今やクラブフィッティングは特段めずらしいことではなくなってきたが、ウェッジのシャフト選びに関しては「とりあえず重めのスチールシャフトを選んどけばいいんじゃないの?」というゴルファーも多いのではないだろうか。ギアライター・高梨祥明が、自身のウェッジフィッティング経験から、ウェッジのシャフト選びの重要性を説く。

アプローチとはそもそも難しいもの。だからこそウェッジというお助けクラブが生まれた

ゴルフクラブ市場では昨今、急速にフィッティングシステムが確立されてきている。ドライバー、アイアンだけではない。ウェッジクラブも実は専門スタッフによる、マンツーマンのフィッティングが行われていたりする見逃せないカテゴリーである。

タイトリストでは、長くツアーサービス担当として活躍し、ウェッジに関してはボブ・ボーケイ氏の薫陶を直接受けているエキスパート、三瓶大輔さんが全国のゴルフショップやゴルフコースで直接フィッティングを行なう特別イベントを定期的に開催(2019年実績で約100回開催)し、高い人気を博している。

「ウェッジのフィッティングでは、ウェッジショットに関して、皆さんの現状と悩みをお聞きすることが何よりも重要です。もともとウェッジはアプローチやバンカーショットに対する難しさ、苦手意識を緩和するために生み出された特別なゴルフクラブです。最新のフィッティングにおいても、ゴルファーの悩みを的確に解消することが最大の目的であることに変わりはありません」(三瓶さん)

画像: 発売されたばかりのボーケイ・デザインSM8ウェッジを使ったウェッジフィッティングを4月以降全国で開催予定。スケジュールはホームページで確認できる(撮影/高梨祥明)

発売されたばかりのボーケイ・デザインSM8ウェッジを使ったウェッジフィッティングを4月以降全国で開催予定。スケジュールはホームページで確認できる(撮影/高梨祥明)

ウェッジデザインの第一人者、ボブ・ボーケイ氏は“BOUNCE IS YOUR FRIEND(バウンス・イズ・ユア・フレンド)”と口癖のように言っているが、ウェッジのソールに付けられた特別な角度“バウンス”が、バンカーショットや難コンディションからのアプローチを容易にし、スコアメイクをしやすくしてくれる。ウェッジとはそもそも、寄せやすさに特化した“ユーティリティ(お助け)クラブ”なのだ。

「よくローバウンスがいいか、ハイバウンスがいいかと聞かれますが、どちらかであればハイバウンスがいいと思います。しかし、本当はハイでもローでもないのです。ゴルファーのアプローチスタイルを見極め、扱いやすいソールのグラインド(形状)をチョイスする。そうすることで結果的に“ちょうどいい”バウンス効果が得られるようになるのです。そういう意味では、あまりバウンスの数字に縛られないほうがいいと思います」(三瓶さん)

画像: ボーケイ・デザインSM8ウェッジは6種類のソールグラインドをラインナップし、様々なゴルファーのニーズに答えている(撮影/高梨祥明)

ボーケイ・デザインSM8ウェッジは6種類のソールグラインドをラインナップし、様々なゴルファーのニーズに答えている(撮影/高梨祥明)

バウンスよりも先に大事にしたい、ウェッジの振りやすさ

巨匠ボブ・ボーケイに “BOUNCE IS YOUR FRIEND”と言われると、ウェッジ選びの極意はバウンス選びにあるのではないかと思ってしまうが、三瓶さんはそれよりも前に大切にしたいポイントがあると教えてくれた。

「まず大切にしていただきたいのは、そのウェッジが振りやすいかどうかです。とくにアイアンセットとは別のウェッジを組み合わせる場合は注意が必要です。アイアンに比べて重すぎるウェッジを使っていると、とくにフルショット時に振り遅れやすく、ダフリなどを誘発してしまうことが多いのです」(三瓶さん)

アイアンは軽量のカーボンシャフト。ウェッジはずっしり重たいダイナミックゴールドスチールという人は意外に多いのではないだろうか? ウェッジはアイアンよりも重たくて正解という定説を聞いたこともあるが、それにも限度はあるようだ。

「ボブ・ボーケイはアイアンとウェッジの重量差は+20gまでと言っています。私自身も数多くフィッティングをしてきて、ウェッジはアイアンと同じ重量帯であることが基本だと思っています。仮に重たくするとしてもほんの気持ち程度でいいと思います」(三瓶さん)

タイトリストのウェッジフィッティングでは、ヘッドとシャフトを着脱できる“SureFit”システムを導入して、手軽に様々な重量帯のシャフトを試せるようになっている。アマチュアレベルでウェッジのシャフトの違いなんてわかるの? と思うかもしれないが、実はドライバー以上に振りやすさや扱いやすさの違いが表れるのがウェッジシャフトである。

画像: ヘッドとシャフトを着脱できるフィッティング専用のボーケイウェッジ。重たすぎるウェッジが不安定なアプローチの原因になっていることも多いというから注意が必要だ(撮影/高梨祥明)

ヘッドとシャフトを着脱できるフィッティング専用のボーケイウェッジ。重たすぎるウェッジが不安定なアプローチの原因になっていることも多いというから注意が必要だ(撮影/高梨祥明)

「振りやすい重さ(シャフト種類/硬さ)を決め、その次にロフト選び、最後にバウンスやソールグラインドを決めるというのがウェッジフィッティングの流れです。振りにくいウェッジでは、せっかくのバウンス効果も発揮されにくい。バウンスと友達になるためにも、重さと振りやすさに注目してみてください」(三瓶さん)

筆者も三瓶さんによるウェッジフィッティングを体験してみたが、シャフト選びも含め、自分のセルフチョイスではたどり着かないであろうウェッジのスペックに行き着いた。ウェッジのシャフトなんてDGスチールでいいだろう。そう考えている人ほど、ぜひウェッジフィッティングを体験してもらいたい。ウェッジに対する考え方がかなり変わるはずである。

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