PGAツアー「バミューダ選手権」「マヤコバゴルフクラシック」で2週連続優勝の快挙を遂げたブレンドン・トッド。実はこのトッド、ツアー通算の“予選落ち率”が約60%、近年はさらに不振で転職を検討するほどだった。そんな彼がなぜ2週連続優勝できたのか!?

映画「ロッキー」の主人公に自らの姿を重ねた

悪天候のため、月曜日フィニッシュとなった「マヤコバゴルフクラシック」。初日に63の好スコアをマークし、首位で発進したブレンドン・トッドが2位と1打差の20アンダーで優勝した。

トッドは、この優勝でフェデックスカップランキングで1位の座に浮上。直前のバミューダ選手権で優勝したばかりで2週連続優勝となったため、シード権も2022〜2023年まで延長。当分シード権は安泰だ。世界ランキングも525位から一気に83位に浮上し、あらゆるメジャーやWGCイベントに出場できる世界ランク50位が、目前に迫っている。

画像: PGAツアーで2週連続優勝したブレンドン・トッド(写真/getty images)

PGAツアーで2週連続優勝したブレンドン・トッド(写真/getty images)

「とても特別なことだよ。前週にバミューダで勝った時よりも、今回の優勝のほうがもっと意味合いは大きい。今朝はちょっと緊張していたけど、いいショットをたくさん打つことができた」

そんな彼も、2009年からツアーに出場するようになって10年。予選落ちの回数は、全出場試合178試合中、なんと103試合。ほぼ60%の確率で予選落ちをしている。特に2016年は29試合に出場中、25回予選落ち(86%の確率)。17年は9試合しか出られず1試合で予選通過を果たすのみだった。18年は6戦全てで予選落ちしており、彼のツアー人生は困難そのもの。その不調は今季に入ってからも続き、初戦から4試合連続予選落ちを喫していた。

彼はなぜここまで予選通過できなかったのか? そしてここにきてなぜ急に2連勝できたのだろうか?

まず、予選通過できなくなった理由に2015年のスイング改造があったという。BMW選手権の週にコーチから「フェースを閉じて打つといい」と教えられ、打ったところ、実際その時はいい球が打てていたという。

しかしその後の試合で、ロングアイアンでプッシュアウトが出始め、ボールの紛失やハザートに打ち込むなどのケースが多くなり、球を打つこと自体が怖くなってしまった。いわゆる「スイングイップス」である。

新しいコーチや打ち方などを模索していたが、これといったものが見つからず、迷宮入り。周囲の人間たちからは「キミならいいビジネスマンになれるよ」「不動産屋なんてどう?あってるんじゃないかな?」などと言われたことがあったという。

本人はデスク仕事に興味はないので、ビジネスマンの道は歩まなかったが、一時は真剣に、財務担当とピザのフランチャイズ店を経営したほうがいいのではないか、などとミーティングをしていたこともあったくらいだ。

しかし一昨年の終わりに、かつてはPGAツアーで戦い、現在は学生にゴルフの指導を行なっているというブラドリー・ヒューズに出会った。彼のレッスン本やウェブサイトを読み漁り、この指導法なら、と本人からレッスンも受けたという。6週間、まったくクラブを握らずにその後で彼のドリルをやり始めたところ、ショットの調子が回復し、試合に出ても予選を通るようになった。

そして今季に入り、2週間前のバミューダ選手権では、10年間プレーしてきてベストなスウィングができていると実感を得、アイアンショットの切れ味が良くなってきたのだという。

「バミューダで優勝し、すごく自信になった。毎ホールでバーディを獲ろうと思えるほどアイアンがすごくよくなってきたんだ。ゲームをコントロールすることもできているし、ショットもいいよ」

トッドは映画『ロッキー5』が好きだという。主人公ロッキー・バルボアが度重なる激闘によりダメージが蓄積し、妻の説得もあって引退を表明するが、その後再びリングに上がり優勝。真の英雄の意地と力を見せつけるという爽やかなエンディングのストーリーとなっている。

トッド自身、何年にも渡って“出ては予選落ち”を繰り返し、打ちのめされてきた。一時はツアープロとしての自信を喪失し、引退も考えたほど。だが、そんな境遇をロッキーに重ね合わせ、「いつかはロッキーのように復活したい、優勝したい」という気持ちもあったからゴルフをやめなかったのかもしれない。

ゴルフ界の「ロッキー」もまた、再びグリーンという「リング」で戦う自信を取り戻し、栄光の勝利を掴み取る道を歩み始めている。

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