新型コロナウイルスの流行はゴルフ界にも大きな影響を与えている。米女子ツアーでは、アジアで開催予定だった「ホンダLPGAタイランド」「HSBC世界女子選手権」「ブルーベイLPGA」の3試合が中止に。この決断、そして1カ月試合のない時間を過ごすことになったことに対する選手たちの反応はどのようなものか、海外取材経験20年のゴルフエディター・大泉英子が現地で取材した。

出場予定だった選手たちはホテルや飛行機のキャンセルに大わらわ

世界中で流行している「コロナウイルス」は、米LPGAツアーのスケジュールにも大きく影響を与えている。

先日、2月20日から開催予定だった「ホンダLPGAタイランド」と2月27日から開催予定だった「HSBC世界女子選手権」のアジア開催2試合が、選手たちの健康と安全を考慮し中止、あるいは延期となったのだ。

今週オーストラリア・アデレードで開催中の「ISPSハンダオーストラリアン女子オープン」に出場している選手たちに、この決断に対する反応を聞いてみると

「これらの試合の準備をしてきた選手たちもたくさんいるし、1カ月やそこら、試合が遅れるのは難しいことだが、とにかく安全が最優先。家にいるか、アメリカかその他、コロナウイルスのリスクの少ない場所にいることよりもハイリスクなことがあるなら、LPGAの今回の決断はいい選択だったと思うし、私もその決断を尊重している」(パク・インビ)

「これら2試合が大好きだったので、本当に悲しいわ。でも仕方ない。また来年、これらの試合に出場するのを楽しみにしている」(ネリー・コルダ)

「今のところ、1カ月自宅にいるつもり。オーストラリアの試合などで、今からでも試合に出られるものがあれば考えたいけど、とりあえず当面は1カ月休みね」(ミンジー・リー)

画像: ネリー・コルダをはじめ、選手たちはLPGAの決定を受け止めているようだ(写真は2018年のTOTOジャパンクラシック 撮影/岡沢裕行)

ネリー・コルダをはじめ、選手たちはLPGAの決定を受け止めているようだ(写真は2018年のTOTOジャパンクラシック 撮影/岡沢裕行)

と、選手たちはこの状況を当然のことと受け止め、残念だが仕方がない、と冷静に対処しているようだった。また、選手たちの中には2試合出る予定だった者も大勢いて、オーストラリアにいながら、ホテルや飛行機のキャンセルなど大わらわだ。

オリンピックへの影響は? 「日本だから、しっかり対策してくれるでしょう」

また、日本人選手の中にはいったん日本に帰ったら、渡米できなくなるのではないか? と懸念する者もいる。現在、中国から海外への渡航が禁止になっている国がいくつもあるが、中国だけにとどまらず、今後は日本を含むアジア全域が、中国のように「入国を禁止」されてしまうと、3月に行われるアリゾナの試合「ファウンダースカップ」からの米国内での試合に出られなくなる恐れもあるのだ。

今年は夏にオリンピックを控えている東京だが、これに対しては「まだ先の話だし、その頃にはこの騒ぎも収まるのでは?」「日本だから、そのあたりはしっかりとした対策をしてくれるでしょう」という楽観的な意見が多かった。だが、前回のリオ五輪の時は「ジカ熱」騒ぎで大勢の選手たち(特に男子プロ)がオリンピック出場を取りやめた経緯もあり、今年の東京五輪でも、今後の感染状況によってはその可能性もないではない。

画像: ジャスティン・ローズが金メダルを勝ち取った2016年のリオ五輪では、現地で流行していたジカ熱の影響などで多くの選手が出場を辞退した(写真提供/IGF GOLF)

ジャスティン・ローズが金メダルを勝ち取った2016年のリオ五輪では、現地で流行していたジカ熱の影響などで多くの選手が出場を辞退した(写真提供/IGF GOLF)

先週から2週間、オーストラリアで取材を続けているが、ゴルフ場でもマスクをしている人はチラホラいて、それはみなアジア人。だが、現地の人のコロナウイルスに対する警戒心は希薄で、大半はマスクもしていない。通常と同じ景色の広がる女子ツアーである。

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