ゴルフ雑誌には、ツアープロが自らのテクニックを教える記事がよくある。アマチュアゴルファーなら興味津々の内容だが……果たしてそれを真似して上手くいくのか!? 関東在住匿名5下シングル氏が考えた。

「フェードにして良くなった」というプロが左に曲がるボールを打つ理由

ゴルフ雑誌を眺めていると、活躍するツアープロが登場して、自分の技術について、アマチュアにもわかりやすく解説してくれています。プロがドローからフェードにしスウィングが良くなった、なんて言っているのを聞くと、ついつい真似したくなっちゃいますよね。「やっぱりフェードだな!」なんて言って、鼻息荒く練習場に乗り込んだりします(笑)。

画像: 難しい状況からどう打つ!? 雑誌に載っているツアープロの教えで上手くいくこともあれば、そうでないこともあるのはなぜ?

難しい状況からどう打つ!? 雑誌に載っているツアープロの教えで上手くいくこともあれば、そうでないこともあるのはなぜ?

ただ、ここで気をつけなくてはならないことがあります。たとえば、雑誌で「フェードにした」と断言していたAプロをトーナメントで観察すると、実際は左に曲がるボールしか打っていなかったりするんです。

これはAプロが嘘をついているわけではありません。

・フェードを打つ練習をしたらスウィングが良くなったから、試合では安心してドローを打っている
・本人は思いっきりフェードを打っている意識だが、実際に出ている球はドロー
・雑誌の取材時はフェードを打っていたが、その後ドローに戻した

これらの可能性があり、それは本人以外にはわかりません。Aプロは、本心から「フェードを打ったらスウィングが良くなっている」と語っている。しかし、感覚の天才であるツアープロたちの真意や体内感覚はメディアにも、というか他の誰にも理解することはできないんです。

知り合いの雑誌編集者から聞いた話ですが、某日本オープンチャンピオンに取材した際、とある状況下の対処法として「思い切りアウトサイドに上げるのがコツ」と話してくれたからそれを写真に撮ったところ、まったくアウトサイドには上がっておらず、完璧なオンプレーンだったんだそうです。

これなんかいい例ですよね。プロのなかでは思い切りアウトサイド。でも、実際はほんの1、2ミリの違いに過ぎない。意識だけの違いという可能性もある。でも、雑誌の見出しには「アウトサイドに上げるのがコツ」というプロの言葉が掲載されるわけです。

そして、実際は、クラブ選びからアドレス、ボール位置やスウィング感覚まで、プロはすべてのショットで感覚的に微調整を行なっています。彼らがメディアに伝えるのは、自分が無意識に行なっているうちのほんの数パーセントに過ぎないのだと思います。

料理で言えば、最後の味付けの部分。素材を仕入れ、下ごしらえをして調理して、「最後に赤ワインをひと振りするのがコツです」という、その部分だけを語っているケースが多くある。もちろん、プロの言葉を伝えることには非常に高い価値がありますが、それをそのまま鵜呑みにしても上手くいかないことがあるのは、そんな理由があるのだと思います。

そして、毎度同じ結論で恐縮ですが、上達するために必要なのは「味付け」を真似することよりも、地道な練習を繰り返す、いわば仕込み作業をしっかりやること。そしてスウィングの「下ごしらえ」をすることなんです。

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