来季前半戦の出場権を獲得するための男女予選会(QT)が幕を閉じた。プロテスト同様、試合とは違う雰囲気のなか行われ「QTだけはイヤ」と語るプロもいるほど。プロも教えるメンタルコーチ・池努は大事な試合でパフォーマンスを発揮するためには「自分のタイプを知る」ことが大切だという。果たしてどういうことか?

自分のタイプを知り、本番に向けて“チューニング”していく

女子は12月6日、男子は12月10日に来期のレギュラーツアー出場権をかけたQTが終了しました。プロゴルファーたちは口を揃えて言います。ある意味もっとも重要でプレッシャーを受ける試合、それがQTだと。

だからこそ、QTだけは他のどんな試合とも違う、特別な感情でのゴルフになると言います。それもそのはず、結果が良ければツアーに出場できる、結果が優れなければツアーに出場できない。つまり、次のシーズンに自分自身がどのステージでゴルフをするのかが決まってしまう試合だからです。

画像: 緊張する状況でパフォーマンスを発揮するためには、己のタイプを知るのが近道だ

緊張する状況でパフォーマンスを発揮するためには、己のタイプを知るのが近道だ

このような試合でどのようにメンタルコントロールをしていけばいいのか? 今回の記事では競技ゴルファー向けになりますが「大事な試合」でパフォーマンスを発揮するための視点について書いていきます。

結論から言うと、大切なのは「自分のタイプを知る」ことです。つまり、自分がどんなメンタリティーで試合にのぞむとパフォーマンスが発揮されるかを知ることです。知ることができれば、試合前に「そこ」へアプローチすることができます。タイプは図1のように4つのタイプがあると思ってもらえると分かりやすいです。あなたはどの領域でプレーするとパフォーマンス発揮につながるでしょうか?

A:リラックスした状態で結果に意識を向ける
B:緊張感のある状態で結果を意識する
C:リラックスした状態で行動に意識を向ける
D:緊張感のある状態で行動に意識を向ける

画像: 図1:あなたがパフォーマンスを発揮しやすいのはA、B、C、Dどの領域?

図1:あなたがパフォーマンスを発揮しやすいのはA、B、C、Dどの領域?

スポーツ心理の世界では結果ではなく行動に意識を向けるC、D領域でプレーすることがパフォーマンスを発揮しやすいと言われています。適度なリラックス、適度な緊張感を持ち、結果ではなく目の前のワンプレーという行動に意識を向けている状態です。

しかし、人によってはそうとも限らないのです。A、Bの領域の状態がパフォーマンス発揮につながるタイプの人もいます。

では自分のタイプを知るためにはどうすればいいのでしょうか? 競技志向のゴルファーの方は自分のタイプを知りたいですよね。

そのために、まずは過去の自分のパフォーマンスが良かった試合を3試合ほどあげ、その試合で自分がABCDのどの領域でプレーしていたのかを分析してみることで傾向がわかるはずです。(実際は診断ツールがあります)

過去にサポートした男子プロゴルファー(以下、M選手)のエピソードがわかりやすいです。M選手はあるシーズンにサードQTを上位の好成績で通過し、QTファイナルに勝ち上がりました。サードで好成績を出せたこともあり、「ファイナルでも絶対に結果を出す」と意気込んで、できる限りの準備をしてファイナルに臨んだそうです。

しかし、ファイナルでは結果を意識するあまりプレッシャーを感じてしまい(B領域)、自分らしいゴルフが発揮できずに予選落ちしてしまったそうです。そして翌年、M選手はQTを再度受けます。そして、サードQTはファイナルの補欠の順位でした。補欠なので数名の選手が欠場する場合のみファイナルに出場できるという条件。M選手は補欠の順位的にも「今年はファイナルは出られない」と判断し、シーズンオフに。

しかし、状況は急転。ファイナルの数日前に「出場できる」という連絡が入り、何も準備をしていない状態でファイナルにのぞむことになったのです。M選手はこう思ったそうです。「補欠で出場できるのは本当にラッキー。準備はしてないけど運もあるわけだし、こうなったらゴルフを思いきり楽しもう(C領域)」と。

そして、このファイナルQTの予選で他の選手が過度のプレッシャーを感じる中、M選手はリラックスした状態で目の前のゴルフを楽しむことで自分らしいプレーを発揮し、見事予選を通過。決勝ラウンドに残り、翌年のツアー出場権を獲得することができたのです。

つまり、このM選手のタイプはC領域だったわけです。

このように自分がどのタイプの傾向にあるかが分かれば、QTやプロテストのような大事な試合に向けて、自分をチューニングしていけばいいことになります。Cタイプだけど緊張が強い場合は自分をリラックス側に持っていく。自分がBタイプだけど緊張感が少ない場合は結果を意識して自分にプレッシャーをかけるなど。

今回の記事は競技ゴルファー向けの内容になりましたがどんなゴルファーにとっても重要なのは自分がパフォーマンスを発揮できるメンタルの状態を知ることだと理解してもらえると良いかと思います。

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