近年のドライバーはヘッドの大型化し、シャフトも長尺が主流となってきている。しかし、ギアライター・高梨祥明は40インチの短尺ドライバーがエース。その“狙い”とは一体なにか。改めて聞いてみた。

ゴルフ肘になったのが、マイドライバー探しの出発点

年が改まり新製品発表会などで多くの方にお会いすると、「いまドライバー40インチなんですよね? 飛ぶんですか?」と声をかけられる。その度に“えっ、飛ぶ?”と二の句が継げなくなってしまうので、今回はマイドライバーが40インチになったそもそもについて、書いてみたいと思う。

画像: 40インチの短尺ドライバーを試す理由とは一体?

40インチの短尺ドライバーを試す理由とは一体?

この試行錯誤の始まりは、ゴルフ肘になったことにある。職業柄多くのゴルフクラブを試打する機会があるが、調子に乗ってドライバーだけを何本も、何球も打ち続けてしまう時期がある。そういう無茶を繰り返していると、慢性的にクラブを持ち上げただけで左肘に鈍痛が走り、ショットするのも容易ではなくなってしまう。治ったと思っても、疼くような感覚が常に付きまとう。これはもう10年くらい抱えている持病のようなものだ。

面白いのは、ウェッジやアイアンなど重くて腕に負担がかかりそうな番手では比較的痛みを感じず、軽量ドライバーほどスウィング中に痛みを感じること。これはなぜだろう? そう思ったのが、マイドライバーの探しの出発点だ。

重さではなく“動き”が肘に負荷を与える!?

ご存知のように、現在のドライバーはシャフトが長く、比較的しなやかで、ヘッドの重みが感じられるように作られている。ポイントはドライバーだけが突出してこうした傾向にあり、他のクラブはもっとしっかりとしたシャフトが装着されているのが普通だ。もちろん、長さも短い。ご自分のキャディバッグをみても、ドライバーだけが“頭2つ分”くらい飛び出していることがわかるはずである。

画像: シャフトを40インチすることで、肘の負担が減り、インパクトのタイミングが合うようになったのだという

シャフトを40インチすることで、肘の負担が減り、インパクトのタイミングが合うようになったのだという

私の場合、長いドライバーほど左肘に負荷がかかっている気がする。そして、シャフトが軟らかいほど、振り遅れを取り戻そうとさらに左肘を止めて、ヘッドが戻ってくるのを待ってしまっていることに気づいた。そして、試しにクラブを短く(45インチを拳2つくらい短く)持って打ってみると、インパクトのタイミングが容易に合うようになり、肘への負担も減ったような気がしたのだ。

クラブを短く握るとは、言葉を変えると

・シャフトを硬くすること
・ヘッドを軽くすること

つまり、“クラブの仕事量を抑える”ということになる。それはすなわちドライバーらしさを消し、それ以外のクラブに近づけていくということだ。

ドライバーは最大飛距離アップを目指して大きな進化を遂げてきたが、私のようにスウィングが未熟であれば、長く、シャフトがしなるほどインパクトでの帳尻合わせも難しく、無理やりなものになる。

そして、その飛距離追求型ドライバーにスウィングを合わせていった結果、他のクラブ(とくにパターやアプローチ)が不調となってしまう可能性もゼロとはいえない。ドライバーが1本だけ極端に違う特性になっている現状では、上級者でもそれは起き得るだろう。

ドライバーを短くするのは、ドライバーを他の13本の仲間にするためである。そして、私の場合は、インパクトでの無理やりな帳尻合わせによるカラダへの負荷を抑えていくため。スウィングが良くなれば、もう少し長くてもいいかもしれないが、他のクラブとのバランスを考えると、個人的には長くてもドライバーは43インチ程度でいいのではないかと考えている。

ゴルフはドライバーだけで行うものではない。14本の中の1本としてドライバーがどうあればいいのか? そういう視点もこれからのクラブチョイス、あるいはクラブ開発には必要なのではないかと思う。

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