仕事やプライベートでの悩みや不安、プレッシャーなどが頭の片隅にある状態ではゴルフのパフォーマンスも上がりづらいというのは、プロも教えるメンタルコーチ・池努。「頭のモヤモヤを減らす」メンタルテクニックを教えてもらおう。

「ワーキングメモリー」の空き容量を増やそう

ゴルフをしていて「今日は考え事が多いからなのか、頭がモヤモヤして集中できない」そんなことはありませんか?

目の前のことに集中したくても仕事の納期のことや人間関係のこと、プライベートでの問題が頭の片隅にある……。そんなときは楽しいはずのゴルフも楽しめなかったりするものです。ゴルフにしても仕事にしてもそのような頭のモヤモヤがある状態ではパフォーマンスはなかなかあがりません。今回の記事ではそのモヤモヤを解消する方法をシェアしていきたいと思います。

あなたはワーキングメモリーという言葉を聞いたことがありますか? これは作業記憶とも呼ばれるもので作業や動作に必要な情報を一時的に記憶し処理する能力のことをいいます。

たとえば、あなたがあるスイングコーチのYouTube動画で理想のゴルフスイングを見たとします。そして、スイングコーチが次のことを意識してスイングしてみましょう! と言い、ポイントは「足の裏の比重はこのように」「ひざはこれくらい曲げ」「腰の回し方はこうで」「左腕の使い方はこうで」「インパクト時の左手首はこのように」と言ったとします。そして、あなたは必要とする情報を記憶し、そこを意識して実際にスイングをします。この時にワーキングメモリーを使っていることになります。

このワーキングメモリーは一定の容量があります。ワーキングメモリーの容量がMAXの状態になっているとしたらパソコンと同じで処理の精度やスピードは低下してしまうわけですね。ゴルフでも同じで考え事や意識するポイントが沢山ありすぎれば当然ワーキングメモリーは容量いっぱいになりパフォーマンスも低下してしまいます。

例えば、スタートからの2ホール連続でティショットをOBにしてしまったとします。そうすると3ホール目のティショット前に「次もOBは恥ずかしいな」「みんな調子がいいのに」「そういえば先月のラウンドも同じだったな」「次はスイングどう修正したらいいかな」と心配事だけでワーキングメモリーの容量を占めてしまうのです。当然、そんな状態では集中した理想のショットなど打てるわけがありません。

画像: ティショットでOBしたくない! と思うほど、心配事でワーキングメモリーを使ってしまい、結果集中力は落ちる(撮影/姉崎正)

ティショットでOBしたくない! と思うほど、心配事でワーキングメモリーを使ってしまい、結果集中力は落ちる(撮影/姉崎正)

シカゴ大学の心理学者シアン・バイロック教授がおこなった面白い実験があります。実験では大学生の被験者20名に2回の数学のテストを受けてもらいました。1回目はなんの条件もなしにテストを実施します。そして、2回目のテスト前に「成績優秀者には賞金」「成績が悪ければ連帯責任(他者に迷惑をかける)」などのプレッシャーにつながる条件を設定。

そして、チームAの10人の学生にはテスト前に「試験に関する不安」を書き出してもらい、チームBの10人の学生は不安を書き出さずに両チームにテストを実施。その結果、1回目のテストと比較し、チームAは5%正答率が向上、一方のチームBは正答率が12%も低下したのです。

チームAは紙に書き出すことで不安を外に吐き出すことがワーキングメモリーをリセットすることにつながり、2回目のテストにも集中することができたのです。

対してチームBは2回目のテスト前に出されたプレッシャーにつながる条件でワーキングメモリーが埋め尽くされ、その集中できない状態でテストをすることが成績の低下につながったと言えるわけです。バイロック教授も本番前に不安を書き出すことでパフォーマンスが大きく向上すると言っています。

つまり、不安やイライラ、プレッシャーなどモヤモヤとする気持ちを紙に書き出すことでワーキングメモリーの空き容量は増え、頭がスッキリし集中力を高めることにつながるわけです。確かに嫌なことや解消したい想いがあったときにノートに書き出すことで気持ちがスッキリした経験は誰にでもあるものだと思います。

この方法やゴルフだけでなく、仕事や私生活でも共通して活かせるものだと思いますので「モヤモヤしたら紙に書き出す」を実践してみてください。紙がない場合はスマートフォンのメモに書き出すこともおすすめです。

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