米国選抜と欧州を除いた世界選抜の対抗戦「ザ・プレジデンツカップ」はタイガー・ウッズが主将を務めた米国選抜の勝利で幕を下ろした。4日間の激闘を見守ったゴルフスイングコンサルタント・吉田洋一郎は、「この大会をぜひ日本で開催してもらいたい!」という。その理由とは……?

プレジデンツカップが終わりました。世界選抜が終始リードしながら、最後の最後で地力に勝る世界選抜の前に力尽きるという展開でしたが、非常に見応えがある素晴らしい試合でした。私自身、初めてのプレジデンツカップ観戦でしたが、ここまでの盛り上がりを見せるとはいい意味で想定外。雰囲気も普段とは大きく異なり、また新たなゴルフの面白さを感じることができました。

画像: 自身も大活躍して米国チームを優勝に導き、タイガーもこの笑顔

自身も大活躍して米国チームを優勝に導き、タイガーもこの笑顔

面白さの要因は、いくつかあります。まず挙げられるのは、マッチプレーそのものの面白さです。最終日の松山選手は10番終了時点でトニー・フィナウに4アップと“ほぼ決まり”の状況でしたが、一瞬のスキを突かれて挽回を許し、結局引き分けに。私も思わず呆然としてしまうような、まさかの展開でした。

このような展開は、最終日の松山選手に限らずいくつかのマッチで見られました。トップ選手でも流れを渡してしまうと一気に差を吐き出してしまったり、逆転を許したりといった劇的な展開を何度も見ることになりました。観戦者としては、マッチプレーというフォーマットの面白さを存分に感じられることができました。

画像: 松山英樹はトニー・フィナウと対戦。途中までは“楽勝モード”だったが、最終的には引き分けに持ち込まれた

松山英樹はトニー・フィナウと対戦。途中までは“楽勝モード”だったが、最終的には引き分けに持ち込まれた

もうひとつの要因は、チーム戦であることです。普段だったら自分のプレーが終わったらさっさとロッカールームに引き上げる、超個人主義のトッププロたちが、ひとつのチームの旗の下に集い、グリーンサイドから仲間のナイスプレーに心からの拍手を送り、ガッツポーズをし、祝福する。その姿には、普段見られないチーム戦ならではの面白さがありました。

また、相手チームとのポイント差やゲームの流れを見計らいながら、対戦相手を決めていく駆け引きの面白さもそこには付随します。2日目の組み合わせ決めの際、松山選手の組にタイガー・ウッズが自らがプレーする組をブツけてきたときには、日本人として胸が熱くなりました。タイガーが松山選手を世界選抜のエースと見なし、なんとしてでも自分が倒す! という意気込みを見せた瞬間に思えたからです。

最後の要因は、これが名誉のための試合であるということです。プレジデンツカップの出場選手に賞金はありませんし、参加報酬も出ません(代わりに、大会で得られた収益の一部を寄付などに充てることができます)。

そのため、アメリカチームであれば国の威信をかけて。世界選抜であれば、自身が世界を代表するプレーヤーであるというプライドをかけて、大会に臨みます。

お金が出ないからといって、仕方なしに出るという様子は皆無。むしろ、日本ではあまり伝わりにくいのですが、米国チームでいえばサッカーのワールドカップの代表に選ばれるとか、オリンピック代表に選ばれるとか、イメージ的にはそれくらい名誉なこととしてとらえられています。報酬はなくとも、絶対に出たい! そのモチベーションがあるからこそ、試合は白熱し、ギャラリーは興奮するのです。

画像: タイガー(右)は最終日、メキシコのエイブラハム・アンサーと対決。世界中で人気のタイガーだが、このときばかりは“完全アウェイ状態”でのプレーとなった

タイガー(右)は最終日、メキシコのエイブラハム・アンサーと対決。世界中で人気のタイガーだが、このときばかりは“完全アウェイ状態”でのプレーとなった

雰囲気も通常の大会とは大違いで、選手たちを応援する歌をギャラリーが歌ったり、ヤジが飛び交ったりと、まるでサッカースタジアムのような熱気が会場を覆っています。今回は世界選抜のホーム、オーストラリアはロイヤルメルボルンGCでの開催でしたが、タイガー・ウッズが“完全アウェイ”でプレーするのは、この試合と、米国と欧州の対抗戦であるライダーカップくらいではないでしょうか。

2016年にPGAツアーが日本支社を設立した際、将来的にプレジデンツカップの日本開催の意向が示されたと言いますが、私はその日が本当に待ち遠しいです。今回の大会で松山英樹選手がそうであったように、日本人選手が世界選抜のエースとして戦い、それを賑やかな応援でギャラリーが盛り上げる。そんな大会が実現すれば、今年ラグビーが日本で盛り上がったように、ゴルフも世間を巻き込んだ大きな盛り上がりが期待できるんじゃないか。そんな風に感じたからです。

いつの日か、この素晴らしい大会が日本で開催される日を夢見て、オーストラリアを後にしようと思います。

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