プロ野球セ・パ両リーグでチームドクターとして活躍した吉松俊一氏は「幼少期からの運動が脳の活性化につながる」という。吉松俊一氏とその息子・吉松俊紀氏の共著「頭がよくなる運動教室 オリンピック子育て論」から、頭のいい子どもを育てるヒントをご紹介。

その一瞬、秒速120メートルで情報は神経を駆け巡る

具体的にスポーツで大脳はどんな働きをするのか、そのメカニズムをみてみることにしましょう。

舞台は小学生の野球大会。未来の大リーガーがバッターボックスに立っています。カウントは3ボール2ストライク。ピッチャーが投げました。

このとき、まだ小学生ながらもその野球少年の大脳は、こんな働きをしています。

【1】目でボールをとらえる。

【2】その情報が大脳に伝わる。

【3】情報をキャッチすると大脳辺縁系(本能的な動きを起こす部分)が働く。

【4】情報が運動前野の記憶部分に伝わり、過去の記憶からこのボールがストライクだと判断する。

【5】運動前野の運動の計画部分は、「打つ」という決定を下す。

【6】決定の情報は運動野に伝わり、「打て」という指令を神経系を通じて体の各部に伝える。

【7】同時に決定した情報は運動を調整する小脳にも伝わり、スウィングの強弱やタイミングなどを調整。

【8】大脳のコンピュータで調整された指令が、体の各部の筋肉に伝わりバットを振る。

読むと大変、時間がかかるように思えるでしょうが、大脳から神経系統を通じた情報の伝達スピードは、秒速100~120mといわれています。

画像: 一瞬の間に脳が決定を下し体に情報を伝達している(写真はイメージ)

一瞬の間に脳が決定を下し体に情報を伝達している(写真はイメージ)

その猛スピードにも驚かされますが、小学生の大脳が瞬時のうちにこれだけのことを行っているのです。そんな大脳の働きの方が、私には驚きでなりませんがいかがでしょうか。

そして体を動かせば動かすほど、体から大脳に、大脳から体に刺激と指令が双方向に、しかもエンドレスに伝達されると、刺激で大脳はさらに活性化し、指令もさらに超高速、より正確なものに磨かれていきます。つまりスポーツをやればやるほど、頭がよくなるのです。

「頭がよくなる運動教室 オリンピック子育て論」(ゴルフダイジェスト社)より ※一部改変

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