身長153センチと小柄ながら、5年連続で女子ツアーシード権を確保している青木瀬令奈。その強さの秘密を、プロゴルファー・中村修が昨年のスタッツから読み解く。

もっとも飛ばないシード選手。150〜170ヤードの抜群の距離感で勝負する

女子ツアーの2020年シーズンへの予習も兼ねて、昨年のスタッツと成績の関連性を調べていたところ、ある数値が目を引きました。賞金ランク35位、青木瀬令奈選手の、平均226.95ヤード(92位)という飛距離がそれ。調べてみると、シード選手の中でもっとも飛ばない選手であることがわかりました。

画像: 5年連続でシード権を確保している青木瀬令奈。昨季の賞金ランクは35位(写真は2019年のニチレイレディス 撮影/大澤進二)

5年連続でシード権を確保している青木瀬令奈。昨季の賞金ランクは35位(写真は2019年のニチレイレディス 撮影/大澤進二)

「トラックマンで計測すると、ドライバーのヘッドスピードは38m/s前後。ただ、ミート率や入射角などの数値は非常に高いです」とは青木選手のコーチ兼キャディを務める大西翔太コーチ。このオフには本格的なトレーニングも取り入れ、飛距離アップに挑んでいるそうです。

とはいえ、飛距離不足という明確なウィークポイントがありながらも、激しい椅子取りゲームが行われている女子ツアーにおいて賞金ランク35位に位置しているのは流石の一言です。では弱点を補って余りある青木選手の強みとはいったいなんなのでしょうか。

パー3でのパフォーマンスが非常に高い

引き続きスタッツを見てみると、「パー3の平均スコア」にヒントがありそうです。

青木選手のパー3平均スコアは2.9646(38試合)で3位。1位はシン・ジエ選手の2.9244(27試合)、2位は鈴木愛選手の2.9568(25試合)となっています。試合数を考慮しても、非常に安定してパー3を攻められていることが見て取れますね。

以前青木選手に得意な距離を尋ねたことがあるのですが、そのときは「153ヤードです!」とかなり具体的な数字で答えてくれました。

「私のゴルフの生命線は9W、U5、U6で打つ150から170ヤード前後のクラブです。その距離をしっかりグリーンに乗せることが戦う条件になっています。その中でも153ヤードはU6でピッタリの距離。153ヤードが残ったときは、思わずキター! って思っちゃいます。正直『入るまである』って思うくらいです(笑)」(青木)

ツアーでパー3に設定される150から170ヤード前後の距離感が人並外れて高いからこそ、自分より飛ばすプレーヤーが91人いても戦えているんですね。

一方で、「パー5の平均スコア」は平均4.9076で78位。ちなみに1位はシン・ジエ選手で4.6657と、パー5でのバーディ率の高さがうかがえます。青木選手はスコアメークの要となるパー5のパフォーマンス改善も大きな課題と言えそうです。もちろん飛距離も重要ですが、パー5でバーディを獲るためのマネジメントであったり、100ヤード以内のショットの精度向上など、まだまだ伸びしろがたくさんあるように思えます。

今季から有村智恵選手に代わり「プレーヤーズ委員長」も務める青木選手。昨シーズンは黄金世代、今シーズンはプラチナ世代と新しい波が次々と押し寄せる女子ツアーですが、その中で青木選手がプレーヤーとしてもプレーヤーズ委員長としても存在感を発揮することを期待しています。

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