを選択することができる。もちろん、各社のニューモデルを打ち比べて「選択」することも可能。商品数は、実に豊富だ。しかし、それがそのまま「選択肢」となるのだろうか、と考えてしまうのだ。

画像: ヘッド体積275ccと非常に小ぶりで43.75インチと短いテーラーメイド「オリジナルワン」(11.5度)。

ヘッド体積275ccと非常に小ぶりで43.75インチと短いテーラーメイド「オリジナルワン」(11.5度)。

「小さいヘッドで43インチのドライバーが欲しい」

そういうゴルファーがいた場合、そのニーズを満たすニューモデルドライバーはほとんどない。大手メーカーでは、テーラーメイドがミニドライバーの「オリジナルワン」を出しているくらいだろう。ニーズ、目的が普通と少し違ってしまった場合、いくら商品数が多くても「選択の幅」は限りなく狭いのだ。

ドライバーではなく、アイアンだったらどうだろう? アイアンは各ブランドで3〜5モデルもラインナップする文字通りの「多品種」カテゴリーである。主だった種類を列記してみる。(製法/ヘッドサイズ/ロフト設定)

【1】マッスルバック(鍛造/コンパクトヘッド/ノーマルロフト)
【2】ハーフキャビティ(鍛造/コンパクトヘッド/ノーマルロフト)
【3】キャビティ(鋳造/オーバーサイズ/ストロングロフト)
【4】中空(複合/ミッドサイズ/ストロングロフト)
【5】ポケットキャビティ(複合/オーバーサイズ/超ストロングロフト)

画像: マッスルバックからポケットキャビティなどアイアンは「多品種」だ(撮影/姉崎正)

マッスルバックからポケットキャビティなどアイアンは「多品種」だ(撮影/姉崎正)

ざっと挙げただけで、5種類くらいには分類できそうだ。どのブランドも、このうち最低でも3モデルをニューモデルとしてラインナップし、選べるようにしているわけだ。これがドライバーとは異なる点。アイアンには、きちんと「選択肢」が用意されているのである。これはなぜだろうか?

それは、ゴルファーごとにアイアンに対するニーズが違うからである。

【1】飛距離アップは望まない/距離を打ち分けたい/構えやすいルックス
【2】飛距離アップは望まない/距離を打ち分けたい/やさしさも少し欲しい/構えやすいルックス
【3】飛距離アップしたい/やさしさも欲しい/軽量感欲しい/予算抑えたい
【4】飛距離アップしたい/やさしさも欲しい/先進性欲しい/高級感欲しい
【5】とにかく飛距離アップ/上がりやすく/軽量感があって/高級感も欲しい

飛距離に対する考え方、ミスに対する許容性の大きさ(これが高すぎると弾道の高低、左右に曲げるなどの意図的操作がしにくくなる)、構えやすいサイズ、値ごろ感などが、アイアンのモデル細分化につながっているのである。

画像: タイガーモデルのテーラーメイド「P・7TW」。飛距離ではなく操作性を求めるゴルファーが手にするのがマッスルバック

タイガーモデルのテーラーメイド「P・7TW」。飛距離ではなく操作性を求めるゴルファーが手にするのがマッスルバック

新製品ならば、マッスルバックアイアンでも昔のモデルよりも飛ぶんじゃないかと思うかもしれないが、マッスルバックは“飛距離アップは望まない”というニーズに対するもの。予想以上に飛んでしまったり、曲げようとしたのにまっすぐにしか飛ばなかったら、存在する意味がないし、ユーザーも「こんなの使えない! 難しい!」と怒り出すだろう。マッスルバックは“変わらない”ことに価値があるのだ。

ドライバーの「選択肢」が少ないのは、ゴルファーのニーズが“1ヤードでも遠くに、まっすぐに飛ばしたい”に集中しているからだ。だからこそ、アイアンでいうなら【3】~【5】、いわゆるディスタンス系の中にすべてのニュードライバーが存在しているわけである。今のドライバーは、すべて「ディスタンス系」なのだ。

【1】飛距離アップは望まない/とにかくフェアウェイをとらえたい/構えやすいルックス/振りやすい長さ

個人的には、マッスルバックアイアン的なドライバーもあっていいのではないかと思っている。最大飛距離を一度脇に置いて考えれば、アイアンのようにドライバーも「選択の幅」が広がるような気がするのだ。もちろん、こうしたドライバーが欲しい!と思うゴルファーが増えることが、なによりも必要なのだが……。やはり、最大飛距離を伸ばしたいだろうか!?

This article is a sponsored article by
''.